年の暮

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俳句


沙汰添へて 届く荒巻 年の暮

引潮の 如き通夜客 年の暮

黒豆に 父の拘り 年の暮

年の暮 日がな鮭切る 厨妻

知らぬ顔 増えし紅白 年の暮
 

たかぶりも 失せて幾年 年の暮

大吉の 二つもありて 年の暮

年の暮 光の中を 帰りけり

手習ひの 小筆十年 年の暮

来ぬ人を 酒の肴に 年の暮

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 

 平成25年 12月21日(土)栄句会の季語は<年の暮>でした。

 お歳暮やお中元、こだわる人はこだわります。
私は人付き合いが苦手で、
人とは、できるだけあっさりとつき合いたいと思っているので、
できればお歳暮やお中元はなしにしたいと思っています。

 贈られれば、同じ額の何かを贈り返さねばならないのだから、
手間がかかるし、それならいっそお互いさまということで、
やめてしまった方が良いと思っています。

 年賀状もそう思っていますが、
なかなか切れないものです(;>_<;)。
一度は定年退職を期に、必要最小限にしたものの、
ださない相手から年賀状が来れば、返事を出さないわけにはいかず
(ここでぐっと我慢して出さなければ切れるのでしょうが……。)
、それなら後から返事を書くより、最初から書いた方が手間がないと
思ってしまったので、結局切ることができませんでした。

 同じA型の夫婦でも考え方や行動様式は違います。
私の妻は人とのつき合いはできるだけ濃く、
長く続けて行きたいというタイプで、私と真逆です。

 年賀状は私が50枚なのに、今でも200枚程度書いています。
それも、宛名と一言を必ず添えて……。

 最近の私は、喧嘩をして嫌な気分になるくらいなら、
相手に合わせて行こうと思っているので、
妻の意見の方向で進んでいます(*^_^*)。

 お歳暮も、お中元も、
私の親戚と自分の親戚に、
結婚以来欠かさず贈っています。

 家内は北海道が実家なので、
こちらからは、夏は柿、冬はみかんを
向こうからは、夏はジンギスカン、冬は鮭を贈ってきます。
6軒ほどの親戚や友人から贈ってくるので、
その鮭の数は半端ではありません。

 年の暮のこの時期になると、厨(台所)で
鮭を家内が細かく割いて、
我が家の一年分の鮭の切り身とするために
鮭と格闘する妻の姿があります。

 沙汰添へて 届く荒巻 年の暮
 年の暮 日がな鮭切る 厨妻

 子供達が家を出て、独立してからは
とんと、お正月らしさがなくなりました。
それでも今年は長男夫婦が
生後一ヶ月半の孫を連れて来たので
やや正月らしさが戻りましたが……。

 子供の頃は、正月から少なくとも一週間は毎日お雑煮だったし、
雑煮以外に、焼き餅にして、海苔を巻いたり、
きなこをまぶして食べていました。
(今年は、お雑煮が2回だけ)
おせちも、昆布巻とか、お煮染め、黒豆、
大根と人参のなますとかは、家で作っていました。

 私の父は、結構味にうるさく、
黒豆とか昆布巻は自分でことことと煮ていました。
その姿は、今となっては年の暮の懐かしい風景です。

 黒豆に 父の拘り 年の暮

 大晦日の過ごし方も大きく変わりました。
お寿司を食べながら、NHKの紅白歌合戦を
見るのが、恒例でしたが、
ここ10年来、見なくなりました。

 知らない歌手が増えたこともありますが、
特別感みなちなものがなくなったのが、一番大きいと思います。
あのころは、紅白をみないと年を越せない
そんな雰囲気が日本中に漂っていました。

 知らぬ顔 増えし紅白 年の暮

 お正月を迎えるという、
わくわく感、高ぶりみたいなものがなくなりました。
これも年をとったという証拠でしょうか(*^_^*)?

 高ぶりも 失せて幾年 年の暮


 

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