日々の思い

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<h16.11.17>

老後と親の介護   

  我々中年にとって、老後の過ごし方と親の介護は避けて通れないものです。今日は親の介護について私の体験を書きます。ちょっと長いですが我慢して読んでください。

 私の母は80歳になりますが、アルツハイマーで要介護は4です。父が平成11年の5月に胃ガンでなくなり、しばらく一人で暮らしていたのですが、その内父の幻影(死んだ父が座敷に座っていていろいろ話をする、でもなかなか帰っていかないと電話をかけてきた)を見るようになり、あわてて同居をしました。

 市民病院での診断でアルツハイマーの初期の状態と言われました。同居してしばらくは、幻影を見たり、そわそわ落ち着かなく、食欲もなかったのですが、その後落ち着いて食欲もでて健康状態もよくて安心していました。

 それが、平成13年の4月下旬、急におかしくなりました。一人で立ち上がれなくて、歩くのもふらふらの状態でした。トイレが満足にできず、塗り薬をなめたり、目薬をお茶の中に入れたり、手がふるえて食事がうまくとれませんでした。変なうわごとみたいな事も言っていました。この時から妻が母と添い寝をするようになりました。

 そんな状態がしばらく続きましたが、その後、症状も元に戻り平穏な日々が続いていました。ところが、6月の中旬頃にまたおかしくなりました。このようにアルツは悪くなったり、元の状態に戻ったりを繰り返し、徐々に病状が悪化して行きます。

 私の携帯に妻から電話があり、すぐに帰ってきてほしいと言われました。母は昨晩から一睡もせずに、起きてごそごそし、変なことをしゃべり、トイレに10分おきに行くようになっていました。私が妻に呼び出されて、帰った頃は少し落ち着いていましたが……。 

 前の晩から母と一緒に寝ていた妻は、全然寝ていないみたいで疲れ切って、相当苛ついていました。そこで、その晩は私が母に付き添って寝ました。

 その日からずっと妻と一日交代で母に付き添って寝ています。 そのことで妻のイライラは解消されたみたいです。それは、私の協力がはっきりした形で示されたことが大きいと思います。言葉では言っていたけど、やはり行動です。100の素敵な言葉より、1つの行動これに勝るものはありません。

 人間関係の難しさを常々感じてはいますが、夫婦の関係も相当難しいものです。特に、男は言葉に出さなくても妻は分かってくれている、そんな楽観的な所がありますからね。母の介護のことで、はっきりと言葉に出し、それを行動で裏付けていくことの大切さを勉強しました。

 母は昨年から一ヶ月交代で、特養にロングスティをしています。在宅の時は日曜日以外は9時から5時まで同じ特養でデイサービスに行って、それ以外を妻が面倒を見ています。介護には家族の協力ももちろん必要ですが、施設や行政との連携も重要です。妻は以前はパートに出ていましたが、現在は介護のこともあって専業主婦をしています。

 母と一緒に寝るのは、妻の介護を少しでも助けることができたらと思ったからです。日中は仕事で出ていますから、介護のほとんどは妻がやっています。夜交代で寝ることくらいしか自分にはできないので、自分から進んでやっています。気持ちの問題ですからね、<世話をかけるね>とか<いつもありがとう>という言葉は、できるだけかけるようにしています。

 アルツは脳の細胞が死んで記憶が失われることから起こります。でも、不思議なことに昔のことは覚えているんです。娘時代の出来事を覚えているのに、さっき食べた食事のおかずが何であったか思い出せない。今は自分の名前を言えない事もあります。もちろん私の名前や自分の息子であることさえわからないことがあります。

 最近の母は体力も極端に衰えています。とにかく、トイレに頻繁にたち(ひどい時は、5分くらいの間隔で、でも実際は出ない)自分でおむつを上げたり下げたりできない状態です。興奮した状態が3日続いたと思うと、後の3日間は割と静かに落ち着いています。躁鬱の繰り返しのような感じです。母の寝ている部屋は小便と大便の臭いで充満し、消臭剤の臭いも効きません。

 妻と一日交代で、夜寝ていますが、躁の時にはほとんど寝ずに頻繁にトイレに立つことが辛いです。そんな時は、明け方の4時頃にやっと眠りますので、私の睡眠時間が3時間程度になってしまい、勤務にも影響がでます。そんな時、いらつきから母を大声で叱ったり意地悪をする自分が嫌で、後から惨めになります。 施設の連携が重要と言いましたが、最近の母の介護の大変さを察してくれて、特別にロングステイを長くしてくれました。そのため、今母は11月から1月まで3ヶ月間、施設でロングスティをしています。だから、家にはいません。

 私の妻はアクティブな女性でボランティアや地域活動に熱心で信頼されています。だから夜外に出ることも多いので、その間は私が母の面倒を見ています。

 私が言うのも何ですが、妻は能力の高い女性で家庭に縛っておくのはもったいない、社会の損だと思っています。立派な女性を持った夫の寂しさが、メールやサークルに何かを求めているのかもしれません(笑)。

 今は水を得た魚のように、ボランティアや地域のリーダーとして活躍しています。だから土日はほとんど家にいません。現在はイキイキとしていますよ(笑)。時々疲れると一緒に外食に行ったり、旅行に行きます。昨年は、タイと高知へ行ってきました。私はもっと行きたいのですが、何しろ彼女は忙しい人なので、私の都合より彼女の都合に合わせることができません。きっと、私が主夫になって彼女が外で働いた方が良かったかもしれません。そんなことを最近は思っています。

 長くて暗い話になってすいませんでした。

 

 

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