恋はあせらず。1  〜Thank you 200000HIT & Happy Birthday present to Yun 〜










そよ風にハナミズキの花が揺れていた。
白地に淡いピンクの縁取りが可愛らしい。


『なんだか、初恋の色みたい。』柔らかな花びらの色を見て思う。



「おいっ、!」



ハナミズキを見上げていたら後ろから呼ばれた。
振り向けば私の待ち人、海堂君が立っていた。



「もういいの?」
「ああ、待たせたな。」


「ううん。平気。」



海堂君の元へ小走りで近づき隣に並ぶ。
私より頭一個分以上大きな海堂君の横に並ぶと、彼の大きさに今更ながらドキドキしてしまう。



「なんだ?ジロジロ見るな。」
「あ・・あの、海堂君って大きいなって思って。」


「俺よりもっと大きい先輩は沢山いる。俺は、まだまだだ。」
「そうなの?」


「ああ」



そう言って海堂君は眩しそうに遠くの雲を見つめていた。
きっと尊敬している先輩とか目標にしている人のことを思っているんだろうな。
いつも高い目標を持って、その目標に向かって努力している海堂君。
とっても素敵だと思うし憧れるの。



大好き。



心の中で呟いたら急に恥ずかしくなってしまって勝手に頬が熱くなる。
きゃあー、どうしよう。絶対、顔が赤くなってる気がする。


久しぶりに海堂君と並んで帰る緊張感とドキドキで会話なんてとてもじゃないけど浮かばない。
黙々と海堂君に遅れないよう、頬を押さえて俯き加減に歩いた。



「よぅ、マムシ!いいねぇ、カノジョと下校か。羨ましい〜!」
「桃城っ!」



後ろから私たちの後ろに並んできた自転車は桃城君だった。
海堂君をからかいながらも私の顔を見てニコッと笑ってくれる。
私もニコッて笑い返した。



「うるせぇ!さっさと帰って試験勉強でもしろっ!」
「お〜、コワッ。マムシ、んな年中怒ってたらカノジョに嫌われるぜ?」



ギロッと海堂君が桃城君を睨む。
桃城君はやれやれという表情で肩をすくめると、「じゃあな、!」って私にだけ言って走り去って行った。
私も軽く手を振って桃城君を見送る。
口では海堂君に突っかかってるけど本当は友達思いの桃城君。
片想いだった海堂君の隣に、こうやっていられるのも桃城君のおかげなんだもの。



っ!」
「はい!」



突然後ろから大きな声で名前を呼ばれて飛び上がった。
振り向けば不機嫌そうな顔の海堂君が私まで睨むようにして言う。



「あんなヤロウをいつまでも見送ってんじゃねぇ!」
「でも桃城君は、ねぇ・・待って、海堂君!」



私の言葉も聞かずに歩き出した海堂君。
歩幅の大きい彼と並ぶために、背の低い私は小走りになる。
一つの角を曲がるまで走るようにして海堂君の後をついて歩いた私は息が切れていた。


早く歩かなくちゃ、海堂君に置いていかれちゃう。
急いで角を曲がれば、ちょうど振り返った海堂君と目が合った。


あ、と声にならない口の動き。
その後、気まずそうな顔をした海堂君は自分の頭をガシガシとかくと「すまない」って小さく言った。
それから後は明らかに私を気遣って、私のペースに合わせて歩いてくれた。



「今日のテスト、どうだった?」
「英語。一問だけ気になるヤツがあった。」


「英語が得意の海堂君が気になるっていうと・・・最後の文章題?」
「ああ。なんだ、お前は大丈夫だったのか?」


「まさか。私は英語得意じゃないもの。特にチンプンカンプンだったのが最後の問題だったから・・・」
「お前、ちんぷんかんぷんって・・・」


「で、でもね。古典は得意なのよ。今日だって、結構頑張ったと思うの!」



海堂君に馬鹿だと思われるのは辛いから必死で弁解する。
そんな私の顔を見ていた海堂君が、フッと瞳を和らげた。



あー、大好きな優しい目だ。



「今度・・・」
「今度?」


「今度の期末、俺が・・・見てやってもいい。」
「え?なにを?」


「英語」
「英語?あ、海堂君が英語を教えてくれるの?本当に?」


「い、イヤなら別に無理することはねぇ!」
「嫌なわけない!すごく、嬉しい!」



小躍りしそうなほど嬉しくて、両手をパチパチして喜んでしまった。
そしたら「道端で子供みたいに、はしゃぐんじゃねぇ」って叱られたけど、海堂君の顔が心なし赤かった。



言葉は、ぶっきらぼう。選ばない言葉は冷たく聞こえる事もある。
でも本当はとても優しくて、温かくて、テレ屋な海堂君。



やっぱり、大好き。って、心の中で思ったら勝手に顔がニヤけてしまう。



余程、緩んだ顔をしていたんだろう。
「気持ち・・悪いぞ」って、海堂君に呆れ声で言われてしまった。



遠慮する私を駅から更に家まで送ってくれた海堂君。
いくら通過する駅だからって改札まで出て送ってもらうのは申し訳なくて遠慮したのに、海堂君は送ると言って譲らなかった。
帰り際「ゴメンね」と「ありがとう」を繰り返す私に、彼はポツリと言った。



「いつも部活で送れないから、テスト期間中ぐらいは送る。だから・・・気にするな。」



ウン、アリガト。頷いたら胸が一杯になって鼻の奥がツーンとした。
普段一人で帰る私のことを気にかけてくれてたんだ。



「じゃあな、また明日」



海堂君が軽く手を上げて駅へと帰っていく。
大きくて広い背中。



大好き。大好き。大好き。って、いっぱい思う。



角を曲がる時、小さくなった海堂君が後ろを振り返ってくれた。



「バイバイ!気をつけてね!」



口を大きく開けて伝えて。
海堂君はまた少し手をあげてくれてから角を曲がっていった。





私たち想いを伝え合って、まだ1ヶ月ちょっと。
初心者マークのカレシとカノジョ。


今はまだ、ぎこちない私たちだけど。
いつかはもっと近い二人になれるよね。





大好き、海堂君。



今日もまた、もっと海堂君が好きになりました。



















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