日々の思い

日々の思いの目次へ 

 

<h17.2.16>

北の零年を見てきました。

  ネタバレにならないように注意をして書きましたが、この映画をこれから見る予定の方は注意をして(読まない方が良いと思います)ください。

 明治維新、日本が大きく変わる激動の時代。明治政府の理不尽な命令により、四国・淡路の稲田藩は北海道への移住をさせられます。厳しい寒さの北の大地を開拓するのは、想像を絶すること。頼みの綱は激寒でも育つ稲を札幌から持ち帰ること。この大事な役割を志乃(吉永小百合)の夫である小松原英明(渡辺兼)が担って、単身札幌へ……。でも、いつになっても帰らぬ夫、そして稲田家の人々に試練の冬が……。

 夫を信じて待つ志乃と娘、それをかげながら支える、アシリカ(豊川悦司)。稲田家の人々の苦労、そして夢は叶えられるのか?

 豊悦が格好いいですね。私もあんな男になりたい(笑)。志乃と娘多恵に自分のせいで殺された妻と娘をダブらせ、それがいつしかしのぶ恋に。好きだけど好きとは言ってはいけない、そんな大人の恋もあります。それができるのは真に強い男だけ。私などはそれを自分の中に収めておくことが辛くて言ってしまう。これは自分勝手なことで、ただ自分が楽になりたいためにすること。それによって相手を苦しめることもあるから、相手のことを思ってのことではない。今の時代にはそぐわない恋かもしれない。幕末から明治、その時代が命じたこと?それともその人の考え方?。そして、志乃も好意を感じながら、それを表に出さない忍ぶ恋。それと対照的なのが夫の英明、やむを得ない事情とは言え私は許せない。

 私は、北海道に対する思い入れがあるので、娘多恵のいいなずけが死ぬシーンなど、涙が溢れるシーンや感動的なシーンがいくつかあった。 吉永小百合59歳、サユリストの私がみても、アップの時の年は隠せない。この映画の年齢設定が30歳から40歳くらいだから、ちょっと無理があるのでは……?。前半の若い時は違う役者で、後半は彼女でいけば年相応でいけたのに。でも、彼女は相変わらず綺麗で素敵です。

 アシリカ(豊悦)は、元会津藩藩士。官軍に妻と娘を殺されたおたずねもので、身を隠すためにアイヌになっている。この人物を通していろいろなものが見える、非常に魅力的で興味のある人物である。幕末から明治は時代の転換期で、勝ち組と負け組ができた時。大きな時代のうねりの中で、負け組になったものにも、その流れに逆らい、自分の意志を通すものと、時代の流れに自分を合わせ、信念や夢よりも楽に生きることを選ぶものがでてくる。志乃とアシリカは前者、かよと英明は後者である。どちらが正しいとは一概に言えないが大半の人間が後者である。映画の中の言葉借りると、生きることは<泥をかぶる>こと、きれい事ばかりは言っていられない。とにかく、生きていくことが大切である。

 3時間に及び長編、眠たくならないことが私の映画評価の第1、それからすると合格です。ただ、<……?>というシーンや無理矢理泣かせようとするシーンやくどくて鼻につくシーンが一杯あったことも事実です(笑)。日本の映画を日本人が見ると、いろいろ細かい所が見えてしまうのでだめなのか?

 例えばこの映画をハリウッドが、南北戦争の頃に移してリメイクしたら、そんな感じは受けなかったかもしれない。

 

 

上に戻る