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<h18.12.24>

賢者の贈り物

 私は今、池波正太郎の「真田太平記」(全16巻)の15巻目を読んでいます。そんなわけで、今は池波正太郎という言葉に敏感で、以前の私なら、今日の中日新聞の中日春秋も読み流していたことでしょうが、今回は心に強く残りました。

 クリスマスイブにふさわしい話でしたから、紹介をさせていただきます。(長いですが、全文を載せます。)

 作家の池波正太郎さんは小学校を出て株式仲買店の店員になった。帰りに銀座で道草をし、レストランでの食事も楽しむようになった。
 
 あるレストランに、池波さんより少し年下の山田君という少年の接客係がいた。「今日は、マカロニ・グラタンいかがです?」などと薦めてくれ、池波さんは未知の美味と出合うことができた。

 そんな交友が足かけ三年続いたクリスマスのことだ。池波さんは『あしながおじさん』を買って店で山田君にプレゼントした。すると彼は「ぼくも」と小さな包みを渡してくれた。池波さんはうれしくなって後で開くと「にきびとり美顔水」。

 早速これを使いだし、山田君の方も「(少女の)ジュディ・アボットっていいですねぇ」と
本の感想を語ってくれたそうだ。

 池波さんの『むかしの味』に出てくる思い出話。少年同士とはいえ、社会で働いている自覚と誇りからか、大人びた会話が交わされてほほえましい。と同時に名作の本と「にきびとり美顔水」を互いに用意して贈り合う友情がかぐわしく感じられる。

 山田君は池波さんのにきびのことを考え、池波さんは仕事に忙しそうな山田君を思って
本を贈ったのだろうかとも想像する。たいした金額のものではなくても心のこもった贈り物だった。

 クリスマスのころになると思い出す、古きよき時代の少年たちの話だ。二人は互いの住所を告げてなく、後に海軍で偶然顔を合わせたのを最後に会うことはなかったという。でも池波さんがそうであるように、あの贈り物は山田君の心にも長く残ったことだろう。

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 贈り物は金額ではなく、相手のことを思う気持ちの表れ、そのことを的確に示してくれた話でした。まさに、賢者の贈り物です。

 クリスマスの贈り物というと、必ず思いだすことがあります。それは、オーヘンリーの「賢者の贈り物」という話です。特に今回は、中日春秋で池波正太郎氏の話との対比が面白いのでカキコをしました。

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 若く貧しいけど、心から愛し合い信頼しあっている夫婦の物語です。

 夫は父親の形見の金時計が、そして、妻は長くてきれいな髪の毛が自慢でした。

 貧乏でお金のない二人は、クリスマスプレゼントをどうしようかと悩みます。大好きな人に、せめてクリスマスの時だけは1番欲しいものをプレゼントしたい。そう考えた夫は、妻の長くてきれいな髪を飾るダイヤモンドのついた櫛を買います。自分の宝である、金時計を売ったお金で……。

 そして、それとは知らない妻は、長い髪を売って、時計の鎖を買いました。

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こんな話です。

せっかくのプレゼントが無駄になってしまった。本当にお馬鹿さんだけど、何か心を温かくさせてくれる話です。それは、相手のことを1番に思って選んだ贈り物だったからでしょう。
 

 

 

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