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塩酸(えんさん)の電気分解について


 【電気分解とは】

  水溶液に電流を流すと、水溶液に溶けている物質が化学変化を起こして別の物質
 になることがある。
 水溶液に電流を流して物質を分解することを
電気分解(でんきぶんかい)という。


 【塩酸(えんさん)とは】

  塩化水素(えんかすいそ)という気体を水に溶かした水溶液が塩酸(えんさん)である。

  塩酸(えんさん HCl)は、水溶液中で(水素イオン)とCl(塩化物イオン)
 分かれている。これを塩酸(えんさん)の電離(でんり)という。式で表すと、

    
     HCl →  + Cl
          塩 酸   水素イオン  塩化物イオン

 となる。


 【塩酸(えんさん)の電気分解の様子】

  塩酸(えんさん)に電流を流すと、
   +極(陽極 ようきょく)から塩素(Cl えんそ)
   −極(陰極 いんきょく)から水素(H すいそ)

 という気体が発生する。

〈 塩酸(えんさん)の電気分解の様子 〉
水溶液の中でのイオンの動きの様子 説  明


 塩酸に電圧を加えると、
 水素イオン(H)は−極(陰極)へ移動する。
 塩化物イオン(Cl)は+極(陽極)へ移動する。


 塩化物イオン(Cl)が余分にもっていた電子1個を+極(陽極)にわたし、塩素原子にもどる。


 電子が+極(陽極)から−極(陰極)へ移動する。


 水素イオン(H)が−極(陰極)でその電子を受け取り、水素原子にもどる。


 同じくり返しが続く。
 +極(陽極)に塩素原子が2個できる。

 −極(陰極)に水素原子が2個できる。


 +極(陽極)では塩素原子どうしがくっつき塩素分子(Cl)ができる。

 −極(陰極)では水素原子どうしがくっつき水素分子(H)ができる。



 +極(陽極)では塩素分子(Cl)が気体となって発生する。

 −極(陰極)では水素分子(H)が気体となって発生する。

 【電極(でんきょく)でのイオンの変化の様子】

   +極(陽極)  2Cl → Cl↑ + 2
                     塩化物イオン2個     塩素発生        電子2個
                                   
                                   電子の移動
   −極(陰極)  2H + 2 →H
                      水素イオン2個     電子2個    水素発生

                            ※ ↑は気体が発生することを意味する。