日々の思い

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<h21.10.15>

手紙〜親愛なる子供たちへ

 皆さんは、樋口了一の<手紙〜親愛なる子供たちへ>
を聞いたことありますか?
今話題の曲だそうですが、私はついこの間聞きました。
でも、その歌詞の余りにもストレートなのには、
びっくりし、その後心に浸みて涙が出てきました。

 母が亡くなって5年になりますが、
亡くなる前の5年間は認知症でした。
この病気は進行性のもので、特に亡くなる前の2年は辛かったです。
だんだんと進行し、
私の名前も誰かもわからなくなったのにびっくりしました。
介護はほとんど家内がやってくれましたが、
せめてもと思って、最後の2年間は家内と一日交代で、
母と添い寝をしました。

 母は、<おしっこ>の頻度が尋常でなく、
ひどい時には、10分おきぐらいに行きたがり、
その度に起こされて眠ることができず、
翌日の仕事が辛かったことを憶えています。

 <おしっこ>といっても実際に出るわけではなく、
トイレに連れていくだけで、出ずにまた戻る、
その繰り返しでした。
そのために、叱ったり、怒鳴ったりと、
今考えると母に辛いことしてしまいました。
そんな経験があるので、
この歌は心に響きました。

 歌詞がコピーできない時代になりましたが、
何とかコピーできる所を見つけましたので、
書いておきます。

 この曲は、ポルトガル語でつづられた1通のメールを日本語に訳し、
メロディーを付けて歌にしたもの、
そして、ポルトガル語で書かれた原作詩は、
作者が不詳となっていて、<千の風になって>とよく似ていますね。

 老いていく親からわが子へあてた手紙という内容で、
8分を超える楽曲です。

******************
年老いた私がある日
今までの私と違っていたとしても
どうかそのままの私のことを
理解して欲しい

私が服の上に食べ物をこぼしても
靴ひもを結び忘れても
あなたにいろんな事を教えたように
見守って欲しい

あなたと話す時同じ話を
何度も 何度も 繰り返しても
その結末をどうかさえぎらずに
うなずいて欲しい

あなたにせがまれて 繰り返し読んだ
絵本のあたたかな結末は
いつも同じでも私の心を
平和にしてくれた

悲しい事ではないんだ
消え去ってゆくように 見える私の心へと
励ましのまなざしを向けて欲しい

楽しいひと時に私が思わず
下着を濡らしてしまったり
お風呂に入るのをいやがる時には
思い出して欲しい
あなたを追い回し 何度も着替えさせたり
様々な理由をつけて
いやがるあなたとお風呂に入った
懐かしい日のことを

悲しいことではないんだ
旅立ちの前の準備をしている私に
祝福の祈りを捧げて欲しい
いずれ歯も弱り 飲み込む事さえ
出来なくなるかも知れない
足も衰えて 立ち上がる事すら
出来なくなったなら
あなたがか弱い足で立ち上がろうと
私に助けを求めたように
よろめく私に どうかあなたの
手を握らせて欲しい

私の姿を見て悲しんだり
自分が無力だと思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力がないのを
知るのはつらい事だけど
私を理解して支えて
くれる心だけを持っていて欲しい

きっとそれだけで それだけで
私には勇気がわいてくるのです

あなたの人生の始まりに
私がしっかりと付き添ったように
私の人生の終わりに少しだけ
付き添って欲しい

あなたが生まれてくれたことで
私が受けた多くの喜びと
あなたに対する変わらぬ愛を持って
笑顔で答えたい

私の子供たちへ

愛する子供たちへ

 

 

 

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