日々の思い

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<h18.1.25>

新川和江(1)


 1月26日中日新聞の朝刊、中日春秋に良い話が載っていたので紹介します。全文を読みたい方は、新聞か、インターネットの検索で<中日春秋>と入れて読んでください。

 そこに、新川和江の恋愛詩<ふゆのさくら>が紹介されていました。半年ばかり中日文化センターで<現代詩>の講義を受けていたのですが、そこで彼女の詩を教えていただきました。

ふゆのさくら      新川和江 

   おとことおんなが 

   われなべにとじぶたしきにむすばれて 

   つぎのひからはやぬかみそくさく 

   なっていくのはいやなのです 

   あなたがしゅろうのかねであるなら 

   わたくしはそのひびきでありたい 

   あなたがうたのひとふしであるなら 

   わたくしはそのついくでありたい 

   あなたがいっこのれもんであるなら 

   わたくしはかがみのなかのれもん 

   そのようにあなたとしずかにむかいあいたい  

   たましいのせかいでは 

   わたくしもあなたもえいえんのわらべで 

   そうしたおままごともゆるされてあるでしょう 

   しめったふとんのにおいのする 

   まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる 

   ひとつやねのしたにすめないからといって 

   なにをかなしむひつようがありましょう 

   ごらんなさいだいりびなのように 

   わたくしたちがならんですわったござのうえ 

   そこだけあかるくくれなずんで 

   たえまなくさくらのはなびらがちりかかる 

 

 この中の、<あなたがしゅろうのかねであるなら/わたくしはそのひびきでありたい>…。を取り上げ、<若い恋人らしい願いをそううたう▼恋人たちも一緒に暮らしだせば山あり谷ありで、夫婦という鐘の音は時に乱れもする。それを乗り越えて、二人ならではの鐘の音を響かせていくのだろう。>と続けています。

 この<しゅろう>とは、鐘楼(しょうろう)で寺の鐘のことです。なかなか良い恋の歌だと思いませんか?

 

 

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