餅花

    俳句の目次へ 

 

俳句

餅花の 湯宿にショパン 聴く夕べ

「ふるさと」に 終る演奏 餅の花

煤焼けの 梁に餅花 飛騨の里

寅さんの 居そうな露店 餅の花

フロントに 餅花飾る 秘湯かな
 
餅花や 鄙びし宿の 旅芝居

餅花は 哀し駒子の 吐息かな

餅花の 露店賑はふ 諏訪大社

餅花や 見目麗しき 巫女揃ふ

餅花や 面売る香具師の 口達者

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話

 
 餅花とは、柳の枝などに、小さく丸めた紅白の餅を
つけたもので、一部の地域(信州とか飛騨など)で
五穀豊穣を願って、小正月(1月15日)に飾るものです。
また、花のない地方の冬を、多少なりとも
華やかにするためのものだとも聞いたことがあります。

 ただ、愛知県に生まれて育った私には、
餅花はまったく縁遠いものです。
最近でこそ、飲食店の飾りとか、
商店街のアーケードの飾りとして、見ることはありますが、
それも、ほとんどがイミテーションです。

 この餅花も俳句をやっていなければ、関心のないまま
通り過ぎて行ったものです。
でも、今回はこの季語で10句を作らなければならないので、
いろいろと、想像を巡らして句を作りました。

 餅花からのイメージは、雪国、田舎、お正月、
祝い事、店の飾りつけ、お正月の露店などですが、
おめでたいものであるのに、どこか寂しいものを感じるのは、
私だけでしょうか?

 1月の4,5日と家内と一緒にクラブツーリズムの
ミステリーツアーに行ってきました。
うたい文句は<雪景色の見える露天風呂>でしたが、
そのころは暖冬で雪は全くありませんでした。

 ホテルは信州の横谷温泉でした。
山の上にある一軒家で、携帯の電波も途切れがちになる
それほどの辺鄙な秘湯でした。

 フロントに餅花飾る秘湯かな

 その湯宿のロビーで8時過ぎから1時間ばかり、
クラシックの演奏会があり、
最後に、<ふるさと>の演奏に合わせて、
ロビーの観客全員が合唱して、お開きとなりました。

 大半が私と同世代かそれ以上の世代なので、
この歌は、誰でも知っているど真ん中の歌です。
私は時々カラオケでも歌いますが、
年と共にこの歌詞の意味、良さがしみじみとわかってきました。

 クラシック演奏会だと、堅苦しくなるのに、
歌謡曲や童謡など、観客に合わせて選曲が、
田舎の湯宿ぽくてよかったです。

 「ふるさと」に終る演奏餅の花

 旅行の1日目の4日に、
諏訪大社の上社の方にお参りにいきました。
境内は露店が左右にずらりとならび、
結構な人だかりでしたが、
バスがその人混みを縫って、
駐車場まで進んで行ったのにはびっくりでした。

 露店はどこでもにたりよったりですが、
お正月ということで、
福達磨を売っている店がいくつかありました。
孫の土産に銀色の達磨(孫の名にちなんで)を
家内が買いたいと言ったので、注意して見てみると、
値札の表示がありません。(きっと縁起物のためなのでしょう)

 さらに、売っているおじさんがパンチパーマだったので、
怖くて買えませんでした(*^▽^*)。

 寅さんの居そうな露店餅の花
 餅花や面売る香具師の口達者
 餅花の露店賑はふ諏訪大社

 諏訪大社は由緒正しき、信濃国の一ノ宮なので、
初詣にたくさんの人が来ていました。
その多くの人を裁くために、
神社では臨時の社務所を仮設で設け
10人ばかりのバイトの巫女が
お札や、熊手、お神籤を売っていました。

 餅花や見目麗しき巫女揃ふ

 後、餅花のイメージから、
飛騨高山の白川郷の合掌造りの里がぱっと浮かびます。

 煤焼けの梁や餅花飛騨の里

 そして、雪国から、川端康成の「雪国」の駒子を、
イメージしました。

 餅花は哀し駒子の吐息かな
 

上に戻る