俳句の目次へ 

 

俳句


帰省子の 寿司皿高く 積みにけり

巻き寿司や 真白き母の 割烹着

押し寿司や 男勝りの 祖母の指

ちらし寿司 団扇の先に 母の顔

祭の日 母一心に 寿司を巻く
 

午後からの 島の船待つ 寿司屋かな

客として 息子待つ夜 出前寿司

挨拶の 後の沈黙 寿司の桶

鯖寿司や 凪る若狭の 海の色

塩竃の 寿司食べ旅の 終止符に

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 7月6日の栄句会の季語は<鮓、鮨、寿司>でした。

 なぜ寿司は夏の季語なのでしょうか?

 寿司の元々の字は鮓で、
魚を塩漬けにしたり、粕漬けにすることでした。
夏の魚の保存法だったので、夏の季語になりました。
その代表的なものが、鮒鮓(ふなずし)です。

 帰省子の 寿司皿高く 積みにけり

 私のような昔の人間にとって寿司は贅沢品で、
年に一度、大晦日に出前をとって家族で食べる大ご馳走でした。
それが回転寿司によって、一気に大衆のものとなりました。

 今の回転寿司は全品100円が主流ですが、
30年くらいの前は、皿の色によって値段が違っていました。
たまに家族で一緒にいくと絵皿が気になって、
落ち着いて食べることができなかったことを覚えています(*^_^*)。

 群馬の大学から帰省した息子は、
日頃の飢えを満たすかの如く、
寿司皿を高く積み上げて行き、
その食べっぷりには惚れ惚れとさせられました。

 巻き寿司や 真白き母の 割烹着

 祭りの日は朝早くから母は寿司を巻いていました。
和服に白い割烹着、美容院に行った髪を姉さんかぶりにして……。

 50年も前のお祭りは一大イベントでした。
親戚を招いてご馳走することが、親戚付き合いの最重要項目でした。
招き招かれだから、お互い様でやめればいいのに、
私などは考えるのですが、
母としては、手を抜くことがぜきず結構大変だったと思います。

 そして、ご馳走と言えば刺身と巻き寿司で、
特に巻き寿司はお祭りには絶対必要でした。

 押し寿司や 男勝りの 祖母の指

 私の父方の祖母は、子供が小さい時に夫を亡くし、
女手一つで五人の子供を育てました。
性格がきつく、厳しい人でしたので、
嫁いびりが激しく、
嫁が家を出ることもありました。

 私が持っている祖母の姿は、
真っ黒に日焼けした顔と深いしわ、
そして、男勝りの大きな手と太い指です。

 孫の私にはやさしく、
家に泊まると翌朝は、当時としては珍しく貴重な卵を、
卵かけご飯にしてくれました。

 田舎の百姓家でしたので、
寿司は巻き寿司ではなく押し寿司でした。
上にのる具は、かまぼこ、しいたけ、おぼろなどの
簡素なもので、
子供心にも、けちで貧乏くさいと思っていました。
でも、今はなつかしいです。

 客として 息子待つ夜 出前寿司
 挨拶の 後の沈黙 寿司の桶

 できちゃった婚の息子が、結婚相手の娘さんを
初めて家に連れてくる日の夜
上寿司をとって二人の到着をいまかいまかと
待っていました。

 ドラマのようなシーンを想像していましたが、
全くそれとは違って、あっけらかんとしたものでした。

 塩竈の 寿司食べ旅の 終止符に

 2泊3日の東北震災の跡を巡る旅、
その最後の食事は、仙台駅の中の、
塩竈に本店がある寿司屋でした。
宮城県の塩竈は東北有数の漁港で、
寿司は有名です。
その高級寿司を食べて、食べて旅の打ち上げとしました。
 

上に戻る