フィダック城へ戻った僕は、軍の再編成などに時間を充当した。留守中の事務的処理は閣僚連中がうまくさばいてくれていた。この辺りはレオナールさんが直轄していた機関で、本当にこういう事に関しては優秀だ。
さて・・・と。影の情報に一通り目を通さないとな。
え〜っと・・・・・・。
ランスロットさんについては相変わらずか・・・。無事でいてくれればいいけど。
他は・・・
・・・
誰彼の浮気調査なんか、僕に届けてどうしろって言うんだ?というか、軍属の影が一体何を調査してるんだ!?おい影!こら影!
(またしてもどこからともなく現れる影)
「何の用だ。こう見えても我々は忙しい身の上だ。手短に願おう。」 (影)
どう忙しいんだよ。なんだよこれ!どうしてこんな調査報告が上がってくるんだ!?
「ほほう、それはどうやら仕分け前だったようだな。フン・・・影といえば諜報活動、諜報活動といえば探偵、探偵といえば浮気調査が相場だ。知らんのか?」 (影)
もっと他に調べなきゃいけないものがあるだろうッ!
「フム?そういえば、新規の調査報告だ。暇な時に読め。」 (影)
(影、姿をくらます)
あ、ちょっと!・・・暇な時に読む報告ってなんだよ。
っと・・・?
・・・
これは・・・・・・?
クァドリガ砦に海賊が棲みついているらしい。なんでも商船を主に襲っているって話だけど、最近では解放軍の輸送船にもちょっかいを出しているとのこと。
「はて・・・さような報告は聞いたことがありませんが。」 (カモス)
「だが事実とすれば、捨て置けん。即刻、鎮圧に向かうべきだ。」 (タムズ)
確かに・・・バクラム軍と対峙している中、クァドリガ砦から後ろをつつかれるのは困る。
よし!クァドリガ砦に行こう。
「待て待て。指導者たるお前が海賊退治如きでいちいちでしゃばってはいかんだろう。」 (モルーバ)
は・・・確かに正論ですけど、ちょっと気になって・・・。
「ふむ?・・・何か思い当たることでもあるのか?・・・ま、よい。今回はお前の好きにしても良かろう。」 (モルーバ)
ありがとうございます。
えっと・・・留守番お願い。
「はい、いってらっしゃいませ〜。」 (フェスタ)
「・・・砕けておるというかなんというか。」 (モルーバ)
・・・
さて、クァドリガ砦についてみれば、どうも様子がおかしい。僕達が進軍してきていることは知れていると思ったから、迎撃準備でもしているかと思ってたけど・・・。
「逃げ出した、というのも考えられる。」 (フォルカス)
「しかし、それにしては砦に新しい戦闘の跡が見られる。何者かが我々より先に海賊を潰したのでは?」 (ヴォルテール)
「いずれにせよ、ここからは海賊が消えたということだな。」 (バイアン)
「・・・そうかしら?あれ見て。」 (システィーナ)
んー・・・?
確かに、砦とは別の方向に得体の知れない部隊の姿が見える。で、なんか数騎でこっちにやってくるし。お約束って奴かな?
「あれ・・・姉さん!?」 (オリビア)
「ホントだ、セリエ姉さんッ!」 (システィーナ)
・・・・・・やっぱりあの人か。
クァドリガ砦に海賊が居るって情報を追ってきてみれば、海賊じゃなくてセリエさんがいたよ。
とすると、砦の残骸はここの海賊で、結局セリエさん達が潰したって寸法か。
でしょ?
「・・・何がだ。」 (セリエ)
「姉さん、無事だったのね・・・。」 (システィーナ)
「ああ。・・・久しぶりだなオリビア。」 (セリエ)
「姉さん・・・。」 (オリビア)
あ、父さんのこと、ありがとうございました。セリエさん達でしょ?
「ああ。叔父様が暗黒騎士団に捕らえられたのは私の責任だからな・・・。」 (セリエ)
「・・・これでシェリー姉さんもいればいいのにね。」 (オリビア)
「いるぞ。」 (セリエ)
(間)
「え?」 (オリビア)
「どういうこと?姉さん。」 (システィーナ)
(セリエ、傍らの戦士にシェリーを連れてくるように言う)
シェリーさんって・・・僕達と戦った後、バクラムに戻ったんじゃ・・・?
「だが、シェリーはバクラムへ戻ることができなかった。任務に失敗したシェリーに対し、バクラム軍は追撃隊を差し向けたのだ。この前の嵐の夜、バルマムッサでバクラム軍に追われているところを、ウチの若い衆が助け出したんだ。」 (セリエ)
「そうだったの・・・。やっぱり、力に敗れたわけね。」 (システィーナ)
(シェリー、連れてこられる)
「そうよ。私はアンタ達に負けたから、こんなになったのよ。」 (シェリー)
「シェリー姉さん・・・。」 (オリビア)
「・・・惨めなものね、自分はそんな弱くないと思ってたのに・・・いざとなるとどうしようもなくて・・・・・・。」 (シェリー)
「よさないかシェリー、いつまで惨めな気分に浸ってる気だ。」 (セリエ)
「セリエ姉さん!」 (オリビア)
「ふん、言われなくてもそんなにグズグズしちゃいないわよ私は。けど、浸ってても立ち直っても、どっちにしたって私はバクラム軍には復帰できないわ。 だからアンタの世話になるからよろしくね。」 (シェリー)
・・・って、解放軍に入るって事!?
「何よ、文句があるの?」 (シェリー)
あ・・・いや別に。
「・・・・・・(くすっ)シェリー姉さんっぽくなってきたわ。」 (オリビア)
「ったく、勝手なんだからホントに。」 (システィーナ)
「ま、そういうことだ。」 (セリエ)
はぁ・・・。
あれ?セリエさん達はどうするんです?
「・・・どうして欲しい?」 (セリエ)
あ・・・・・・あの、そういう言い方は誤解を招くのでは・・・。
「勝手な想像するお前の方がまずいだろうが。」 (セリエ)
ぶー。ずるいななんかー。
「・・・ま、折角四人揃ったんだ。一緒に居た方がいいだろう。」 (セリエ)
じゃ、一緒に来てくれるんですね?よかった。
ここにきて、随分解放軍の戦力が増強されたように思う。
・・・ってことは、それだけバクラム軍や暗黒騎士団との戦いが熾烈になるって事?
「そうとってもらって結構。」 (天)
その台詞、実現するんですか?戦闘シーン殆どカットしてるのに。
「巨大なお世話だ。」 (天)
駄目みたい・・・。ま、その方がいいけどね。
あ、考えてみればこの海賊達、可哀相だな・・・。出番も無いまま終わっちゃったよ。