生身魂

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俳句

三猿は 老いの嗜(たしな)み 生身魂

都合良き ことのみ聞こゆ 生身魂

日本を 作りし自負や 生身魂

忘却は 強き味方や 生身魂

生身魂 王道なしを 実践す
 
一合に 饒舌となる 生身魂

酒飲まぬ 時は佛や 生身魂

三猿を 戒めに生く 生身魂

貧しさも 豊かさも知る 生身魂

生身魂 病自慢は 無尽蔵

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 生身魂は歳時記には、「お盆には、先祖の御霊を迎えるとともに、
一家の長老を生きた御霊として祀る。
今も蓮の葉にもち米飯を包み、刺し鯖を添えて贈ったり、
物などを献じる。」とあります。

 この季語も俳句をやらなければ縁のないもの、
知り得ないものだっと思います。
少なくとも私の生まれた東三河では、
生身魂を祀るということはありませんでした。
 ただ、私の家だけかもしれませんし、
他県ではそのような風習があるのかもしれません。
もし、あったら教えてください。

 生身魂は単に長寿の老人ということだけではなく、
そこに尊敬の意味が含まれていることが肝心だと思います。
今までの生き様や今の生き方が尊敬できる長寿者が
生身魂であると、私は解釈し句を作りました。

 幸いなことに俳句をやっているので、
80代はごく普通に、90以上の方もいて、
生身魂の存在は身直に感じています。

 皆さん頭脳明晰で、向学心に満ちていて、
老いても日々学んで行こうという姿勢には
頭が下がり、自分もそうありたいと強く思っています。

 また、長年培ってきた俳句の技術を駆使した
句はすばらしく、私の及ばない所です。
さらに、今の世相を詠った俳句も作られ、
ぼけている暇もないようです。
自分も後15年も続ければ、80歳となり、
俳句仲間から尊敬をしてもらえるのでしょうか?

 生きていくことは辛くて、難しいこと、
人間関係は煩わしく、日々の平穏を保って行くには
心の持ちようが大切です。

 最近の私もそうですが、よく物事を忘れます。
忘れることは、老化現象でマイナス面ばかり強調されますが、
わすれることによって、再度挑戦できたり、
過去の嫌なことを忘れたり、それによって前に進むことが
できることなどの利点もあります。

 年を取ることは、体力的には落ちて行くし、
病気になる確率も高くなります。
でも、耳が遠くなれば、嫌なことは聞かなくて良いし、
目が悪ければ、見過ごすことも一杯あります。
それが老人力であり、老後を健康で
楽しく生きていくための知恵です。

 都合良き ことのみ聞こゆ 生身魂
 忘却は 強き味方や 生身魂
 平凡に 生きる非凡さ 生身魂

 三猿とは、見ざる聞かざる言わざるの三猿のことです。
日光東照宮の左甚五郎作の三猿の彫り物が有名です。

 私の目標は愛される老人、
愛されるには、謙虚さが一番大事、
威張ったり、人をバカにしたり、自分の自慢ばかりする
老人にはならないように心がけています。

 三猿は 老いの嗜(たしな)み 生身魂
 三猿を 戒めに生く 生身魂
 身の丈に 合はす生き方 生身魂

 健康が一番ですね。
今回前立腺の生検のため
1泊2日だけの入院でしたが、
念のための検査だと思っても、
これで癌が見つかったらどうしようとか、
結構ネガティブになり落ち込みました。

 どうせ入院中は暇だから、
俳句を沢山作ろうと思って入院しましたが,
結局なにもやる気が起こらず、
ベットに寝ているだけで終わってしまいました。

 今回の入院、良い方に考えれば、
神様が健康のありがたみを
知らせるためにしてくれたのかもしれません。

 9月1日に結果がわかりますが、
結局癌ではないことがわかり、
今回のことが笑い話で終わることを願っています。

 生身魂 病自慢は 無尽蔵

 団塊の世代(70歳から65歳くらい)の
一つ前の世代が戦後の高度成長を牽引し、
働き蜂などと揶揄されながら
頑張ってくれたおかげで、
現在の日本があると言っても過言ではないと思います。
 だから、自分たちが今の日本の礎を作った
そんな自負が強いかもしれません。

 日本を 作りし自負や 生身魂
 貧しさも 豊かさも知る 生身魂

 

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