フィダック城へ戻る前に、僕達はアルモリカ城に立ち寄ることにした。
今回の出征には、物資補給も目的の一つだったからなんだけど・・・考えてみれば、なんで寄付とかしてくれないんだろう?ヴァレリアの為とあれば、少しくらい協力してくれたっていいじゃないか。
「あかんなぁ。商いは商いで別の倫理観で語るもんや。国の為とかいう理由で振り回されるようじゃあ、とても商人などでけまへんなぁ。」 (商人)
うーん・・・商魂たくましいというかなんというか・・・。
・・・って、どこの国の商人だ?今の・・・。
「じゃあ私達は薬品系を仕入れてくるわ。行きましょう、兄さん。」 (オリアス)
(がっしゃ、がっしゃ・・・)←追随するデボルド
「・・・あの娘、元(親)が元(ニバス)だけになぁ・・・。」 (カノープス)
妙なこと言わないで下さいよ。実際にそうだとしてもあんまり違和感ないから怖いじゃないですか。
でも・・・薬を買いに行くテラーナイトというのも、ちょっとどうかと思うけどなぁ。
「彼が兜を脱いだら事情を知らない周囲がパニックを起こしかねませんからね。」 (ミルディン)
そりゃそうですけどね。
えっと・・・。
今のところ、僕達に必要なのは消耗品以外では特には無い。強いてあげれば、装備品の損耗部分の補修かな。鎧や盾なんかは、継ぎ目とかに損耗がでやすいから、こうしてことある毎に各個人で修復に時間をかけなきゃいけないことが多い。
個人といえば・・・
オリビア達はショッピング気分だなぁ。
・・・。
ああしてみると、普通の年頃の女の子なんだなぁ、って思えるよな・・・。
・・・・・・。
「・・・何をにやついてるんだ?」 (フォルカス)
(デニムの背後から声をかけるフォルカス)
うわあっ!?驚かさないでよ!
「別に驚かすつもりは・・・ははぁ、さてはやましい想像をしてたな?」 (フォルカス)
「ややや、やましい想像なんてしてないですよッ」 (デニム)
「いーや、俺の勘はその手の類では外れた試しが無いんだ。」 (フォルカス)
そういう勘は戦いに役立てろよ!
「そーぉら図星だー。あの魅力的な姉妹を見れば、健康な男の子なら誰だって通る道さ。恥ずかしがることはないぞぅ♪」 (フォルカス)
(ぼぐっ)←フォルカスの後頭部を16tハンマーが直撃
(どたっ)←フォルカス、昏倒
「少しは自分の不摂生を反省しろ。」 (セリエ)
(いつの間にかフォルカスの背後に立っているセリエ)
「た・・・助かりましたセリエさん。」 (デニム)
「お・ま・え・も・だ。オリビア見ながらデレデレしてるからだ。」 (セリエ)
ううっ・・・一言も無いや。でも別にやましい想いで見てたわけじゃ・・・。
・・・そういえば、僕はセリエさんのことも『お姉さん』って呼んでたんですよね?
(セリエ、一歩退く)
「や、やめろ!今のお前にそんな呼ばれ方をされるいわれはないッ!」 (セリエ)
(セリエ、脱兎)
あ、セリエさんッ!
・・・なんだったんだろう、一体全体。
さて、ともかく店に入ってみよう。たまーに掘り出し物があるんだけど、どういうわけかその少し前にLサイズユニットのオークションが執り行われているんだよね。不思議な偶然ってあるんだなぁ。
しかも掘り出し物は、なんとなくそのオークションで取引された魔獣に関係がありそうなんだ。
なんか、ヴァレリア・トワイライト・ゾーンって雰囲気かも。
「つくづくめでたい奴だなお前は。」 (カノープス)
・・・そういえば、裏技でホークマンをオークションにかけると羽毛の掛け布団とか鳥の腿肉とか、うまくいけば焼き鳥が・・・。
「デマですよ。」 (ミルディン)
あれ、そうなの?
「どこのどいつだ、そんなこと言ってたのは。」 (カノープス)
さあ?都市伝説みたいなもんです。
・・・
えっと・・・あれ?なんか・・・いつもの雰囲気じゃないな・・・。
「いらっしゃーい、坊や♪」 (女)
ぼ・・・見ると、店の奥に据えられたダイニングチェアにゆったりと腰掛け・・・た上に脚を組んでる超ミニの美脚でグラマーなパツキンのおねーさんがッ!!
「・・・何を錯乱してるんだデニム?」 (カノープス)
(女、カノープスを見やり・・・)
「あらー、かのぷ〜じゃないの、久しぶり〜♪」 (女)
「げげぇっ!?お前は・・・!なんでお前がこんなところに・・・!でもって、かのぷ〜呼ぶな!」 (カノープス)
「ん〜、照れちゃってもーカーワーイーイー♪」 (女)
(女、立ち上がってカノープスに寄りかかる)
「やめろっての!」 (カノープス)
・・・お知り合いの方なんですか?
「そうよ、で・ね・ぶ・ろ・ぉ・ぶ、よ♪よろしくね坊や♪」 (デネブ)
(何気にデニムに抱き着くデネブ)
うわわっ!?
・・・そ、それにしても、坊や・・・って・・・なんか、クラッとくるなぁ。
【某所】
(しきりに肯いている某氏)
「・・・どうかなさいました?」 (メイド服の女)
「いや、これは男にしか分からないロマンかもしれない、と思ってね。」 (某氏)
「はい?」 (メイド服の女)
以上、ゼテギネアからウォーレン・ムーンの代理がお届けしました。
・・・代理?またわけのわからない人が増えたよ全く・・・。
「・・・で、お前がなんでこんなとこで店出してんだよ。」 (カノープス)
「えー?知らないの〜?アタシのお店は、結構人気があんのよ♪」 (デネブ)
取扱の品物がどうとかいう人気とは違うのでは、と思ったけど、意外と品揃えもしっかりしてるし、おまけに結構凄いアイテムも揃えている。なるほど、人気があるのかもしれない・・・。
でも、やっぱり別の意味で人気なんだと思うけどなぁ・・・。
「うふふ〜、可愛い子じゃない。何?宗旨替えでもしたの?」 (デネブ)
「馬鹿いってんじゃねーよ。」 (カノープス)
「あ、そう。じゃあアタシが頂いちゃおうかな〜♪」 (デネブ)
「よせよせ、あいつにはちゃんとしたのがいるんだから。お前みたいな年増なんかが出る幕はねぇんだよ。」 (カノープス)
「とし・・・なによ、かのぷ〜の方がジジイの癖に。」 (デネブ)
「何言ってやがる、お前も転生の若返りってクチだろうが。」 (カノープス)
「しっつれいね〜、まだホンモノよ。」 (デネブ)
「まだ・・・ね。そういうことにしといてやるよ。」 (カノープス)
「ぷ〜。」 (デネブ)
(どろんっ)←煙とともに現れるウォーレン
「はっはっは。デネブ君は確かにホンモノですよ。」 (ウォーレン)
「あっ、オジイサマ♪相変わらずでなにより〜♪」 (デネブ)
(デネブ、ウォーレンに殊更抱き着く)
「ほっほっほ。」 (ウォーレン)
「と、取り敢えずここはジイサンにまかせて、さっさと退散しようぜ。」 (カノープス)
・・・苦手なんですか?
「余計なことに考え巡らしてんじゃねぇコラ。」 (カノープス)
(こつっ)←デニムの頭を軽く小突く
あてっ・・・はぁ〜い。
取り敢えず、仕入れるものは仕入れたし、後はフィダック城へ戻るだけだ。
・・・。
まだ胸の辺りに感触が残ってるような気がする・・・・・・。
「・・・ム?デニム?」 (オリビア)
「(はっ!)お、オリビア!びっくりするじゃないかいきなり声をかけてきて・・・。」 (デニム)
「いきなりって・・・何度も呼んだじゃない。それとも、私の声が聞こえないくらい煩悩の世界に入り浸ってたってわけ?」 (オリビア)
「ぼ・・・煩悩って、何を言うんだよ。」 (デニム)
「・・・随分しっかりと匂いをつけられてるわね。それに、何この長い髪。」 (オリビア)
「え?・・・・・・ひょっとして、それってヤキモチ?」 (デニム)
「ヤキ・・・あ」 (オリビア)
(ごつっ)←何者かの拳骨がデニム頭頂部を直撃
〜〜〜〜〜〜ッ!?
「さっき言ったこと、もう忘れたのか?」 (セリエ)
「セリエ姉さん!」 (オリビア)
・・・痛いじゃないですか、セリエお姉さん。
(ざざっ)←一歩身を引くセリエ
「やめろってんだろ!この野郎!」 (セリエ)
あ、赤くなってる。結構可愛いとこあるじゃないですか、セリエお・ね・え・さ・ま♪
(ずざざざっ)←殊更派手に退くセリエ
「・・・あんまりやりすぎると後が怖いわよ、デニム。」 (オリビア)
クックックック・・・なんだかよくわからないけど、面白いこと見つけちゃった♪
さて!なんだかのんびりしちゃったけど、早めにフィダック城へ帰らないとね。