初めまして。
僕の名前はデニム。デニム・パウエル。17歳。花の独身。花嫁さん募集中。
「余計なことはいわんでよい。」 (天)
あ、そうなんですか?・・・誰?
まあいいか。えーっと、じゃあ周りの説明しますね。
僕が住んでいるのはオベロ海に浮かぶヴァレリア島。の更に東南の最果ての地・港町ゴリアテ。僕はこの町にある教会の神父の子なんだ。
家族は・・・。
・・・。
父さんがいたんだけど・・・。暗黒騎士団に連行されてしまったんだ。だから、今はカチュア姉さんと二人暮らし。母さんは僕が生まれてすぐに死んじゃったって聞いてる。
暗黒騎士団?北の大陸にあるローディス教国の軍隊だよ。バクラム・ヴァレリアのブランタ司祭と結託してこのヴァレリア島を支配しようとしているんだ。そんな連中が僕の父さんに一体何のようがあるのかさっぱりだよ。
カチュア姉さんは・・・
「デニム?」 (カチュア)
あ、姉さん。
「さっきから何をブツブツ言ってるの?そんなことしてたら今にヴァイスになるわよ。」 (カチュア)
何がどうなるんだかさっぱりわかんないよ姉さん。
え?ヴァイス?ヴァイスは僕の親友だよ。ヴァイス・ボゼッグ。僕も剣術を習ってるんだけど、僕より強いと思うよ。
(バターン!)
「デニム!情報通りだ、ランスロットの野郎がくるぜ!」 (ヴァイス)
「ヴァイス、そんなに興奮しないで。扉が壊れたらまたあなたが直すんですからね。」 (カチュア)
「これが興奮せずにいられるかってんだ!行くぜ、デニム!」 (ヴァイス)
「あ、うん」 (デニム)
「ちょっ・・・待ちなさいってば!・・・もう、勝手なんだから二人とも」 (カチュア)
ランスロット・・・暗黒騎士団を束ねるデス・テンプラー。最初、どうして天ぷらの定冠詞がデスなのか意味がわかんなかったけど・・・
「そのネタはもういい。」 (天)
あ、そう?テンプラーと天ぷらってかけてるこのギャグセンスをわかって欲しかったんだけど・・・
「最低なお前のセンス。」 (天)
あなたに言われたくないよ。
暗黒騎士団はゴリアテを襲撃したんだ。ヴァイスはその仇を討ちたいんだ。勿論僕もその気持ちは十分あるけど、それよりも僕は父さんのことが・・・。
「デニム!奴等が来たぞ。裏に回ってくれ。」 (ヴァイス)
「わかった。」 (デニム)
僕は建物の裏に回って連中の背後から襲いかかることにした。気配から、五人くらいだと思うけど、あの羽音は何だったんだろう?
こっそり様子を見ると、こっちに後ろを向けているロマンスグレーがキマってそうなローブ姿の奴が。チャーンス!ここから斬りつけるのは無理だけど、投石なら届きそうだ。そしてここに手ごろな石が。なんて天運に恵まれているんだろう僕は!
狙い定めて僕は石を投げつけた。それは見事に奴の後頭部を直撃し、鈍い音と共に奴はその場に屑折れた。その瞬間、僕の上空に何か看板みたいなものが突然出てきたんだけど、なんだったんだろう?18expって・・・?
なんて考えていたらヴァイスが正面きって名乗りをあげ始めた。裏から回る意味はなんだったんだ!?僕は急いでヴァイスと合流しに駆け戻らなければならなくなった。そのまま襲い掛かっても良かったんだけど、どういうわけか身体が言うことを聞かなかったんだ。
でも、僕たちが戦ったのは、確かにランスロットという名前の騎士だったけど、ゼノビアから流れ着いた傭兵くずれだった。ヴァイスの情報を信じた僕たちが馬鹿だったってことだね。
「うるせーな!」 (ヴァイス)
でも、だからといって姉さんは頭から信用しすぎな気がする。確かに強そうだしナイスガイっぽいけど、たかが傭兵くずれにどーしてそこまで謙らなきゃ行けないんだ。
「姉さん、油断しちゃいけない。僕たちを騙そうとしているのかもしれない。」 (デニム)
「デニム!」 (カチュア)
「歳の割に疑い深い奴だな。おいランスロット!放っておいてさっさと行こうぜ。」 (鳥人間・カノープス)
ランスロットさんは剣を抜いて、僕たちに危害を加えないことを剣に誓った。いまは傭兵くずれでも騎士の誇りを持っている人なんだ。僕はなんて失礼なことを言ったんだろう。素直に謝って後は姉さんに任せることにした。
「どうも傭兵くずれと強調されるのは好きではないのだがね。」 (ランスロット)
あっごめんなさいランスロットさん。でも傭兵くずれなんでしょ?
「・・・まぁいい。」 (ランスロット)
僕たちはウォルスタ人っていって、ヴァレリア島では少数派の民族なんだ。残りはバクラム人とガルガスタン人。ウォルスタはガルガスタンに負けて以来、下級民族として支配されるようになったんだ。でも、そんな状況を黙って見ているほどウォルスタ人は腰抜けじゃない!
僕たちはアルモリカ城に捕らえられているウォルスタ人のリーダー、ジュダ・ロンウェー公爵を助け出すつもりだった。
「でも、私達だけじゃとても・・・お願いです。力をお貸し下さい。」 (カチュア)
ランスロットさんたちは傭兵だけど、一番力のない僕たちウォルスタの為に戦うことを選んでくれた。良い人達だ。これでバクラムとかガルガスタンとかにつくと言ったら全員死刑だったんだけどねフフフ・・・。
「できもしないことを妄想すんじゃねぇよデニム。」 (ヴァイス)
妄想癖はお互い様だよヴァイス君フフフ・・・。
「あぶねー系統に転がるな馬鹿者どもが。」 (天)
あんたじゃないか一番危ないのは。
ともかく、早速準備に取り掛からないと・・・。
「デニム、戦いはあの人達に任せて、私達は高みの見物といきましょう。」 (カチュア)
「姉さん!?ランスロットさん達は僕たちの為に戦ってくれるって言ってるんだよ!どうしてそんな事を言うんだ?!」 (デニム)
「・・・そうやって、あなたも私から離れていくのね、デニム。」 (カチュア)
「ね、姉さん・・・僕はそんなつもりじゃ・・・」 (デニム)
僕が姉さんの言うことに反発するといっつもこれだ。僕はもう子供じゃないのに・・・。
そこにヴァイスがやってきてくれた。助かった!持つべきものは親友だよヴァイス!
僕はヴァイスの言うままにランスロットさんたちのところへ急いだ。ヴァイスとカチュア姉さんがその後何か言いあってたみたいだけど、そんなの気にしてられなかった。
僕たちは準備を整えて、明日アルモリカ城へ向かうことにした。