地蔵盆

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俳句

この日のみ 善き子となりて 地蔵盆

遊び場の 今日は華やぐ 地蔵盆

歓声の 路地を駆け行く 地蔵盆

路地ごとに 競ひし菓子や 地蔵盆

ふるまいの 後は静寂 地蔵盆
 
菓子のため 経は我慢の 地蔵盆

経終る 頃に子の増す 地蔵盆

差配する 婆の矍鑠 地蔵盆

祖母のため 介護目指す子 地蔵盆

地蔵盆 そっと見守る 子の試練

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 地蔵盆とは、お地蔵さんの縁日(8月24日)を中心にした
お祭りのことを言います。
子供の成長や幸福を願うお祭りで、発祥は京都、
主に関西地方で広く行われている行事です。

 そのため、愛知県や東日本ではなじみのない行事で、
私も俳句を始めてから、こんな季語があることを知りました。
その賑わいや雰囲気を知りませんが、
ネットで調べると、私が子供の頃に体験した
「弘法さん」に似ている気がしました。

 私は蒲郡市の生まれで、
三谷には弘法さんの大きな像が建っていることもあり、
弘法信仰に篤い地域でした。

 何しろ小学生の頃ですから、ほとんど何のことか意味もわからずに、
この日(五月頃)には、お菓子がもらえる日ということで、
早朝から学校に行くまでの間に、
できるだけいろいろな所を回ってお菓子をかき集めていました。

 今から50年も前にはお菓子も貴重で
それがただでもらえるとなり色めき立ち、大興奮の一日でした。

 各家や、弘法さんが祭られている路地や辻
(お地蔵さんだったかもしれません)で、
いろいろな種類のお菓子が配られ、
特に高価で変わった菓子の所は、長い列ができていました。

 ただ、いつの頃からかだんだんと
下火になって行ったことを覚えています。
今はどうなっているのでしょう?

 そんなわけで、ネットのイメージと、
50年前の弘法さんの経験から句を作って見ました。

 まずはお菓子をもらえた経験から

 歓声の 路地を駆け行く 地蔵盆
 路地ごとに 競ひし菓子や 地蔵盆

 ネットで知った地蔵盆は、お坊さんが経を詠んでいることが多く、
おそらくその後で、お菓子やふるまいがあったのではないか?と
想像して

 ふるまいの 後は静寂 地蔵盆
 菓子のため 経は我慢の 地蔵盆
 経終る 頃に子の増す 地蔵盆
 この日のみ 善き子となりて 地蔵盆

 私の家の横に地蔵堂があります。
もちろん地蔵盆はありませんが、
そこを管理している熱心なおばあさんが3人います。
どんなことでもそうですが、誰かが支えないと終わってしまいます。

 もし、これが関西だったら、
この地蔵堂にむしろを引いたり、
テントを張ったりして地蔵盆が行われるのでしょう。

 遊び場の 今日は華やぐ 地蔵盆
 差配する 婆の矍鑠 地蔵盆
 

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