たちまちはモルーバ様の協力を取り付けたけど、モルーバ様って・・・フィラーハ教団では権威のある方だったんですよね?
「自慢になるがそのとおり。」 (モルーバ)
ってことは、現時点で教団指導者の立場にある父さんとの関係って、どうなるんでしょう?
「まあ、言うなれば会長と名誉会長のようなものじゃ。」 (モルーバ)
はあ・・・そういう事なんですか。
うーん、わかったようなわからないような、妙な肩書きだなぁ。
そんなこんなで僕達は、モルーバ様を連れてフィダック城へと向かっていた。その中、モルーバ様の意向もあって、ブリガンテス城を経由することになった。
「プランシーとも暫くぶりだしな。」 (モルーバ)
てなもんだから比較的ゆっくり進軍してたんだけど、コリタニ城を過ぎた辺りで少し雲行きが怪しくなってきた。
「・・・・・・デニム、伝令兵だ。やけに急いでるぞ。」 (カノープス)
ホントだ。何があったんだろう?
(伝令、デニムの前に到着)
「閣下、ブリガンテス城が襲撃を受けました!」 (伝令)
「何だって!?」 (デニム)
「状況は?」 (バイアン)
「は、攻め手はバクラム軍と思われますが、戦力差もあって我々は篭城の形で凌いでおりますが・・・」 (伝令)
「・・・なんだってまたブリガンテス城を・・・?」 (フォルカス)
「確かに目的が今一つ掴めんな・・・。」 (プレザンス)
「ともかく、ブリガンテス城へ急ごう。放っておくわけにも行かないし。」 (デニム)
・・・
でも、僕達が到着した頃には既にバクラム軍は壊滅した後だった。
そんなに時間がかかったわけじゃないのに、これは一体・・・?
「閣下!」 (守備隊長)
「身動きが取れないほどの包囲を受けている、と聞いたが、これはどういうことか?」 (バイアン)
「は。それについてはお引き合わせしたい方々がおられます。我々はその方々の助勢を得てバクラム軍を撃破したのです。」 (守備隊長)
「・・・この辺りに遊軍がいたっけ?」 (デニム)
「何か、予感がするな。」 (カノープス)
「そうですか?」 (ミルディン)
またなのかなぁ・・・。
城門をくぐると、そこにはその助太刀部隊の構成員らしき面々が待機していた。見たところ、解放軍でないのは間違い無いけど・・・一体なんなんだ?
疑問は募る一方だったけど、とにかく助勢してくれた礼は言わないと・・・。
そして僕達は客室へ到着した。
「おお、デニムか。」 (プランシー)
そこには父さんの他に、精悍な顔立ちに眩しく光る歯が実に印象的な30過ぎ辺りの戦士と、その娘くらいの歳の女の子がいた。予想に反して、カノープスさんたちの関係者じゃなさそうだ。
しかし・・・そうすると一体、誰?
「あなた方は・・・?」 (デニム)
「うむ、わしから紹介しよう。彼はジュヌーン・アパタイザ、ガルガスタン軍に属していたが、ガルガスタン軍が崩壊した後は流浪していたそうだ。」 (プランシー)
「よろしく、デニム君。私の姿は、以前見ていると思うが、覚えているかな?」 (ジュヌーン)
あ!あの時のドラグーン、あなただったんですか!・・・では、そちらはお嬢さん・・・?
「違うわ。私はオクシオーヌ・ラヴィン。竜使いよ。よろしくね。」 (オクシオーヌ)
あ、違うのか・・・お嬢さんにしては、ちょっと年齢差が少ないかなーって思ってたけど、やっぱりね。
「オクシオーヌは当初、攻め手側にいたのだがな。戦いの中、そのドラゴン達とこちら側についてくれたのだ。」 (プランシー)
「あ、そうなんだ・・・。どうしてまた・・・?」 (デニム)
「・・・・・・。」 (オクシオーヌ)
「あ・・・いや、別に話したくなければいいよ。」 (デニム)
「・・・私は、彼を信じることにしたの。それだけ。」 (オクシオーヌ)
信じる・・・って・・・。ま、いっか。深く聞く必要もないだろう。
とにかく、ありがとうございました。あなた方のお陰で助かりました。
「あ、いや・・・ここを救ったのはどちらかといえば、あの女が率いていた部隊の方だ。」 (ジュヌーン)
「あの女・・・?」 (デニム)
(デニム、外を見る)
・・・・・・あれは!?
彼女の姿を見つけた僕は、すぐさま階下へ駆けていた。まさか彼女が再び戦いの野に赴いてくるとは思ってなかったからだ。
「アロセール!」 (デニム)
(呼ばれた女、デニムを見やる)
「・・・久しぶり、というほどでもないか。」 (アロセール)
「君がまた戦うとは思ってなかったよ。どうしたんだい?」 (デニム)
「・・・・・・まあ、あれだ。気が、変わったんだ。」 (アロセール)
(妙に照れくさそうにちぐはぐと答えるアロセール)
「・・・あれから何かあったの?」 (デニム)
「別に・・・ただ、この戦争が私に関係の無いものではないことを認識しただけよ。」 (アロセール)
そっか・・・やっぱり彼女は、僕のよく知ってるアロセールだった。
あ・・・あのことがきっかけになったのかな?
「アロセール、ひょっとしてレオナールさんのことが・・・?」 (デニム)
「やめてよ、そういう言い方。レオナールのことは関係ないわ。」 (アロセール)
「あ、ごめん・・・。」 (デニム)
彼女もまた色々ありそうだなぁ・・・。でも、深くは聞かないでおこう。
「じゃあ、これからは一緒に戦ってくれるのかな?」 (デニム)
(手を差し出すデニム)
「・・・・・・よければ、力になるわよ。」 (アロセール)
(差し出された手を照れくさそうに握るアロセール)
「ありがとう。」 (デニム)
・・・さて、と。
ウォーレンさん?いるんでしょー?
(ぽんっ)←デニムの左隣に煙が立ち昇り、中にウォーレン
「はっはっは。何か御用ですか?」 (ウォーレン)
うん。アロセールとか、ジュヌーンさん達とかの事情っていうのがまるっきり欠落してるんだけど・・・。
「ほっほっほ。お忘れですかな?私の本職は占星術師。影の仕事ではないのですよ。」 (ウォーレン)
「うさんくせぇこと言ってるなぁ。」 (カノープス)
「実のところ、そこまで手が回りませんで・・・。」 (ウォーレン)
「というか、作者の技量不足では?」 (ミルディン)
「余計なこと言うなや。」 (天)
うーん・・・なんか肝心なところが不鮮明で唐突な気がするなぁ・・・。
ともあれ、ブリガンテスは無事で、父さんとモルーバ様は一晩中酒を酌み交わしていたらしく、翌朝はその酒臭さだけで周りが酔ってしまうほどだった。同窓会かなんかだと思っているのかな、全く・・・。
一応、ジュヌーンさんとオクシオーヌも客将扱いで従軍してくれることになった。しかし、考えてみれば竜騎兵と竜使いというのは、相容れ難そうなペアだよなぁ。
ちょっと二人の関係が気になるけど、まあ、深いことは聞かないでおこう。どうせ深く考えてないんでしょ、あんた。
「気安く呼ぶな痴れ者め。」 (天)
図星の癖に。
「ほらほら、そんなのは放っておいて先に行くよ!」 (アロセール)
あっ、待ってよ!