山笑ふ

    俳句の目次へ 

 

俳句


山笑ふ 欠伸うつして 嬰児眠る

山笑ふ 奥に蔵見ゆ 通し土間

搦め手の 備えは大河 山笑ふ

肩越しに 漁る古本 山笑ふ

山笑ふ 肩寄せ置かる 杖二つ

 

山笑ふ ついに補助輪 浮きにけり

ドリブルの 玉の気侭(きまま)や 山笑ふ

雲海に 浮かぶ城址や 山笑ふ

酒蔵の はしご三軒 山笑ふ

復興を 眺む六甲 山笑ふ
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 山笑ふとは、俳句独特の言い回しで、
春の山が笑うかのごとく、華やいでいる状況をいいます。
これに関連して、夏は山滴る、秋は山装う、冬は山眠ると言いますが、
今は、山笑ふと山眠るだけが残りました。

 山笑ふ 欠伸うつして 嬰児眠る

 笑うこと、泣くこと、眠ることが商売の赤子、
眠そうに欠伸をする姿も可愛くと、頬がゆるんでしまいます。

 山笑ふ 奥に蔵見ゆ 通し土間

 通し土間とは、京の町屋(商家)づくりの特徴で、
犬山の城下町にも町屋づくりの商家がありました。

 搦め手の 備えは大河 山笑ふ

 搦め手とは、城の裏門のことです。
国宝犬山城は山城で、搦め手に木曽川が流れているので、
難攻不落の城でした。

 山笑ふ ついに補助輪 浮きにけり

 幼い子の自転車の練習用の補助輪、
じっとそれを見守る父親、そして努力のかいがあって、
やがて補助輪が浮いていきます。

 これはキャッチボールと共に、父と子の愛情溢れる典型的な風景
です。めんどくさがりやでいい加減な父親だった私でも、
この二つはやっています(*^_^*)。
 

上に戻る