日々の思い

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田辺聖子

 <人生は、だまし だまし>というエッセイ集を買ってきました。

 この本のどの章もすばらしい内容で、
お二人が愛読されている意味がよくわかりました。
特に<寝首>の章は良くて、
3度も読み返してしまいました(*^_^*)。
この章に書かれていることは、
私が58年の人生の中で実際に体験し、
堅く信じていることと全く同じでした。

 何か問題や心配事が起こると、
私はそれによって起こりうるあらゆる可能性を考え、
その内の最悪の事態を覚悟します。

 最悪の事態がわかり、それがそれほどでないと分かれば安心し、
落ち着いて待つことができます。
また、私の経験上では、覚悟しておくと、
その運悪く最悪の事態が起きないことがほとんどでした。
また、予想していたことが起きても、
覚悟ができているので、それほどあわてません。
一番怖いのは、予想を全くしていなかったことが起こった時で、
この時は周章狼狽しあわてふためきます。
大体これは、たいしたことないと油断をしていた時で、
そんな甘い私に、神さんが懲らしめたると意地悪をするからでしょう(^_^;)。

 今の自分は、いろいろなことが順調に良い方向に、
行っているので怖いです。
こんなふうにいつまでもうまくわけがなく、
いつか神さんが<寝首>を欠きにくると考えて、
最悪の事態を覚悟をしています。
そう、覚悟をしていればそれはおきません(*^_^*)

 私の処世術は、『油断大敵』、
決して気を緩めずに、『勝って兜の緒をしめよ』です。
そして、常に最悪の事態を考え、覚悟しておくことです。
最悪の事態が覚悟できれば、怖いものなしだし、
それ以外のことが起こるなら、運が良いわけです(*^_^*)。

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 以下、田辺聖子<人生は、だまし だまし>の中の<寝首>
の章の抜粋です。

 『勝って兜の緒をしめよ』……合戦が勝利に終われば、
急いで重い兜を脱いで、気楽になる所だが、
安易に気を許してはいけないという教え。
勢いを盛り返して、敵が夜襲をかけて来るかもしれません。

 こうなるだろうと予測し、大地を打つ槌ははずれても、
自分の予測ははずれないだろうと思っていると、はずれる。
反対に思ってもいない方面から、ぽろっとほころびが出て、
そちらのお手当は全くしていなかったから、周章狼狽ということもある。

 神さんは人の寝首をかく。

 寝首とは寝ている者の首、
つまり武装を解いて油断している人の不意をつき、
卑怯にも名乗りもせず、ひそかに忍び寄って首をうつのである。

 人生は順風満帆という時ほど、人はあやうい。
<神さん>は寝首をかく大家だということを忘れてはいけない。

 私の思うに、寝首をかかれた時の対応はただ一つである。
<神さん>の無慈悲なる仕打ちに対し、達観すること、これあるのみ。
達観とは、心中、<まあ、こんなトコやな>とつぶやくことです。
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