冬桜

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俳句

今盛り なれど寂しき 冬桜

病弱な 母の襟足 冬桜

冬桜 ここより下る 女坂

滾るもの 内に秘めたる 冬桜

翁枯れ 媼生き生き 冬桜
 
坂多き 田楽狭間 冬桜

幾山を 越えて今ある 冬桜

来たるべき 時の先駆け 冬桜

夕暮の 一際寂し 冬桜

兵とても 妻子ありけり 冬桜

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 私は桜の品種は詳しくありませんが、
冬の時期に咲いている桜のことを、<冬桜>と解釈しています。

 ただ、冬桜と聞くとすぐに思い出すのは、
5年ばかり前に行った、小原村の四季桜のことです。

 その圧倒的な美しさは今でも目に浮かびます。
その時に作ったのが、

 一山を天馬となせり冬桜

です。
 この句が小原村の四季桜の見事さを言い表している気がします。

 また、この時期の紅葉とのコントラストが見事で、
紅葉の鮮やかさを際だたせると同時に、
冬桜の儚さを感じさせてくれました。

 冬桜とは関係がないのですが、
小原村ついでに書いてみます。

 五年前に、四季桜を見るために、
小原村に行っていろいろと散策していると、
あるお寺の庭に、背が高く、今まで見たことのない花を見つけて、
花の名聞くと、「皇帝ダリア」だと教えてくれました。

 最近、ハイキングに行くと、
至るところに、この皇帝ダリアが咲いています。
その繁殖力は凄いもので、
ネット調べると、メキシコ辺りが原産の外来種みたいです。

 外来種といえば、背高泡立草も、
気がつけば日本を席捲してしまいました、
それと同じような感じかなと思ったりしています。

 その名前のごとく、高い所から見下ろし、
花も薄紫で品があります。
だれがこの名前をつけたのかしりませんが、
見事なネーミングだと、この花をみるたびに、
感心しています。
余談になってしまいました。

 今回は小原村には行かずに、近所の冬桜で句を作りました。
家から車で10分ばかり行った所に、
青山武道館があり、そこに冬桜が5本ばかりあります。
 
 花びらは小さく、色も淡く、
今が盛りなのに、花の数が少ないので、
気が付かずに通り過ぎて行く人が多い気がします。
華麗さがなく、控えめで、小原村の四季桜と全く対照的です。

 小原村の冬桜は別にして、この花から受ける印象は、
花の儚さと寒い冬に咲くということから、
女性、それも表面的には弱いけど、
芯の強い女性がイメージされます。

 今盛りなれど寂しき冬桜
 冬桜ここより下る女坂
 幾山を越へて今ある冬桜
 夕暮の一際寂し冬桜
 たぎるもの内に秘めたる冬桜

 11月29日(日)に名鉄ハイキングで、
大高公園と桶狭間の古戦場を歩きました。
不思議なもので、冬桜冬桜と思っていると、
いつもはめったに目に入らない冬桜にも、
出会うことができるものです。

 兵とても妻子ありけり冬桜
 坂多き田楽狭間冬桜
 

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