水馬

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俳句


一筋に 生きて暗転 水馬

水馬の 足踏ん張りし 宇宙かな

水馬 退きてしがらみ 一つ断つ

大海を 知らぬ幸せ 水馬

狭き世を 愚直に生きて 水馬
 

職退けば 離れ行く人 水馬

水馬を しかと支ゆる 面(も)の硬さ

水馬の 生(あ)れし所が 宇宙かな 

来し方は 小吉なりし 水馬

無住寺に 対の大甕 水馬

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 8月31日(土)の栄句会の季語は
水馬(あめんぼ、あめんぼう)でした。

 一筋に 生きて暗転 水馬

 この句は、フィギュアスケートの安藤美姫を
イメージして作りました。
フィギュアスケートの世界を一筋に生き、
若くして栄光を手に入れましたが、
今回の私生児問題で、
一気に情勢は向かい風、それも相当強い風となりました。
これから先どのように彼女は生きていくのか?
うまく運を切り開いて行ってくれるといいのですが……。

 「暗転」とは、演劇で幕を下ろさずに、
舞台を一時暗くして場面を変えることですが、
そこから、事態が急に悪い方へ変化することを言います。

 世の中には順風満帆で、飛ぶ鳥を落とす勢いの人が、
その一言によって、大阪の橋本市長のように
暗転することがあります。

 また、普通の人の人生でも、ある日突然不幸が襲ってきます。
一筋にまじめに頑張ってきたのに、
どうして?と考え込んでしまいますが、
それが人生ですよね。

 「終わり良ければすべて良し」という言葉がありますが、
人生の終わりは、是非「良し」で終わりたいものです(*^_^*)。

 水馬の 足踏ん張りし 宇宙かな
 水馬の 生(あ)れし所が 宇宙かな
 
 戦争映画を見るたびに、今の日本に生まれた幸せを感じますが、
人は生まれる時代、国、家族を選べません。
だから人は、生まれた時とその場所で生きていくしかありません。

 「運命は変えられる」そう思って努力することはもちろん大切ですが、
まずは、自分の生まれた環境を認め、
それを肯定して、前に進むしかありません。
そんなことを還暦過ぎてからつくづく思います。

 大海を 知らぬ幸せ 水馬

 人間「知らなければ良かった」ということは一杯あります。
物質的な豊かさは善であるから、
先進国はその豊かさを後進国(未開の民族)に知らせることは
義務であるかのごとく振る舞っています。

 それによって、その国の伝統的な価値観が崩れて
生活が一気に変わってしまいます。
それが良い方に変わればいいのですが、
逆の方が多い気もします。
絆が失われたり、貧富の差がでたり、
助け合いの互助精神が失われたり、
戦いが起こったり、精神的に病んだりと……。
それらを考えると、いらんお世話だと思うこともあります。

 まあ、この問題はなかなか難しいことであり、
私ごときが云々すべきことではないと思います。
でも一度失われたもの、破壊されたものは
取り戻すことはできないので、
慎重にありたいものです。

 来し方(こしかた)は 小吉なりし 水馬

 「来し方」とは、今までの人生のことです。
還暦を過ぎた自分の人生を振り返ってみると、
よくも運良くすり抜けられたものだと感心します(*^_^*)。

 何度か危機一発の状況があり、
今その時に戻って、同じようにふるまうことができる自信はありません。
振り返ってみれば、私の人生は波瀾万丈とは言えないまでも、
それなりに紆余曲折はありました。

 それでもトータルすると、今の所は「小吉」程度の
まあまあ人生だったと思います。
これ以上は望めないとしても、悪くならずに
このまま終わってくれるといいのですが(*^_^*)。

 

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