コリタニ城を占拠したガルガスタン残党を掃討するべく、僕達は現場へと向かった。
情報によると、捕虜となっているウォルスタ解放軍戦士の処刑をやるらしい。しかも、その中にヴァイスも含まれているという。
「まだ大丈夫ですよデニム君。間に合います。」 (ミルディン)
「・・・だがよ、あいつ、お前が助けに行って『はいそーですか』って素直に応じるとは思えねぇけどな。」 (カノープス)
「だからといって、見捨てるのですか?」 (ミルディン)
・・・。確かに拒絶されるかもしれないけど、ヴァイスを放っておくわけにはいきません。まだ、助けられるんだ。時間をかければ、きっとわかってくれる。甘いかもしれないけど、僕はそう信じます。
「そうだな、望みは捨てちゃいけないな。」 (カノープス)
そうですよ!
・・・
でもまさか、コリタニ城に到着した時にその姿を見掛けるとは思ってなかったけど。
「待てーッ!逃がすな、追えーッ!」 (ガルガスタン兵)
(城壁の上を逃げるヴァイス)
「・・・チッ、冗談じゃねぇぜ全く。」 (ヴァイス)
ヴァイス!無事か!?今、助けてやるぞ!
「う、ウォルスタ軍だッ!」 (兵)
「・・・デニム?誰が助けてくれって頼んだんだよ!お前の助けなんかいらねぇッ!」 (ヴァイス)
「おとなしくしろッ!」 (兵)
「邪魔だッ!」 (ヴァイス)
(ヴァイス、兵を殴り飛ばす。兵、体勢を崩して城壁から落下)
「デニム、余計なことすんじゃねぇぞッ!」 (ヴァイス)
(ヴァイス、逃走)
「うぬ・・・貴様はあのガキを追え!殺しても構わん。どうせ殺すんだからな。」 (セイレーン)
「ハッ」 (兵士)
(兵士、ヴァイスを追う)
「ゴリアテのデニム、か・・・。猊下の仇を討つときだ!者ども、進めーッ!」 (セイレーン)
ヴァイスッ!・・・待ってろよ、必ず助けるからなッ。
ワープシューズを持つセイレーンが率いる部隊を潰した僕達は、コリタニ城の内部へと進んだ。逃げ出す兵もなく、ガルガスタン軍にヘタに投降を呼びかけるのは、敵の戦意高揚に繋がるだけだろう。
奥へ進むと、一つの部隊が待ち構えていた。その中の一人の騎士は今まで見たガルガスタンの戦士達と違っていた。
「ザエボス・ローゼンバッハ・・・やはり奴か。」 (フォルカス)
ザエボス・・・ガルガスタン軍でも枢機卿の片腕として辣腕を振るっていた騎士か。なるほど、ガルガスタン軍の最期を飾るのには相応しいか。
「遂にここまで来たか。威容を誇った我がガルガスタン軍も、もはや我等を残すのみか。落ちぶれたくはないものだな。」 (ザエボス)
「覚悟は出来ているな?ガルガスタンの残党ども。」 (デニム)
「フッ、焦るな小僧。・・・コリタニ城も今宵限り。当て所も無い旅に出らぁな。しかし俺にゃあ生涯おめぇという、つえェ味方がぁ」 (ザエボス)
(だだんっ)←拍子
「ぁあ っ た の か ぁ 〜〜♪」 (ザエボス)
「親分!」 (残党)
「おゥ手前ら!ここが最期の花道だ。花は桜木、人は武士。ガルガスタン武士の散り様を、ウォルスタの連中にしっかと見せ付けろ!」 (ザエボス)
「ヘィ!」 (残党)
「さァてゴリアテのデニムとやら。このザエぼんの薔薇吹雪、見事散らせるもンなら散らしてみろィ!」 (ザエボス)
(BGM:遠山の金さんfrom杉様バージョン)
な・・・なんなんだこいつらは。
「芸風変えたなぁあいつ・・・。」 (フォルカス)
何の芸ですか。
・・・
ともかく、僕達はガルガスタン軍最後の部隊を潰しにかかった。
ここは、中央回廊を降りると普通は回廊に戻れなくなるんだ。左右に展開した僕達を狙って連中も続々降りてきた。そうするともう、直接攻撃に晒されることは殆ど無い。後は素早く魔法の行使者を行動不能に追い込めば楽勝となる。
厄介なゴーレムも生来の足の遅さや魔法への免疫力の低さからバイアン先生にフクロにされ、ハボリムさんやフォルカス、システィーナ達の活躍も手伝って、ガルガスタン軍最後の部隊を潰すのは結構楽だった。
「さあ、後はお前だけだ。観念しろザエボス。」 (デニム)
「なんだよ、俺の出番もうお終いかよ。とっつかまえてたヴァイスはどこいったんだ。折角ムチの使い方練習してたのによ。ったく、全部テメーのせいだぞこらガキ。」 (ザエボス)
「ぼ・・・僕は関係ないじゃないか。何言ってるんだ全く。」 (デニム)
「お前が決めたことで存在すら知られないまま終わってしまう連中もいるんだからな。も少し責任感じろよ。」 (ザエボス)
そんなこと、僕は知らないよ。出てこないのはその人が選んだ道だからじゃないか。僕がその人を操ってるんじゃないんだから・・・。
「そうかな?お前とて、誰かに操られているのかも知れんのだぞ?」 (ザエボス)
危険なことを言い出さないでよ・・・。本気にしちゃいそうじゃないか。
「知らぬが仏とはこのことか。」 (天)
あんた一体誰なんだよ。
ともあれ、コリタニ城を占拠したガルガスタンの残党は掃討した。これで、目立って反旗を翻そうというガルガスタンも出てこないだろう。
問題なのはウェオブリ山越えの方だ。麓近くまで来たけど、まったく・・・どこをどう通ればいいんだ。
・・・・・・?
「うふふふふ・・・」 (?)
・・・誰だ?
「デニム、あれ・・・」 (システィーナ)
ん・・・?あれは、フェアリーじゃないか。こんなところにもいるのか。
「あらら、見つかっちゃった♪」 (フェアリー)
(すうっ、とデニムに近寄る)
「こんにちわ、物騒な人。こーんなところを散歩してちゃ危ないわよ♪」 (フェアリー)
散歩しにやってきたように見えるのか?
「あははははは♪」 (フェアリー)
「放っておけデニム。構ってると作戦のタイミングに間に合わないぞ?」 (カノープス)
そうですね・・・。悪いけど、君と遊んでる暇はないんだ。
「あー!そんなこと言う子には教えてあげないんだからー!」 (フェアリー)
「なんだい、それ。」 (デニム)
「ふーんだ。わたしに構ってる暇なんか無いんでしょ?さっさと山に入って道に迷えば良いじゃない。」 (フェアリー)
「・・・ひょっとして君、通りぬける道を知ってるんじゃあ?」 (デニム)
「知らない。」 (フェアリー)
「『言霊の石』あげるから。」 (デニム)
「いらない。」 (フェアリー)
「『精霊の果実』あげるから。」 (デニム)
「ホント?」 (フェアリー)
(デニム、精霊の果実を取り出す)
「ぅわーい♪」 (フェアリー)
(早速かじり始めるフェアリー)
思わぬ道案内を見つけた僕達は、当初、相当な難儀を覚悟していたにも関らず、何の問題も無くウェオブリ山を通り抜けることが出来た。
「ありがとう、おかげで助かったよ。・・・名前もまだ聞いてなかったね。」 (デニム)
「わたし?わたしはジルマってゆーのよ。バイバイ、デニム♪おねーさん、大事にしてね♪」 (ジルマ)
え?あ、うん・・・。
・・・姉さんのこと、話したっけ?
まあ、いいか!ジルマのおかげでライムの状況をつぶさに調べる時間まで出来たよ。後は作戦発動のタイミングを待つだけだ。