合歓の花

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俳句

合歓の葉の 今日を愛しむ ごとく閉づ

待ちあぐみ 白雪姫の 合歓となる

花合歓に 囁く風の 揺(よう)籃(らん)歌(か)

語り部に 生くるひめゆり 合歓の花

斎王の 輪廻転生 合歓の花
 
天上の 宴と咲けり 合歓の花

死はどこか 他人事なり 合歓の花

花合歓の 稚児は必死に 母探す

稚児の日の 娘は純な 合歓の花

十重二十重 波打つ合歓の 舞扇

 

季語について

 

 

俳句にまつわる話


 今まで合歓の花を見たことがありません。
合歓と知らずに見たことがあったかもしれませんが、
はっきりと、合歓の花を意識して見たことはありませんでした。

 今は便利な時代で、ネットで検索をすれば、
たちどころに花の生態から、写真まで見ることができます。
でも、できるだけ実物を見て俳句を作りたいというのが
私のポリシーですから、今回も於大公園に行ってきました。

 於大の方は、家康の生母に当たる方で、
出身は知多半島の東浦町です。
というわけで東浦町に、
於大の方の名を冠した公園があるわけですが、
そうかと言って特に記念館があるわけではありません。

 ただ、花の種類の豊富で、
広く伸び伸びとした敷地の中にある普通の公園です。
季節の花が豊富に咲いているので、
花の名の季語で俳句を作らなければならない時は、
この公園に来て俳句を作ります。

 そんなわけで、かれこれ4回ほど来ていますが、
今回は10日の午後から4時間くらいかけて、
園内をゆっくり散策し、
じっくりと合歓の花の句を作りました。

 合歓の花(写真参照)から、皆さんは何を連想しますか?
私は可憐な花であることから、乙女とか少女を
それから、花の形から髪飾りとか舞扇を連想しました。

 また、合歓の葉は夕暮れになると、
まるで眠りに入るように閉じる特性があることから、
眠りとか死や浄土などを連想しました。

 まずは可憐な花から句を作ると、

 花合歓の 稚児は必死に 母探す
 稚児の日の 娘は純な 合歓の花
 十重二十重 波打つ合歓の 舞扇
 天上の 宴と咲けり 合歓の花

 夕方に葉を閉じることから句を作ると、

 合歓の葉の 今日を愛しむ ごとく閉づ

 眠りとか死のイメージから句を作ると、

 斎王の 輪廻転生 合歓の花
 死はどこか 他人事なり 合歓の花
 花合歓に 囁く風の 揺籃歌
  ※ 揺籃歌(ようらんか)とは、子守歌のことです。

 それから最後に、少しユーモアを込めて句を作りました。

 待ちあぐみ 白雪姫の 合歓となる

 白雪姫は深い眠りに落ちて、
王子のキスによって目覚めます。
でも、そんなに都合良く王子が来てくれるわけでもなく、
ひょっとしたら王子は現れないかもしれません。
そうなると、白雪姫は合歓の花となって
いつまでも待たなければなりません。


 

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