日々の思い
<h18.10.21> |
クリント・イーストウッド |
報道ステーションでクリント・イーストウッドのインタビューがありました。この番組は、平日の午後10時から名古屋テレビでやっているニュース番組です。以前、久米宏のニュースステーションが大好きで毎日のように見ていました。彼は、確実にニュース番組を変えましたが、それでも長年のマンネリのため、降板しその後を、古館伊知郎がバトンタッチしたものです。 古館伊知郎の<独特のナレーション>のファンであった、私として期待をしたのですが、どうも上滑りをしていて、彼の良さが出ていませんでした。で、久しぶりにじっくり見たのですが、前よりは良くなったものの、まだまだ彼の良さは活かされていませんね。 では、なぜ報道ステーションを見たかです(笑)。それは、クリント・イーストウッドが10月19日(木)の報道ステーションに出ることを知ったからです。 10月19日の報道ステーションのトップ項目が北朝鮮の核実験に対して、訪問をした中国使節団との対話の行方でした。 中国としては、北朝鮮を抑えられるのは自分の国だけというメンツを潰されたので、 最後の手段として、<同じ革命>を戦った党同士として説得を進めるという立場をとったと解説されていました。 狂気の指導者に操られる国民や軍の怖さを垣間見た瞬間でもあります。北の軍人に、核実験について聞くと異口同音に<誇らしいことである。><アメリカが核で脅すから仕方のないこと><核を持たなければ、もっと生活が楽になる><アメリカが戦いを仕掛けてくれば命を賭して戦う>と話していました。 この洗脳とも言うべき発言は、核というキーワードは違っても、戦時中の日本と同じような状況ですね。 そんなことも、たった10分程度の短いインタービューの中でクリント・イーストウッドも言っていました。 クリント・イーストウッドがこの番組に出たのは、今彼が監督した話題の映画<父親たちの星条旗>の紹介のためです。 硫黄島の戦いは、太平洋戦争でも屈指の激戦地で本土防衛の最後の砦として、日本軍は玉砕を覚悟で必死に戦いました。 あの小さな硫黄島に、上陸した米兵3万、迎え撃つ日本兵2万の内、実に27000人が死亡したと言われています。その死亡者の大半が、日本兵なんでしょうが、それでもアメリカ兵にも甚大な被害を与えました。 最初アメリカは、圧倒的な物量作戦で、この硫黄島を5日で陥落させるつもりでした、ところが日本軍の徹底抗戦のため、一ヶ月もかかったそうです。 クリント・イーストウッドは、インタービューの中で、この映画のことを聞かれ 平凡な市民が、指導者(国家権力)のメンツやこだわりのために、徹底的に利用をされた。この<父親たちの星条旗>は、戦争映画ではなくて、そんな平凡な市民を描いた人間ドラマだと強調していました。 平均年齢19歳の若者が、深い意味もわからずに、戦争に行き、精神的にぎりぎりの状況で殺し合いをする。そして、帰国してからも、その影を引きずっていく。だから、彼らにとって、戦争はいつまでも終わらないわけです。(父親達の星条旗は、帰国後の兵士の物語みたいです) 一つの事件を別の観点からみると、全く別の事件に見えてくることがあります。これは、人のけんかの仲裁をする時、一方の意見だけを聞くととんでもないミスをすることと似ています。 その意味からも、この2本の映画が同じ事件を、日米双方の視点から描いたことは 新しい試みとして、興味深いものがあります。 ただ、どんな描き方をしているのかは、大きな問題ではありますが…。 もちろん、イーストウッドが監督だから、アメリカの方は問題はないですが、日本側<硫黄島からの手紙>の方はどうかな? でも、あの渡辺兼が主演だから、そこらへんは、監督としっかりと話し合って映画を作ったと思います。絶対に、<パールハーバー>のような、日本軍は描いてほしくないですからね(笑)。 最後に、古館氏が<映画を作り続けて行く意欲はなんですか?>と聞くと、笑顔で<すし>と答えていました。ウイットに富んだ切り返しであり、日本人へのサービスですね(笑)。何でも彼は、今日のお昼にすしと味噌汁を食べたそうで、 すしのおかげで健康でいられると言っていました。健康でいられることが、創作意欲をかりたてるのでしょう。 次の日の朝ズバ!(みのもんた司会)で、イーストウッドがイラク戦争に反対。つまりブッシュ政権に反対の考えであるとの新聞記事が紹介されていました。自由の国アメリカならではのことですが、彼の戦争に対する考え方がわかって良かったです。<硫黄島>の映画を見る時の参考になりますからね。 最後に、今の世界の状況を見ると、戦争がなくなることは残念ながらないが、それでも、そうなりたいとの希望もって生きていきたいですねと、彼は言っていました。76歳だと思いますが、まだまだ元気、これから先も十分活躍をしそうですね。 |