雪吊

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俳句

雪吊の ガイドの身振り 手振りかな

雪吊や 百万石に 生く矜持

雪吊は 天地を結ぶ 梯子かな

雪吊や 加賀の銘酒に 氷見の鰤

雪吊や 縄の千本 皆主役
 
雪吊の 天に庭師の したり顔

雪吊の 若き庭師の 気負ひかな

雪吊の 聖樹の如く 灯さるる

雪吊や かくして技の 伝わりぬ

雪吊は 春待つ加賀の 祈りかな
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 雪吊とは、冬季、雪が付着することで、
樹木の枝が折れないように縄で枝を保持することで、
金沢の兼六園が有名です。

雪吊の ガイドの身振り 手振りかな

 金沢の兼六園に行った時、雪吊りされた松の前で、
ガイドが、雪吊りの様子を大きな身振り手振りで説明していました。
地元のガイドにとって、兼六園の雪吊りは自慢で、
その説明には自然と力が入ってしまうのでしょう。

 雪吊りや 百万石に 生く矜持

 矜持(きょうじ)とはプライドとか自尊心とかのことです。
人が人であることの最後の砦であり、
私にも密かな矜持があります。
そして、老いてもそれは持ち続けていきたいと思っています。

 雪吊りと言えば金沢の兼六園で、
加賀百万石のお膝元です。
そんな誇りをそこに生きている人は知らずに持ち、
意識しているのでしょう。

 雪吊りや 加賀の銘酒に 氷見の鰤

 金沢へ出張した時、お昼に回転寿司を食べました。
北陸は魚の旨い所で、回転寿司も新選でおいしかったです。

 氷見の寒鰤は有名で、寿司ネタとして最高のものでしたが、
なんといっても、出張の楽しみは地元の酒と魚です。

 雪吊りの 縄千本の 皆主役

 兼六園の老松には千本の縄が使われると聞きました。
その千本の縄はそれぞれ役割があり、皆主役です。
一本として不要な縄はない、そんな気概をもって
縄は体を張っています。

 雪吊りの 天に庭師の したり顔

 したり顔とは、思い通りになって得意そうな顔つきのことです。
雪吊りには、伝統技術があり匠の技が必要です。
棟梁は雪吊りの庭師集団の総帥であり、
雪吊りの中心にある棒の天に昇って指図する
その姿は格好良いものです。
 

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