日々の思い
<h17.7.19> |
芥川賞 司馬遼太郎の情報収集 |
平成17年度上半期の芥川賞は、愛知県東海市生まれの中村文則(27)さんが「土の中の子供」で授賞しました。彼の出身高校は東海南で、同じ知多半島に住んでいる私には、なじみのある学校で、その学校のだいたいのレベルがわかります(笑)。普通科進学校の上の中ぐらいの学校です。私は以前から作家の頭の中はどうなっているのか?不思議でなりませんでした。小説を書くための、あの膨大な情報をどのように手に入れ、どのようにそれらを使って作品にしているのか? 今私は、司馬遼太郎を読んでいます。司馬遼太郎は、時代小説の巨匠です。主な作品として、「梟の城」「風神の門」「竜馬がゆく」「国盗り物語」「宮本武蔵」などがあります。来年のNHKの大河ドラマは彼の「坂の上の雲」です。 彼の本名は福田定一と言いますが、ペンネームの司馬遼太郎は、学生時代から愛読する「史記」の司馬遷に遼(はる)かにおよばずという意味からだそうです。大家にしてこの謙虚さ頭が下がります。 彼の時代小説を読んでいると、時々、時代を現代に戻し、その人物の縁者の話やその土地の変化などが書かれています。彼の晩年のライフワークともいうべき、<街道を行く>を待つまでもなく彼はその小説を書く時に、実際にその土地に行くことが好きでした。その町の香りを肌で感じることで、創作意欲が沸いてきたそうです。 今の、大河小説を書くのは、映画を作るのと同じように、チームプレー。膨大な時間と費用が必要。多くの人の協力と連携があって、初めて良い作品ができます。 その中に、情報の収集と分析も大きな仕事としてあります。情報化時代と言われる現代でも、情報源の多くは書物によるものです。 その書物からの情報を彼はどのようにして収集をしていたのか?それを雑誌(サライ)を読むことで、知りましたので紹介をします。 古本屋を使っての情報収集。 古本屋街と言えば、東京の神田神保町が有名で、私も若い頃東京に行くと、本を買うでもなく、ただ雰囲気が好きでそのあたりをわけもなく散策したものです。 司馬遼太郎の古本を使っての情報収集について、作家の井上ひさし氏は次のように言っています。《神田の古本屋街から、ある日、ひとつのテーマの本がいっせいに消えるんです。どうしたのかと思うと、司馬先生が「今度こういうテーマで書くから」と各店に檄を飛ばして、資料がトラックで東大阪の司馬先生の家へ運ばれたあとなんです。》 |