バルマムッサに向かう途中のボルドュー湖畔でワッケインもどきをぶっ殺した僕達は、死体を放置して先に進んだ。
「待て待て!俺の扱いそれでお終いか!」 (レクセンテール)
「やかましい。パクリやがってそれでも騎士か!去ねぃ!」 (天)
(ぶんっ)
「しゃらくせぇ、返り討ちよ!」 (レクセンテール)
(しゅばっ)
うるさいからあっちいっててよアンタ達。
ゾード湿原にさしかかった時、また妙な連中に遭遇した。やれやれ、ガルガスタンばっかりだよもう。しかもグリフォンを連れてるよ。やだなあもう。
「・・・お前、何やってんだこんなところで。」 (カノープス)
「お前こそこんなところで何やってんだ。」 (敵リーダー?)
あれ?カノープスさんの知り合いなんですか?
「んー?まあなあ。出てくるとは聞いてたけど、まさかこんな形とはな。」 (カノープス)
「レアものだからな。・・・ん?いかん、この場は引かねば。」 (敵リーダー?)
・・・なんだ?向こうから女のホークマンが敵のリーダーめがけて飛んできたけど・・・あっ、逃げた!
なんだったんだろう、あの人・・・。って、敵はいなくなったわけじゃないや!みんな、グリフォンを集中攻撃だ!
「俺の台詞はどーしたー!」 (猛獣使い)
あ、後から変なのが出てきた。台詞って・・・何の話だよ。そんな悠長なこと言っていられるか!
僕達はどうにかグリフォンの一体を追いつめた。その時・・・
「い、いかん!大丈夫かオブダ!くそッ、撤退だ!覚えてろよ小僧!」 (猛獣使い)
陳腐な台詞だなぁ。
ともかく、相手が勝手に退却していったので被害もそこそこに抑えられて万歳ってな寸法だ。
バルマムッサに到着した僕達は、雨の降りしきる中、ガルガスタンの守備隊と遭遇、これを殲滅した。
「上から下へ攻めるのは楽でいいよなぁ、デニム。」 (ヴァイス)
ヴァイスも上機嫌だ。戦っていれば幸せなのかな。
「今、失礼なこと考えただろうデニム。あぁ?!」 (ヴァイス)
あだだだだ、ごめんごめん!
(どぼす)←ヴァイス左脇からえぐるように拳を埋めるカチュア
「ぐぶぉっ!?」 (ヴァイス)
「なにやってんのよヴァイス。油売ってないでさっさと説得に行くわよ。」 (カチュア)
(めりめりめり)←更に押し込むカチュア
「ぐふっ・・・お、おう・・・」 (ヴァイス)
姉さん・・・だんだん狂暴度が高くなってきているような・・・しかもスキルアップしている気も・・・。
・・・余計なことは考えない様にしよう。
僕達が出会った人達は、公爵が言われるような『戦う目的を見失った』人達ではなかった。
そこにいたのは、『今の生活に平和を感じている』『戦いを避ける』人達だった。
「お前等・・・お前等それでもウォルスタ人かッ!ウォルスタの誇りはどこへ捨てやがった!」 (ヴァイス)
「よしなさいヴァイス!」 (カチュア)
(ぼぐっ)
(ばたっ)←倒れるヴァイス
姉さん・・・いくらなんでも棍棒で後頭部直撃は死にかねないよ。ヴァイスだからって、ひどいよ。
「そ・・・その言葉のウラには・・・一体、何を含んでいるんだ、デニム・・・?」 (ヴァイス)
気にしないで寝てていいよ。
今の生活に満足している、平和な生活を乱さないでくれ・・・彼らの主張は首尾一貫していた。彼らを戦争に駆り立てることは、僕には不可能だった。できっこない。誰にできる?公爵にだってきっとできないだろう。
彼らは今の生活が壊されなければ、誰がこの島を統治したっていいんだから・・・。
・・・そういえば、誰かが同じようなことを言ってたな。誰だったかな?
そんな時、レオナールさんが到着した。レオナールさんは僕達を外へ連れ出した。彼らに聞かれちゃまずいことなんだろう。
「やはり説得は難しいか・・・。」 (レオナール)
顔に出ていたんだろう。いや、こんな気分、顔に出ない方がどうかしてる。僕は黙って肯いた。
「気にするなデニムくん。こうなることは分かっていたんだ。」 (レオナール)
・・・・・・。え?
僕は、レオナールさんが何を言い出したのか分からなくなった。
『分かっていた』?何が?僕達が説得に失敗するのが?
・・・違う、彼らが戦おうとしないこと?最初から・・・。
じゃあ、僕達がここへきたのは・・・
レオナールさんが後詰めに・・・武器を運ぶ?何故?失敗すると分かっているなら何の為に武器を運搬する必要が・・・?
レオナールさんは一体、何を運んできたというんだ?
混乱した僕に、レオナールさんの言葉が追い討ちをかけた。
「よく聞くんだ。これから、我々はこの町の人を皆殺しにする。」 (レオナール)
!?
何を・・・殺す?誰を・・・?この町の・・・ウォルスタ人・・・同胞・・・皆殺し・・・最初から・・・武器を運んで・・・違う、皆殺しの為・・・。
何故、何の為に、何の権利があって!!それが・・・それが!
でも、思っていることを口に出すことができなかった。それが、公爵の考えであるということが、怖かった。
僕が助けた人は、ウォルスタのリーダーなんかじゃない・・・。ただの・・・。
「これは公爵の意志だ。・・・ガルガスタンが用意した自治区に住むウォルスタ人を、ガルガスタンが虐殺したとなれば、我等ウォルスタ人の結束は強固なものとなる。戦争を早く終わらせる為には、彼らが蜂起しない以上、これが最上の策だ。」 (レオナール)
最上・・・そんな・・・僕は、仲間を殺すのか・・・?それが、戦争・・・?だから、早く終わらせる・・・?
「従ってくれるな?でなければ、ウォルスタに未来はない!」 (レオナール)
「何をバカなことを言っているの!あなた、気は確かなの!?」 (カチュア)
我に返れたのは、姉さんのおかげだった。でも、姉さんの激昂にもレオナールさんは全く揺らいだりもしない。
「カチュア、君は従えないというのだね?」 (レオナール)
「当たり前でしょ!」 (カチュア)
「そうか。デニム君、君はどうなんだ?」 (レオナール)
僕の意志は、もう決まっていた。
レオナールさんの問いかけに対する返事は、もう決めていた。
「馬鹿なことはやめろッ!戦争の為に、何の罪も、何の責任もない人の命を絶っていいわけがない!」 (デニム)
(レオナール、長嘆の後)
「ウォルスタが勝つ為には物言わぬ骸が必要なのだ。虐殺を止めたければ、彼らを蜂起させるがいい。」 (レオナール)
「そんなこと・・・最初から彼らが蜂起しないとふんでいた、あなた達が言える事か!?」 (デニム)
長い間が空いたように思えた。でも、次にレオナールさんが喋り出すまでの間は、ほんの僅かな静寂しか下りていなかった。
「どうやら、話し合うだけ時間の無駄だな・・・ヴァイス!」 (レオナール)
・・・え?
今まで、ずっと黙っていたから気づかなかったけど、そういえば何故ヴァイスは黙って聞いていたんだ?考えてみれば、ヴァイスが最も激しく反論しそうなもんだ。
でも、ヴァイスは僕の目の前に立って、僕に剣を振り下ろした!
「ヴァイスッ!」 (デニム)
咄嗟に避けたけど、お芝居とかおふざけでやってるんじゃない・・・本気で、僕を・・・。
「ヴァイス、まさか・・・お前・・・」 (デニム)
「馬鹿な甘ちゃんだぜ。戦う意志のねぇ奴なんか、生きてる意味ねぇだろうがよ。」 (ヴァイス)
「本気・・・本気でそう思っているのか、ヴァイス。」 (デニム)
「俺はお前達ほど、理想に目が眩んで周りが見えなくなる様なお馬鹿じゃねぇんだ。」 (ヴァイス)
そんな時に、本物のガルガスタン軍がやってきた。
「チッ。ヴァイス!彼らは放っておけ!バルマムッサが先だ!」 (レオナール)
「しかし・・・チッ、仕方ねぇ。デニム!次に遭った時、お前を殺す!」 (ヴァイス)
「パーティの招待状は渡してないぞ。」 (天)
「折角シリアスに進んでんのに邪魔すんじゃねぇ!」 (カノープス)
(ぼぐっ)
パーティ・・・違う、ヴァイス!どうして・・・。
僕達はこれで、ウォルスタにも戻れなくなってしまった、というわけか・・・。
「デニムッ!どうしたデニム!ちっ、ガルガスタンか・・・。しっかりしろ!説得できなかったことを悔やむより、今は生き残ることを考えろ!」 (ヴォルテール)
「しっかりなさい、あんたがウチらのリーダーでしょ?」 (サラ)
下で待機していたみんなが集まってきた。
ヴォルテールさん、サラさん・・・二人とも何も聞かされていないんだ・・・。
「デニムッ!」 (カチュア)
姉さん・・・。僕はまた、姉さんの声で我を取り戻した。
「みんなッ!目の前のガルガスタン兵を突破するんだ!生き残れ!生きて・・・戦い抜くんだ!この愚劣な戦争を、止める為にッ!」 (デニム)
僕のどこにこんな台詞が出せる場所があったのか不思議だけど、それは自然に声になって出ていった。
とにかく、このガルガスタン軍をどうにかしないと、僕達が殺されてしまう。
戦っている内、バルマムッサに火の手が上がった。僕にはそれが、レオナールさん達の仕業だとわかったけど、みんなはその事実を知らない。
「しまった!バルマムッサが・・・」 (サラ)
「くそっ、こっちの部隊はおとりかッ!」 (ヴォルテール)
「レオナールの部隊が来てるんじゃないのか!?」 (一般兵)
「くそっ、なんてこった・・・」 (一般兵)
「集中しろッ!目の前のガルガスタン兵だけでも倒すんだッ!」 (デニム)
それだけが・・・僕達にできるのはそこまでだ。
・・・
上を取られていたせいで、僕達の被害も甚大だったが、ガルガスタン軍は全滅した。
みんな疲弊していたが、それでもここに残ることはできない。残れば、レオナールさんと顔を合わせることになる・・・。
ヴァイスとも・・・。
「デニムッ!貴様を殺るのは、この俺だ!それまで死ぬんじゃねぇぞ!」 (ヴァイス)
ヴァイス・・・どうして、僕達が殺し遭わなきゃいけないんだ・・・?
声の方を振り向いたが、ヴァイスの姿は見つけられなかった。
ふと、目をやると、
バルマムッサが、燃えていた。
言いようのない無力感にさいなまれ、僕はただ、燃え盛る炎を呆然と見つめることしかできなかった。
【某所】
「やばいな。」
「全くですな。」
「だからお前は阿呆なのだ。」
「路線がそっちに転んだら、マジにウォーレンレポートの焼き直し版だ。」
「おまけに先はまだ長い。こんなペースでどうするつもりかね。」
「君の実力で、対処できるというのかね?」
「その為のネルフです。」
「懲りない奴だ。」
「フクロにしちまえこのクソガキをーッ!」
「なんだ貴様ら、やるっちゅーんかーッ!」
(どんがらがっしゃーん)
以上、謎の聴聞会特設傍聴席からウォーレン・ムーンがお贈りしました。
・・・ウォーレンさん?いままでどこに
「星の定めです。」
「上の重厚さぶちこわしだな。」
「あんただあんた。」
「それより行数がどんどん増えていくがどうなっているのかね。」
「そもそもこの企画自体が無謀だとは思わんのかね。」
「大体、このノリで継続することができるのかね?」
「その為のネルフです。」
「ええい、刺身にしてくれるわーッ!」
「やんのかコラーッ!」
(どんがらがっしゃーん)
駄目だ・・・意識が遠のく・・・。
「章の始まりの前にセーブすることができます。セーブしますか?」
(はい)
「ゲームをやめますか?」
(いいえ)
「やめろよ」
(は?)
「貴様・・・続けて書けるというのかね?」
「その為の・・・」
「タコ殴りじゃーッ!」
「者ども、出合え出合えーい!」
「しゃらくせぇ、返り討ちよ。」
宴の夜はエンドレス。
次回から新章突入です。どう展開するか、私も知りませんがこんなノリはたまにしかでませんのでご心配なく。
いや、どっちの、と聞かれても・・・フハハハハ!