罪滅し編(23)

 おお、礼奈が大石から聞いた圭一の過去話を思い出そうとしている。

 聞きたい聞きたい聞きたい。
 すっげー聞きたい。

 それが「鬼隠し」編でレナの過去として聞いたバット乱闘の話ならば、あれは大石の嘘だったという事だ。

 そうでないのなら、事実だ。
 しかも、すごく後ろ暗そうだ。

 あー、礼奈の内の葛藤なんて、どうでもいいから早く圭一の過去が知りたい。

 現実では、人の過去を知りたがるのは失礼に当たるよな。

 それでも知りたいのだ。
 すまない、圭一。


 (本編読み進め)


 礼奈が語り始めた内容にびっくりした。

 あー、びっくりした。
 びっくりした。

 "児童連続襲撃事件"って、いかがわしい方向で考えてしまったじゃないか。

 小さな子供を狙って、通り掛かりにモデルガンで撃ち付けていたのか。

 あー、びっくりした。

 いかがわしい方向で考えるワシの方がよっぽど汚らわしいな。
 反省。

やべぇ


 しかし、いかがわしい方向で考えていたから、モデルガンで撃ち付けていた行為へのショックが薄いな。
 いかがわしい事件かと思って、驚いた事でドキドキしてるわい。

 …ふむ、そこまで圭一の株は急落しなかったな。

 それぐらいの話はあるだろうなと思っていたからかもしれないな。
 でも、やはり親父の都合で引越しというわけでもなかったのですな。

 あー、未だにドキドキしているぞ。
 (いかがわしい想像のせいで)

 しかし、社会の中で生きる人間としては駄目だよな、圭一。

 転校前に既に保護観察処分。
 「祟殺し」編では、それプラス殺人。
 「罪滅し」編では、それプラス死体遺棄。

 圭一は思っていたよりも業が深い。


 (本編読み進め)


 次の日、圭一は礼奈を除く部活メンバーの前で過去を語り始めた。

 頭が良い、そして周囲がその事に過剰に期待したため招いた罪だった。
 周囲の期待と勉強の辛さが圭一を追い詰めた。
 その憂さ晴らしのために圭一は自分より小さい子を狙ってモデルガンで撃ち付けていた。

 イタタ…心が痛い。

 この話を聞いた3人は優しく諭してくれた。

 圭一はもう警察に行き、罪を償っているはずだ。
 言いたくない事は言わなくていい、と。

 おぉ、画面が涙で見えないよ。

 まるで自分に対して言われた事のように感動してしまった。
 まずい、圭一に感情移入しすぎだ。

 ワシは当然モデルガンで人を撃ち付けた経験は無いのだが、何故ここまで感激してしまう?

 本当に素敵な3人だ。
 加わるのを拒否するのなら、礼奈はもうここに二度と参加しなくてもいい気がしてきた。

 もうこの4人だけでいいよ、部活メンバーは。
 このままで、この話終わりませんか?

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