五月雨

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俳句


五月雨や 半歩心の 後ずさり

五月雨や 山城守る 木曽大河

老どちの 病自慢や 五月雨

五月雨や ちやほやされて 嬰児太る

五月雨や 斎王越えし 鈴鹿峰
 

陽水の 歌しみじみと 五月雨

五月雨や 相合傘に 緊張す

節穴は 黄泉の入口 五月雨

縁側に 開かずの戸あり 五月雨

推敲は パズルのごとし 五月雨

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 五月雨とは、梅雨のことです。
俳句的には、梅雨は期間を
五月雨は雨そのものに重きを置くと言われます。

 五月雨や 半歩心の 後ずさり

 5月は温度差が激しく体調管理が難しいです。
 春となりせっかく心が解放に向かっていくのに、
それに逆らうように、急に寒くなったりします。
時にはストーブが必要な時もあったりして、
そんな時は心が半分だけ冬に戻ってしまいます。

 推敲は パズルのごとし 五月雨

 推敲(すいこう)とは、文章を何度も練り直すことです。
 俳句は、575の17音しか使えないので、
一つ一つの言葉が非常に大事で、重みがあります。

 同じことをいうのに、違う言葉を使うと
それによって句の雰囲気が随分と変わります。

 また、その俳句にふさわしい季語をみつけること、
句にぴったしの他に代え難い季語を見つけることは、
良い句を作る時の一番大事なことです。
推敲は時には苦しいけど、
逆にうまく行ったときは至極の楽しみが訪れます。

 老どちの 病自慢や 五月雨

 <どち>とは仲間のことです。
私も64ですから、立派な老人、
仲間が集まると、いつしかどこが悪いとかどこが痛いのと
病自慢が始まります。
この友の話を聞いて自分だけではない、
と勇気や安心をもらったりします。

 陽水の 歌しみじみと 五月雨

 井上揚水の「傘がない」を思い出します。
 この歌詞は、なかなか意味深で考えさせられ、
どこか哲学的で、人間の本質をついていると思います。

 五月雨や ちやほやされて 嬰(やや)太る

 生まれて半年になった孫、とてもかわいいです(*^_^*)。
月に一度、孫を連れて息子夫婦が帰って来た時には、
みんながちやほやして、
孫を中心にすべてが回っていきます。

 こんなかわいいのはいつまで続くのでしょうか?
そして、気がつけば憎たらしいことを言って、
心配をかける、やっかいな存在になっていきます。
今が一番良い時、そんな時がなければ
親は子供を育てません。
先の苦労を今の楽しみで補ってくれているようです。
 

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