神無月

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俳句

山車鞘に 眠る神舟 神無月

菰樽に まどろむ猫や 神無月

神無月 絵馬に英字の 筆記体

神無月 絵馬に溢るる 願意かな

狛犬の 影絵まろやか 神無月
 
晴着着て こける童や 神無月

青銅の 千木の天突く 神無月

神無月 日がな狛犬 海眺む

来し方は 運に恵まれ 神無月

神領に 一人遊ぶ子 神無月

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 神無月とは、陰暦(旧暦)十月のことです。
出雲の国に全国の神々が集まり、縁結びの会議をするために、
各地の神社の神々が留守になるという謂われから、
そのため逆に出雲では、神在月、神有月と言われます。
旧暦10月は、新暦では10月下旬から12月上旬ごろに当たり、
秋から冬へと急速に季節が移ろう頃です。

 菰樽に まどろむ猫や 神無月

 神社に行くと、地元の銘柄の菰樽が奉納されています。
俳句を作るために、地元に神社に行った11月の小春日に、
菰樽の上に猫が気持ちよさそうに眠っていました。
まるで、神がいない気安さを満喫するように……。

 山車鞘に 眠る神舟 神無月

 半田市にある住吉神社の宮池は、
春祭になると2艘のちんとろ舟(まき藁舟)が浮かびます。
 その提灯に灯が入り、何とも幻想的な雰囲気を醸し出し、
その舟上で童が三番叟を舞います。
 ちんとろ舟は、今は池の畔にある、
山車鞘の中で春の出番を待つように静かに眠っています。

 神無月 絵馬に英字の 筆記体

 神無月の句を作るために、地元の神社を梯子しました。
絵馬に何が書かれているのかと近くに寄って見ると、
そのほとんどが合格祈願でした。

 その中に一枚英語で書かれた絵馬もあり、
流れるような筆記体は小春日のように、心を丸くしてくれます。

 神無月 絵馬に溢るる 願意かな

 中には願い事が多すぎて、
一枚では足りず、二枚にまたがるものがあったり、
同じ願いを何枚も書いてあるものもありました。

 たとえ神が留守であっても
これほどの必死の願いなら、叶えられるなと思って見ていました。

 晴着着て こける童や 神無月

 11月15日は七五三の日、そのためその前の週の土日には
神社に晴着を着た子供が、親に連れられてお参りにきていました。
家族で写真を撮っている姿を見ると、きっと幸せの絶頂なんだと思い、
自分にもそんな日があったことを懐かしく思い出しました。

 晴着の下に草履をはいている男の子は、
袴の裾が長くて踏んでこけている子がいました。
何とも可愛いものです。

 また女の子は着物を着て、階段を上る時
裾を気にしている姿が、大和撫子の恥じらいがあり、
仄かな色気を感じました。
 

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