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<h17.12.10>

女の一代記 第二夜「越路吹雪」


 越路吹雪は、コーちゃんという愛称で呼ばれていましたが、どうしてかな?と思って調べたら旧姓が河野で<コーちゃん>なんですね。それで納得です。

 このドラマを見て、シャンソンが聞きたくなりました。シャンソンは人生とか、大人の恋をおしゃれに表現していますね。フランス人らしいウイットに富んだ言葉で……。

 最初に愛の賛歌を歌うと決まった時、フランス語ではなくて、日本語で歌いたいと譲らなかった彼女。この<日本語の詩>にこだわった彼女が凄いと思いました。シャンソンは詩が命とわかっていたわけです。

 でも、訳詞がまずければ台無し。岩谷時子の詩は、原詩以上に日本人の心にフィットしました。<愛の賛歌>を始め、彼女の歌ったシャンソンが、日本の名曲になったのは、二人の力のたまものです。

 彼女の歌い方、子供の頃の私にはくどいものに映っていました。厚化粧と派手な格好……。あそこまでオーバーにやる必要はないと思っていましたが、今はその意味がわかりました。彼女は全身全霊で歌います。歌い方には、エディットピアフ(愛の賛歌を歌ったフランスのシャンソン歌手)の影響があったのでしょうが、魂が伝わってくるようです。

 年と共に、良いもの本物がわかるようになってきました。美空ひばりもそうです。ほんものはやはり凄い。

 偉大な歌手でも役者でも、舞台に上がる瞬間は心細いものです。それを解消するために<あなたは虎、観客は猫>と背中に書いて、大丈夫だよと言ってくれる、マネージャーの岩谷時子がいました。そうしてもらえないと、舞台に出ていくことができない。どんなに堂々として見える人も、そんな辛い思いをしているわけですね。

 自分の舞台を、お客様が気に入ってもらえるかどうか、それをいつも気にしている、そこから彼女は不眠症になります。そのイライラを解消するために、ヘビースモーカーになったり、酒や睡眠薬に溺れました。「レイ」と同じですね。それを温かく周りの人が支えました。麻雀の仲間の優しさが特に良かったですね。スターを一緒に育てていく、それだけの喜びのために協力をする人がいます。それが越路吹雪を大スターにしました。

 一番びっくりしたのは、あの岩谷時子がマネージャーだったことです。私は名作詞家としての印象しかありません。(まあ、私が知らないだけのことなんでしょうが……)特に、加山雄三とのコンビはセンセーショナルでした。当時は、どうしてあんなに人の心を打つ詩が、書けるのかが不思議でなりませんでしたが、そんな秘密の一端ものぞけました(笑)。

 

 

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