虹
俳句 |
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手を広ぐ 希望の像に 朝の虹 パンドラの 箱に希望や 虹立ちぬ 南吉の 遠くに虹を 見て逝きぬ 母の住む 黄泉の国へと 虹の橋 淡き虹 恋する神の 御業(みわざ)かな |
夕虹や 下駄に明日を 占ひぬ 万事佳し 天に虹立ち 嬰太る 虹立つや 性善説と 我はあり ほどの良き 一日の疲れ 夕の虹 立山の 男滝(おだき)に虹の 一会かな |
季語について |
俳句にまつわる話 |
私が虹から受けるイメージは、<希望><明るい未来><ポジティブ>などです。 パンドラの 箱に希望や 虹立ちぬ ギリシャ神話の「パンドラの箱」にかけた俳句です。 「パンドラの箱」には諸説ありますが、 私が一番好きなのは、次のようなものです。 ******* パンドラは神の作った最初の女性です。 パンドラが天上から地上に降りた時に、 ありとあらゆる悪の詰まった箱を持ってきました。 だたそれは、モーゼから決して開けてはならないと厳命されたものでした。 しかし、その箱が開けられてしまい、ありとあらゆる悪がこの世に飛び出しますが、 <予見>という箱(将来が見える)のみ開けられませんでした。 ****** 人間にとって最も大事なこと、それは先がわからないことです。 未来を予知する能力がないから希望が生まれます。 先が分かったら、夢も希望もないですからね。 人間は必ず死にますが、いつ死ぬかはわからないため その時まで頑張って生きていくことができます。 南吉の 遠くに虹を 見て逝きぬ 南吉は29歳という若さでこの世を去りました。 童話作家として明るい未来が見えかかった時のことで、 生きていたら もっとすばらしい作品が書けたのにとの、 悔しい思いで一杯であったと想像しています。 ほどの良き 一日の疲れ 夕の虹 忙しい一日が終わった後は、体は疲れているのに、 充実感で心は高揚し、幸せな気分に浸ることができます。 そえを夕方の虹がねぎらってくれているようです。 そんな時はビールでも飲んで、 誰彼となく話がしたくなります(*^_^*)。 立山の 男滝(おだき)に虹の 一会かな 立山の称名滝、この滝の迫力にはぶったまげました。 (称名滝は、350 mという日本一の落差を誇る四段構成の滝です。) 滝は、滝の上に水が現れてはまた落ちるということを 無限に繰り返します。 でも、そのことは決して同じことの繰り返しではなく、 一期一会の世界です。 ましてそこに虹が架かっていれば……。 |