日々の思い

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<h19.11.12>

砂の器

この映画何年ぶりに見たのだろう?
画面が古くさく感じられたから、相当前のことでしょう。
良き映画とは、見た時の自分の人生を反映し、
その都度違った印象を与えてくれます。
それが映画ファンとしてうれしいのですが……。

今回は丹波哲朗のうまさをつくづく感じました。
私はこの映画の主演は加藤剛だと思っていましたが、
画面のトップには丹波哲朗が、次に加藤剛でした。
単に私の勘違いだったのですが、
改めて丹波哲朗が主演であることの意味と
重みを感じました。

今は亡き彼が、若くて油が乗りにのっているそんな気がしました。
北の旅 海藍色に 夏盛り
この俳句がいつどこででてくるのか?
とワクワクするような気持ちで見ていました(笑)。
私が俳句を始めたのは3年前、その時にこの映画を見ていたら、
絶対に忘れないと思いますが、
その時は見過ごしてしまいました。
で、私の推測通り、事件の手がかりを見つけに
東北の「羽後亀田」に行った時に読んだ句でした。

秀夫の目はどこを見ていたのか?
目にものすごく強い憎しみを感じました。
社会への復讐を誓うような……。
そのために巡査の元を去ったのか?

大恩ある巡査。でも、秀夫はそうは思っていなかった。
交響曲「宿命」のテーマは、生まれてきたことの、
そして、生きることが宿命。
宿命が完成すればすべては終わると彼は考えていたのか?
それが、自分の人生の宿命だと考え、それで満足だったのか?

ハンセン病は不治の病ではなく感染もしないことは
ずっと以前に分かった、でも、偏見が人々を惑わす。
二人の旅は終わったけど、今でも違った旅がある。
非科学的なこと、偏見と差別は人間がいる限り終わらない。

 

 

 

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