日々の思い

日々の思いの目次へ 

 

<h17.8.22>

金子みすず展(2)


 金子みずずを知ったのは、平成13年の11月頃にテレビで彼女の一生を描いたドラマを見てからです。それまでは、名前さえ知りませんでした。

 あのドラマのみすず役は松たかこでした。私は、彼女の大ファンだから、よけいに金子みすずが気に入ったのかもしれません。彼女の人生は悲しいものでしたが、ドラマの中で読まれる彼女の詩は、本当にやさしいものでした。あれほどの辛い目にあいながら、優しい詩を書けるのは、彼女の心がやさしいからでしょう。

金子みすず

 明治36年(1903年)、山口県長門市仙崎に生まれた童謡詩人です。二十歳の頃下関に移り住み、500編を超えるすぐれた童謡を残し、26歳の若さでこの世を去りました。 大正から昭和にかけて、わずか数年の間、彗星のようにあらわれて、きらめいて消えた、童謡詩人です。

 彼女の最大の不幸は、実の弟(弟は実の姉であることを知らない)との道ならぬ恋、それをさけるために親が無理矢理進めた見合い結婚。その夫の不運で、貧乏のどん底に落ちます。でも、若いときからずっと書き続けてきた詩はあきらめません。詩には生活の暗さが感じられません。というよりも、それを吹き飛ばすように、明るく、やさしくなっていきます。最後は、夫から性病をうつされ死んでいきます。彼女の詩が認められたのはその後でした。


みんなをすきに

 

わたしはすきになりたいな、

何でもかんでもみいんな。

 

ねぎも、トマトも、おさかなも、

のこらずすきになりたいな。

 

うちのおかずは、みいんな、

かあさまがおつくりなったもの。

 

わたしはすきになりたいな、

だれでもかれでもみいんな。

 

お医者さんでも、からすでも、

のこらずすきになりたいな。

 

世界のものはみィんな、

神さまがおつくりなったもの。 

 

 幸せな青春時代はあったとしても、結婚後は不幸の連続。貧乏、夫の浮気、性病、早すぎる死と十分過ぎるほどの不幸だったのに、こんな詩が書ける。どうして?

 

 

上に戻る