初空
俳句 |
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触るる手に 杉の命脈 初御空 父まねて 叩く柏手 初御空 杉に添ふ 古札の煙 初御空 初空や 奈良井の宿の 檜箸 歌ふかに マイク持つ巫女 初御空 |
初空や 居住ひ正す 神の鶏 初空や 白鳥首を 持て余す 初空や 千本格子に 唐辛子 廃校に 響くふるさと 初御空 廃校の 机の落書(らくしよ) 初御空 |
季語について |
俳句にまつわる話 |
初空とは、新年の季語で、元日の朝の空のことで、初御空とも言います。 俳句の季節は2月〜4月が春、5月〜7月が夏 8月〜10月が秋、11月〜1月までを冬としますが、 冬の中のお正月(元旦から女正月「1日〜15日」くらいまで)を 特別に新年としています。 初空の句を作りにあたり、そこからお正月らしい気分、 新年の初々しい感じや、雰囲気の漂う句を作りたいと思いました。 イマジネーションの乏しい私ですから、 お正月=初詣と短絡的に考えてしまいますが、 それでも神社や初詣は日本のお正月らしさの筆頭だと思います(*^_^*)。 触るる手に 杉の命脈 初御空 命脈(めいみゃく)とは、命のことです。 神社には神木があり、樹齢百年を超える大木もあります。 杉や楠などがあり、木の周りには縄と紙垂(しで)が張ってあります その神木に手を触れると、何かを感じます。 さらに、心を澄まして聞くと、生きている杉の鼓動を感じることができ、 そこから力をいただくことができます。 まあ、実際に感じるかどうかは、別にして 感じらと思うことが大切だと思います(*^_^*)。 杉に添ふ 古札の煙 初御空 信心深い人は、古いお札を神社に持って行きます。 それをまとめて神社は焚き火のようにして燃やしていますが、 その古札を燃やす煙が、境内の杉に添って、 初空へ舞い上がっていきます。 そこに何か神聖なものを私は感じました。 歌ふかに マイク持つ巫女 初御空 大きな神社になると、団体客のために 巫女さんが案内して、神社の謂われとか縁を話してくれます。 私は巫女さんは俳句の句材となるので、注意深く見ています。 その時の巫女さんは若く、恐らくバイトの学生で 巫女衣装の下にヒートテックのインナーをつけていたり、 薄化粧では隠せない、ニキビを見つけたりして楽しんでいました。 カラオケのマイクの持ち方は人それぞれですが、 カラオケの好きな人や、得意な人は独特な持ち方をします。 その若い巫女は、マイクをカラオケを歌うように持って、 社の縁など話していて、面白いなあと思いました。 父真似て 叩く柏手 初御空 幼い子供が、隣にいる父親を真似て 柏手を打って、初詣をする風景は可愛らしく、 清々しい気分にさせてくれます。 この句を作りながら、自分ももっと子供に教えるべきことが、 いっぱいあったのに、何もしなかったことに後ろめたさを感じました。 でもそれとは裏腹に、それで良かったとも思っている自分がいます。 自分も父から何も教えてもらった記憶がなかったし、 それがあたり前のことだと思って、自分でやってきました。 子供の自主性を育てるには、それも良いことだと思います。 ただ、自分が小筆を習うようになって10年経ち、 今父が生きていたら、是非教えを請いたいと思っています。 同じことを習って、やっと父の大きさが分かりました。 |