羽抜鶏

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俳句

柏手を 打てば寄来る 羽抜鶏

由来(ゆらい)説く 巫女に寄添ふ 羽抜鶏

行く末を 見据え断捨離 羽抜鶏

羽抜鶏 鶏冠(とさか)に偲ぶ 勇姿かな

結界を 一人闊歩の 羽抜鶏
 
神域の 鶏冠凛々しき 羽抜鶏

我が物で 寺領闊歩の 羽抜鶏

身の丈に 合わす生活(たつき)や 羽抜鶏

羽抜鶏 秘めし気概の 面構え

羽抜鶏 鳥居の先に 穂高岳
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 夏になると鳥は冬羽から夏羽へと抜け替わるので、
この頃の羽のまだ整わない鳥のことを<羽抜鶏>と言います。

 昔は鶏を飼っていた家が多くありました。
私の家は飼っていませんでしたが、親戚の家は飼っていたので、
羽抜鶏のこと、名前は知らなかったけど
鶏がどんな状況になるかは知っていました。

 羽抜鶏で句を作るためには、
そこから何を連想し、
イメージを膨らませていくか?
それが必要です。

 まず頭に浮かんだのが、知立神社や穂高神社で見た
鶏のことで、これを神鶏といいます。
(神鶏とは、神社に飼われている鶏のこと。)

 神聖で威厳があり、句材としてふさわしいので、
神鶏と何かの取り合わせれば、
良い句ができるのではと考えました。

  柏手を 打てば寄来る 羽抜鶏
 由来説く 巫女に寄添ふ 羽抜鶏
 結界を 一人闊歩の 羽抜鶏
 神域の 鶏冠凛々しき 羽抜鶏

 羽抜鶏の羽が抜けるのは、夏鳥となる準備であることから、
これから先の老後のことを連想しました。
行く末を考えると、いろいろと無駄をなくし、
身の丈に合った暮らしに変えていく必要があります。

 ものを捨てることは難しいことで、いつか使えるのでは?とか、
もったいないという気持ちや未練が働きます。
それに打ち勝ち、思い切って「切る」ことが大事です。

 行く末を 見据え断捨離 羽抜鶏

 老後は静かに、穏やかに暮らしたいと思います。
それには背伸びをしないことや、完璧を目指さないで、
いい加減(良い加減)にやることが必要です。
さらに、無理をしない,
人からよく思われようとしないこと。
そして、経済的にもそれに見合った暮らしが大事です。

 身の丈に 合わす生活(たつき)や 羽抜鶏。
 

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