新涼

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俳句

新涼や いかつき車夫の 京言葉

新涼の 宮を小走る 巫女袴

新涼の 街にフランス 映画祭

新涼や 句会仲間の 初句集

新涼の 奈良井の宿に 忌中の灯
 
学生の 消えて図書館 涼新た

新涼の 雨音夢の 中に聞く

新涼の 御所に客待つ 女車夫

新涼の 棚田に望む 日本海

新涼や 車窓の景と 文庫本
 

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 「涼し」は夏の季語で、
暑さの中で感じる夕暮れ時や水場などの涼しさのことです。
これに対し、秋の季語「新涼」は、
秋の訪れとともに、暑さが弱まっていくことで
感じられるようになった確かな涼しさのことです。

 新涼をどんな時に感じるか?
または、夏から秋への変化をどんなものから感じるか?
これを句を作る時のヒントにしました。

 新涼や いかつき車夫の 京言葉

 有名な観光地に行くと、人力車が客待ちをしています。
人を乗せて車を引くのですから、体力がいる仕事で、
がっちりした若い男性の車夫がほとんどです。

 そんな車夫と柔らかい京言葉との取り合わせは、
爽やかで新涼が感じられます。

 新涼の 雨音夢の 中に聞く

 寝苦しい夏の朝に対して、
涼しくなった朝の床の中で、
外にふる雨音を聞いているのは、
なんと爽やかで贅沢な一時なんでしょう。

 新涼の 宮を小走る 巫女袴

 普段はゆっくりと落ち着いて歩く巫女が、
携帯を片手に小走りをしていることの面白さ、
彼女に何があったのか?
いろいろと妄想が脹らんでしまいます(*^_^*)。

 新涼の 街にフランス 映画祭

 アランドロンやカトリーヌドヌーブ、
そして映画音楽などのフランス映画は、
私の青春の思い出と一緒になっています。
決してハッピーエンドでは終わらない、
フランス映画こそ、新涼にふさわしい映画だと
私は思います。

 新涼や 句会仲間の 初句集

 俳句を始め、結社に入ると、
その結社の人が句集を出すと謹呈という形で
句集をいただくことがあります。

 私はその句集を必ず読んで、感想を添えて感謝の手紙を書きます。
個人の句集は、1ページに一句、または二句のことが多く、
その余白の大きさが新涼を感じさせてくれます。
ましてそれが初句集となればなおさらです。

 作者が考えたものとは別に、
読み手側が想像を膨らませる余地が多いものほど
良い句であると言われます。
一頁一句の余白から、
ここにあなたの想像を自由に脹らませてくださいという、
そんなメッセージを感じます。

 学生の 消えて図書館 涼新た

 学生や受験生は、夏休み中は図書館が勉強場所、
席を取るために早朝から長い列ができます。
家ではなかなか勉強する気になれないが
みんながやっている図書館だと、
なんだかとできるような気がするものです。
 

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