僕です。
嫌な予感はしてたんです。
そう、みなさんの予想通り、解放軍の新しいリーダーは、僕になっちゃいました。
でもよかったよ。レオナールさんみたいに中間管理職を経ずにトップに立てたのは。胃が荒れるってよくいってたからなぁ生前。
「閣下?」 (魔術師)
あ、ごめんごめん。じゃなくって・・・すまない。
で、何だって?
「は。詳しくは影の者が戻っておりますので・・・。」 (魔術師)
わかった。
あれから情勢は色々変わった。僕が解放軍のリーダーになったのもそうだけど・・・。
姉さんが実はドルガルア王の娘で、ロスローリアンがそれを擁立したっていうのもその一つ。
ベルサリア・オヴェリスというのが姉さんの本名だっていうけど・・・。
僕にとってはカチュア姉さんに変わりはない。
ともかく色々な情報を集めなければ、組織を動かすことはできない。その為の・・・
「ネ・・・」 (天)
違うよ。あんた邪魔だからどっか行っててよ。
「つれないのー。」 (天)
しっしっ。
さて、と・・・。
影はどこにいるんだ?
影!・・・かげ?
「平仮名で呼ぶなよ。」 (影)
あ、いや・・・僕も影の者がどんなのか知ってるつもりだけど・・・君みたいに威風堂々と立ち振る舞うのは初めて見たよ。
「フッ。忍びの者とはいえ、正しい姿勢でいることは健康上必要だ。」 (影)
それはそうだね。で?ベルサリア王女の所在は?
「ふむ、王女の件は誰だ?」 (影)
「は。」 (忍A)
(どこからともなく現れる忍A)
うわびっくりしたー!なんだよ、他にもいたの?
「影をなめてもらっては困る。王女は?」 (影)
「ハイムで暗黒騎士のコマンド級騎士と一緒にいる姿を確認しましたが、詳しい所在までは。」 (忍A)
暗黒騎士と一緒にハイムか・・・当然といえば当然か。
えーっと、他に何か調べてもらっていたと思うけど?
「はて、どうであったか?」 (影)
「は。ランスロットの所在調査について。」 (忍B)
わかったのか!?
「いや、正確には。ハイムの地下牢に閉じ込められているらしいのだが、姿までは確認できてない。」 (忍B)
そう・・・。無事でいてくれればいいけど・・・。
「他にはないか?」 (影)
「あ、拙者はヴァレリア解放戦線のその後を追跡しておりましたが・・・。」 (忍C)
セリエさん達か・・・あの人には一言、言いたいこともあるんだよな・・・。で?
「あいにく携帯の電波が届きませんので断念いたしました。」 (忍C)
なんだよそれは!
「電波不通では仕方ないな。・・・奴はどうした?」 (影)
「あ、今日はすき焼きにするそうです。」 (忍A)
「そうか、そいつは楽しみだな。」 (影)
「それと、今日は市川歌右衛門と北大路欣也のダブル退屈のお殿様です。」 (忍C)
「ぃやっふぉー♪」 (四忍者)
・・・・・・。
誰だこんな影を配備したのは。
まあいいや、ともかく、役には立っているな。
ロスローリアンも王女を擁立する立場を崩してはいない。連中を攻撃するにはまだ時期尚早か・・・。彼らの真の目的を知らなければ、迂闊に手出しができない・・・。
(兵士、ドアを開けて入ってくる)
「申し上げます。ブリガンテス城の駐留部隊から伝令が到着しております。」 (兵士)
「・・・ブリガンテスから?通せ。」 (魔術師)
「は。」 (兵士)
ブリガンテス・・・?一体何が?
「ブリガンテス城のフィラーハ教団指導者が、面会を求めておられます。」 (伝令)
「フィラーハ教団が?一体何の用があるというんだ?」 (デニム)
「ふむー・・・。で、いつ来ると?」 (魔術師)
「は。それについては、閣下直々にブリガンテス城へ至急、とのことです。」 (伝令)
「何と、こちらから出向け、とは!」 (魔術師)
・・・。
フィラーハ教団の指導者は誰か知っているか?
「いえ、私は教団僧侶からその旨を伝え聞いただけです。教団指導者と思われる人物を、我々は見たことがありません。」 (伝令)
見たことがない・・・?まさか指導者ともあろう人間が、隠れてこそこそ城を抜け出したりしはしないだろう。
至急、か。・・・何かありそうだ。
「確かに奇妙な申し出ではありますが・・・行かれますか?」 (魔術師)
うん、行こう。
フィラーハ教団・・・最近、ドルガルア王の忘れ形見である王女が登場したことで俄かに活気付いてきた連中だ。その彼らが僕達に何を語り掛けるのか・・・。
いい話は、あまり期待しない方がいいか。