日々の思い
<h17.9.17> |
錦の御旗と衆議院選挙 |
最近、司馬遼太郎の<竜馬がゆく>をようやく完読したので、これからしばらくこの話が出てきます(笑)。お許しを。 錦の御旗(にしきのみはた)とは何か? 時は幕末、薩長を中心にした勤王派が、徳川幕府を武力で倒そうと計画をします。15代将軍徳川慶喜は、その動きを敏感に察知し、それを封じ込めるために、大政奉還をします。大政奉還とは、政治の実権をおとなしく朝廷へ返すことで、権力をもったものが、そのようなことをするのは常識では考えられず、奇跡的なことです。 この大政奉還をさせて、薩長と徳川の直接対決をさけ、日本を内戦から救ったのは、坂本竜馬の功績です。でも、竜馬が暗殺された後、薩長は徳川の力を完全にそぐために、戦いを始めます。鳥羽伏見の戦いから戊申戦争へと進むわけですが、その時に、作られたのが錦の御旗です。 日本の歴史を見ると、天皇を味方につけるかどうかで勝負が決まっています。NHKの大河ドラマ「義経」もそうですね。平家と源氏が、天皇(朝廷)を味方にするべく壮絶な戦いをくりひろげています。古来、天皇に反抗する側を賊軍といい、それに対して、天皇側は官軍で、正義という大義名分をもらって士気が高まります。 この薩長が徳川に挑戦した、鳥羽伏見の戦いは、徳川1万5千に対して薩長は5千、この不利を覆す隠し球が<錦の御旗>でした。この旗を作ったのは、岩倉具視だと言われていますが、この旗を見るだけでどちらが官軍であるかがわかり、士気を高める目的の元に、作ったといわれています。この旗を掲げることで、薩長は官軍となり、徳川は賊軍となりました。このように、この錦の御旗の効能は絶大でした。 前置きが長くなりました。今回の衆議院選挙、小泉自民の圧勝となりました。まあ、小選挙区制の特徴だとはいえ、その数は想像を超えるものでだれでも皆びっくりです。 小泉首相は<郵政民営化>一本で選挙を戦ったといいます。これこそ、錦の御旗でした。内容は別にして、今や<改革><民営化>という言葉は時の勢いです。<改革をするもの>と<改革を阻むもの>という2者にわけてどちらを選択しますか?と問いかけた。この選挙戦術はうまいですね。改革が時勢であると同時に、人間心理をたくみにつかんでいます。今や改革をする側は<正義>ですからね、どちらかと問われれば、改革、民営化賛成と答えざるを得ません。 錦の御旗を全面に出して戦いを挑んできた小泉軍に対して、岡田軍は、年金や子育て、税金、平和と多用な問題を争点に戦ってきました。今の時代、政治が解決しなければならない問題が山積しているから、これは正論ですね。でも、正論必ずしも正しからずやですね。今回のような、選挙は特にそうです。民主党は小泉戦術に負けてわけです。 戦いに大義名分は必要。どちらがその大義名分をもっているか?今回の大義名分は<郵政民営化>です。国民の多くがそれを支持していることこれが時勢でした。これをどうとらえたかで勝負が決まりました。 |