いきなりだけど、前回からいっきに3週間ぶっとばしますからね。
なんでって・・・そういうシステムなんだから我慢して下さいよ。
僕達は追われていた。ガルガスタンに?確かにそれもあるけど・・・僕達はロンウェー公爵に懸賞金を懸けられたんだ。ウォルスタからも追われる身になったんだ。
なんでかって?
僕達がガルガスタンに寝返り、バルマムッサの虐殺をやったからだ。
勿論、事実は違うけど・・・あの場にいた僕には、止めることも出来なかった。逃げることしか、できなかったんだ・・・。
「はーいはいはい!いつまでもウダウダ暗く浸ってんじゃないわよ!」
ね、姉さん・・・。
「どうしようもなかったのよ。私達の力で、あれ以上何かできたとでも言うの?」
・・・わからないけど・・・結局、あの虐殺の場に僕は居合わせたのは間違いないんだ・・・。
「・・・もう!」 (カチュア)
(バタンッ!)
「なんだ、またケンカしてんのかよ。それより見ろよこれを。」 (カノープス)
(ごそごそ)
「とうとう3万ゴートの賞金首だぜ、デニム。公爵も焦っているな。」 (カノープス)
「・・・酷い。まるで私達がやったみたいじゃないの。」 (カチュア)
カノープスさん・・・追われているって緊張感が全然感じられないよな、この人。
・・・。
遠くから僕の名を呼ぶ声がする・・・友達が手招きしているようなものじゃなく、親の仇を探すような、怒号を含んだ呼び声・・・。もうここも捨てなきゃ駄目だ。
「人気者だな、デニム。」 (カノープス)
カノープスさんは、ほんっと気楽で良いですね。
「おっ、ちったあ元気も出てきたようだな。急げよ!」 (カノープス)
わかってますって。
僕達は戦わずに逃げ続けた。でも・・・目立つよなぁ、武装集団ってのは。どうやって隠れてたんだか・・・自分でも不思議だよ。
それに・・・。
みんな僕と一緒にいることを選んでくれたのは、ちょっと嬉しかったかな。実際は、隊を離れても結局ウォルスタに戻ることもできないからだろうけど・・・。それでもいいさ。
「また追手がきたようだな、デニム。」 (ヴォルテール)
「持っていくものも少ないから気楽なもんよ。」 (サラ)
みんな、逃げるのもずいぶん慣れちゃったね・・・。よし、急ごう!
でも、今回のは今までの賞金稼ぎとは違っていた。正しくは、賞金稼ぎでもないんだけど・・・。
「お前がデニムかッ!バルマムッサの礼を受けてもらおうか!」 (敵リーダー)
バルマムッサの・・・生き残りなのか!?
「待ってくれ!話を聞いてくれ!」 (デニム)
「同胞殺しの裏切り者の話など、聞く耳持たぬわッ!」 (敵リーダー)
「デニム、何を言っても駄目よああいうタイプは!」 (カチュア)
姉さんが言うと説得力があるんだかないんだかよくわからないよ・・・。
仕方がない!
・・・
と戦い始めたんだけど、彼女は滅法強い!高台からビュンビュン矢をうならせてこっちは負傷者続出だよ。全く困ったもんだ。
「兄さんは・・・足を負傷して動けなかったんだ・・・それを、貴様は・・・」 (敵リーダー)
「待ってくれ!僕達は虐殺の場にはいたけど、僕達は虐殺を止めようとしたんだ!」 (デニム)
「嘘を付くなッ!」 (敵リーダー)
「本当だ!虐殺だって、公爵とレオナールが共謀して・・・」 (デニム)
「貴様ァ・・・言うに事欠いてよくもッ!!」 (敵リーダー)
(びしゅんっ、がきっ)
彼女が矢を射ったと思った瞬間、僕の前に誰かが立った。矢は、その人、ヴォルテールさんの盾に弾かれた。
「死ぬ気かデニム!今更逃げが許されると思っているのか!」 (ヴォルテール)
「ぼ、僕は・・・いや、それにしても、どうすれば彼女を・・・」 (デニム)
「心配するな、一人の能力が高い程度で戦いに勝てはしない。」 (ヴォルテール)
ヴォルテールさんの言う通り、彼女を集中攻撃していた僕達は、じきにこの戦闘を終えることになった。
(ざくっ)←切り付けの効果音
「ぐ・・・は・・ッ」 (敵リーダー)
(がくりと膝をつく敵リーダー)
「そいじゃトドメといきますか。」 (サラ)
(きりきり・・・)
「ぐ・・・くそッ・・・裏切り・・者の癖に・・・ッ」 (敵リーダー)
・・・駄目だ、殺すなサラッ!
「・・・あいよ!」 (サラ)
(びしゅんっ、ばしっ)
「・・・ッ」 (敵リーダー)
サラさん、弓を・・・。ひょっとして、最初からそのつもりだったのかな。
「やっとこさ『呼び捨て』かぁ・・・らしくなってきたねぇ♪」 (サラ)
「・・・後はお前次第だ。行ってこいデニム。」 (ヴォルテール)
「なぶるな、殺せ!バルマムッサで兄さんを殺した様に!」 (敵リーダー)
「殺しはしない。捨てるつもりならその命、僕が拾おう。」 (デニム)
「・・・なんの、つもりだ?」 (敵リーダー)
「君には本当のことを知ってもらいたいんだ。それでもなお僕を殺そうとするなら、そうすればいい。逃げはしない。」 (デニム)
「・・・ふん、いいだろう。好きにするがいい。お前に、聞きたいこともあるしな・・・。」 (敵リーダー)
ふうー、やれやれ。取りあえず助かったか・・・。
彼女はアロセールと名乗った。アロセール・ダーニャ。弓の名手なのは間違いない。でも、僕がそれ以上に気になったのは・・・
「・・・レオナールの名を、出したな。」 (アロセール)
・・・これだ。何かとレオナール、レオナールだもんで、ちょっと聞いてみた。
「何故、レオナールさんのことが気になるんだ?」 (デニム)
「・・・・・・。私の、恋人だ。」 (アロセール)
げげん!聞かなきゃ良かった・・・。
それはそれとして。
このままの状態が続けば、僕らが疲弊してその内賞金稼ぎの餌食だ。なんとかしないと・・・。
こんな時、ランスロットさんがいたらどんなに心強いか・・・。
「なんだよ、俺じゃ役不足かよ。ったく舎弟の癖に人気だけはいっちょまえだな。」 (カノープス)
あ、いや別にそういうつもりじゃ・・・。
「ランスロットなら、タインマウスの丘あたりにいるって話がある。出所があまり明確じゃないが・・・」 (カノープス)
タインマウスの丘・・・?なんでまたそんなとこに。
でも、他に頼る場所もない以上、行ってみるしかないよね。