アロセールが仲間になってくれたのは良いけど、ヴァイスのいった通り僕達は包囲されてしまっていた。
「とにかく、ここにいてはいずれ捕まってしまうぞ。」 (カノープス)
「同感だ。とはいえ、現状ではクリザローくらいしか逃げ場はないな。そことて既に公爵の手が回っているだろうがな・・・。」 (ヴォルテール)
・・・。なんか、余計に逃げ場が無くなるような気がするんだけど・・・。
「どっちにしたってここから立ち去らないと話にならんぜ。」 (カノープス)
うう、選択肢が全然無いってのはつらいなぁ・・・。
とにかく僕達は、やむを得ずクリザローの町に退避することにした。どーか敵がいませんよーに。
なーんて言ってたら、やっぱりクリザローで敵に遭遇しちゃったよ。てへ♪
「てへ♪じゃないでしょ!」 (カチュア)
ね、姉さん・・・最近怒ってばかりだ。ストレスでも溜まってるのかな?
「ほほう、ゴリアテの英雄、略してゴリ英のご登場か。やはり貴様はゴリ英の手先だったようだな!あ?」 (壊乱)
「・・・」 (騎士)
「ふん・・・聞け、デニム!貴様の一味を捕らえてある。助けたくばその首を置いていけ!」 (壊乱)
・・・誰、あれ。
「知らないわ。私達には関わりのない話よ。アレががなってる間にさっさと行くわよ。」 (カチュア)
冷たいなぁ姉さん・・・。でも、僕達の一味だと思われてるのはよくないよ。それに、どの道見つかっちゃったんだ。素直に通してくれないだろうし、倒していくしかないよ。
・・・
正直、今更騎士軍団の相手なんてチョチョイと片手間だよ。
「ぬぬう・・・裏切り者の手にかかるとは末代までの恥・・・無念だ」 (壊乱)
(がくっ)
大袈裟な人だなぁ。
連れ去られた騎士はフォルカスと名乗った。でも、ヴァレリア解放戦線のメンバーだという。
確か、システィーナって娘・・・ヴァレリア解放戦線だったっけ。
「ほう、ライムで彼女を助けてくれたのは君達だったのか。これは、改めて礼を言わせてもらおう。」 (フォルカス)
「礼なんか要らないわ。もう金輪際、関わり合いにもなりたくないわ。」 (カチュア)
ね、姉さん!なんて言い方を・・・。
「随分嫌われたものだな・・・。我々は君達にとって敵ではないと思うのだがね?」 (フォルカス)
「敵ではなくても、余計な戦いに巻き込もうとしてるんでしょ?」 (カチュア)
「・・・なかなかいいカンだ。実はこの先のクァドリガ砦に、まだ仲間が捕まっているのだ。虫のいい話だろうが、手を貸して欲しい。」 (フォルカス)
「ふざけないでくれる?あなたの命を助けただけじゃ満足できないわけ?」 (カチュア)
「姉さん、やめなよ!」 (デニム)
「手を貸してくれれば、君達の脱出の手助けをしよう。あの砦には我々の船がある。海路なら、ライムへの道程も危険ではない。」 (フォルカス)
「船か・・・なるほど、それは良い手だ。」 (デニム)
「デニムッ!」 (カチュア)
「いいでしょう、これも縁だ。手を貸しますよ、フォルカス」 (デニム)
「ありがたい!感謝する!早速準備に取り掛かるよ!」 (フォルカス)
(フォルカス、嬉々として退出)
「・・・どうしてなの?デニム。」 (カチュア)
「どうしてって・・・悪くない取引だと思わないの?」 (デニム)
「こっちの弱みを把握した上で、持ち掛けてきた話じゃない。気に入らないわね・・・。」 (カチュア)
「・・・どっちにしろ、今はあの人の申し出を受けるしかないんだよ。」 (デニム)
「でも・・・あの人が本当のことを言ってるとは限らないじゃない。」 (カチュア)
「・・・姉さんは、自分の思い通りに行かないと気が済まないだけなんだよ。そんなの、ただの我が侭じゃないか。」 (デニム)
「・・・・・・。」 (カチュア)
(部屋から出て行くデニム)
こうするしか、今はないんだ・・・わかってくれてもいいじゃないか。
【デニムが去った室内。立ち尽くすカチュア。】
「・・・・・・。」
(間)
「・・・私は、我が侭なんかじゃないわッ!」
(語気激しく叫んで、再び間)
「・・・どうしてわかってくれないのよ。」
以上、ジェリーの祖父と称してギター抱えて穴からひょっこり風来坊、ねずみ仮面がお届けしました。
ちゅう。
・・・。なんだ今のは。
とにかく僕達はクァドリガ砦に行くことになった。姉さんも相変わらず憮然としてるけど、わかってくれたみたいで取り敢えず一安心。
僕達はクァドリガ砦に到着した。ここは・・・確かカラスが・・・。
「妙なこと考えてないで、ちゃっちゃと済ませるわよ!」 (カチュア)
姉さん、はりきってるのかヤケなのか・・・どっちだか明確なのが困るよな。
・・・ん?砦から誰か出てきた。
「ほほう、一人で逃げ出したかと思ってたが、仲間を呼び集めてきたわけか。ちったぁ骨のある男じゃねぇか。」 (海賊)
「バイアン、無事か!?」 (フォルカス)
(砦の端に立つ魔術師がこちらを見る)
「ええいッ、この馬鹿者めが!わしなぞ放っておけばよいものを・・・!」 (バイアン)
あの人が、仲間ですか?戦うには随分歳が・・・。
(ごっ)
〜〜〜〜〜ッ!!
い、石・・・?もうそんなに近づいていたのか?!
「若造!ジジイと侮るなよ!」 (バイアン)
また・・・。なんで僕の考えてることはこう筒抜けなんだ。
「余興はそのくらいにしてもらおうかい。・・・わかってるな野郎ども!女は生け捕りにしろよ。上玉もいるこったしなぁ。がーっははは!」 (海賊)
「見る目があるのは認めるけど、海賊なんかに負けはしないわ!」 (カチュア)
・・・姉さん、いっつも戦わないじゃないか。
ともかく、あの人を助けるんだ!行くぞみんなッ!
「ヘッ、オベロでもちったぁ名の知れた海賊ダッザ様だ。命乞いなら今の内だぜ!」 (ダッザ)
・・・
確かに海賊は手強かった。というより、砦を攻める方が不利なのは当たり前なんだよね。
それにしても・・・あの魔術師の人、バイアンって言ったけど・・・素手も十分強い気がする・・・。ここから戦士系で育てると役立たずになりそうで面白いだろうなぁ。
(ごっ)
〜〜〜〜〜ッ!!
わかったわかりました!もーヘンなこと考えません。
・・・
戦闘は結局、僕等の勝利で終わった。
「・・・ヴェルドレ、すまねぇ。」 (ダッザ)
ヴェルドレ・・・誰のことだかこの時は全然わからなかった。
「バイアン!無事で良かった。」 (フォルカス)
「馬鹿者めが、余計なお節介をしおる。」 (バイアン)
・・・。あ、なるほど。
「どうしたの、デニム?」 (カチュア)
副題だよ。今、やっとわかったよ理由が。
「わかったところでそろそろ締め。」 (天)
ああっそんな!?