罪滅し編(5)
結局、誰が勝ったのかを知る事なく、途中でレナのモノローグに移行した。
席を立つレナと遭遇したのは、リナという女性。
レナはこの人と顔見知りなようだ。
すごい格好だな。

リナという名前は別の編で耳にはしていたが、ここで出てくるとは思わなかった。
今回は圭一からレナにモノローグが移行する事が多い。
こんな事をするのなら、「目明し」編のように最初からレナを主役に据えれば良いのではないかという疑問を持つ。
圭一が主役じゃないといけない何かがあるのだろうか?
後で分かるが、圭一には「狂気」に囚われる人を客観的な視点で見るという役割があった。
彼女のモノローグを読んでいくと、「はぅ」や「かぁいい」を連発する「レナ」は礼奈によって作られた理想の自分である事が分かる。
不法投棄場に行く彼女は、今まで圭一やワシが考えていたようなウキウキ感を持って向かってはいなかった。
彼女自身は心に闇を含んでいるように見えた。
そう見えるのは母の浮気が原因だ。
そのために彼女は心を病み、そして「鬼隠し」編で聞いた凶行に走ったらしい。
しかし、その凶行の話辺りはうやむやになっている。
ただ、オヤシロさまを信望しているという面は、間違いなく、そうであるようだ。
今までのモノローグからして、それも「はぅ」等と同じく何かのカモフラージュかと思った。
だが、オヤシロさまに対する感情だけは今までワシが見てきたレナと相違はないようだ。
ここまでの話からすると、礼奈は闇を含んでいるとは思う。
しかし、それが「目明し」編で詩音を圧倒させるほどの過去ではないように思える。
礼奈自身もそう思っていたが、沙都子や梨花もしくは詩音の方が境遇は良くないだろう。
それでも、詩音を圧倒させた「何か」があるとすれば、それは奥に眠らせている狂気…か?
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