日々の思い

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<h17.7.28>

寝待月 月狂ひ 小池真理子

 月を見ながら、好きな人と一緒に歩けたらどんなに楽しいか、他に何もいらないという気分にさせてくれます。お金で買えないもののひとつかもしれません。

 月の色、普通は白っぽいのに、青く感じたり赤く感じたり、それはどうしてでしょうか?その人の心を映す鏡だからかな?

 ここで、強引に<月狂ひ>という小説の話に持っていきます(笑)。私は一時小池真理子が好きで、彼女に夢中になっていたことがあります。

 私が小池真理子にはまったのは、「月狂ひ」(文庫本になる時に、名前が変わって<浪漫的恋愛>)という小説からです。主人公が私と同じ年代であったことや、彼の仕事に関係があって親近感がわき、大人の恋を夢中になって読みました。現実の恋、母の恋、小説の中の恋と3つの恋愛が重層的に展開され、飽きさせません。特に、小説内の小説という手法で描かれた、葛城瑞穂の幻想的な物語が素敵でした。<人は青い月の光を浴びると恋をする>そんなキャッチフレーズが小説を物語っています。

 彼女の描く女性はポジティブで行動的な女性が多いです。大人の恋愛(綺麗な言葉で言うとこうだけど、不倫のことです)を描いていますが、それに踏み込んで行く時の女性の心の強さ、ずるさ、しぶとさみたいなものがうまく描写されています。女は怖い。心に魔物が住んでいると知らされます。彼女の描く世界は、私と同じ世代の恋愛だけに、共感する部分が一杯あります。私は今までに「月狂ひ」「狂王の庭」「恋」「天の刻」「欲望」「夜の寝覚め」「神無月の墓」「蜜月」「瑠璃の海」などを読みました。彼女は長編よりも、短編の方がうまいです。長編はやや単調になってしまう気がします。

 

 

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