長い長い死者の宮殿での戦いを終えた僕達は、フィダック城へ帰還した。
「おお閣下、死者の宮殿に立ち寄ったと聞き及んでおりましたが、想像以上にお早い帰還でしたな。」 (解放軍側近)
うーん、実際の日数で言えば、「行って帰った」くらいの日数しか経ってないもんなぁ。不思議な宮殿だった・・・。
・・・
で、何か変わったことは?
(しゅるっ)←またもどこからともなく現れる影
「戻って来たか、丁度良い。」 (影)
あんたあそこにいたじゃないの・・・。訳の分からない奴だなぁ。で、何、丁度良いって。
「王女がバーニシア城に入城し、駐留するらしい。」 (影)
ホントに!?何時の話、それ!
「本決定になっていれば、2〜3日中にも入城するだろう。」 (影)
そうか・・・それなら放っておく手はないな。
しかし、一体全体そんな情報をどこで手に入れてくるんだ?
「今回ばかりは少々特別でな・・・。」 (影)
ふーん、まぁいいや。
さて・・・と。
「バーニシアに進軍するにしても、敵の真正面から挑むのはできれば避けたものだな。ここは主戦力をヨルオムザ峡谷に進撃させて敵を陽動し、デニム、お主が少数精鋭を率いてバーニシアに進軍するのが妥当だろう。」 (モルーバ)
「バーニシアに戦力が集まるようなら、ヨルオムザからウェアラム、ハイムに迫ることが容易となる。」 (バイアン)
「・・・そううまく事が運ぶの?」 (シェリー)
「運ぶんだからゲームなのじゃ。」 (モルーバ)
「これこれ、滅多なことを口走るな。」 (天)
またか・・・。
でもどっちみち、それが一番やり易いのか。うん、影のみんなには、僕等がハイムへ進軍を始めるという噂を流してもらおうか。本隊の準備も慌ただしく見せよう。
「心得た。」 (影)
(瞬時に姿を消す影)
よし、と・・・後は誰が主戦力を率いるかだけど・・・。
「なら、私が出よう。これでも一軍の指揮者だったことのある身だ。」 (セリエ)
セリエさんか・・・じゃあ、お願いします。
「ウチの若い衆と、それからジュヌーン、あなた達にも随行してもらいたい。」 (セリエ)
「うむ、願ってもない。たまに戦場の空気に触れないといざという時に役に立たないからな。」 (ジュヌーン)
お願いしますね。・・・よし、じゃあ早速、進軍準備だ!
噂も十分流れたらしく、バクラム軍も兵を動かし始めた。幸い、後発の僕達の部隊の動きは察知されなかったらしく、バクラム軍はヨルオムザ峡谷の主力に対抗するべく進軍しているらしい。
暗黒騎士団は動かなかった。バーニシア城に駐留している部隊はそう多くはないと聞くけど・・・。
とはいえ、道中全くバクラム軍に遭遇しなかったわけじゃない。ランベスの丘ではやたらと怒鳴り散らす上に女ばっかり侍らせて何様のつもりだ!?的反感を一身に受けた竜騎兵がいたけど、即座に撃退してしまった。
やぁ、怖いねぇ全く。
「デニム、君も、一歩間違えば、ああなる。」 (デボルド)
え?僕が?・・・・・・。なんで?
「自覚がないから問題はないわ。」 (オリアス)
何の話なんだろう・・・。
その後は、本当に何の抵抗もなくバーニシア城にたどり着いた。バクラム軍は、本当にこっちに兵をまわしてないな・・・。まるで・・・。
「ロスローリアンを追い散らして下さいといわんばかりだな。」 (カノープス)
そう、それです。・・・もしかして、あの情報の出所って・・・・・・。
「もうバーニシアの連中も動き始めてるだろうな。」 (フォルカス)
「あれこれ勘ぐっている暇はありませんよ、デニム君。」 (ミルディン)
うん、そうですね。
・・・
案の定、バーニシア城には暗黒騎士団が待ち構えていた。しかし、この城はちょっと攻め難い形だなぁ・・・。
ん・・・?城壁の上に誰かいるぞ?
「遂に俺の出番ってわけかーッ!待ちかねたぞ、小僧!とぉ――――ッ!!」 (騎士)
(ばっ)←どえらく高い城壁から飛び降りる騎士
なっ・・・なんだぁ!?投身自殺でもするつもりか!?
(ひるるるるる・・・・・・ぼすっ)
「おお―――っ!?」 (騎士)
(フェードアウトしていく声)
「やったッ!特製落とし穴に落ちたぞッ!」 (バケツA)
「一遍、やってみたかったんだよなぁ、これ。」 (バケツB)
「でも、生身の人間だったら生きてねぇよなぁこの穴。」 (バケツC)
「人間というより、山猿だけどなぁ。」 (バケツA)
「うわっははははは!」 (バケツ三人衆)
・・・なんだったんだ、あの男は。
・・・・・・ん?何か、地の底から何かが這い上がってくるような物音と地響きが・・・?!まさかッ!?
(がしっ)←穴の端に伸びる手
「うぬーぅ・・・貴様ら、それほど俺に殺されたいか!?」 (騎士)
「うわーっ!?出ぇたーっ!?」 (バケツ三人衆)
(ずばしゃっ、どしゅっ)←立て続けに近場の二人を切り捨てる騎士
「ひぇぇぇっ、ほんの出来心で・・・お助けを〜っ!」 (バケツC)
「出来心でこの穴か!俺でなきゃ死んでるとこだぞ!」 (騎士)
普通の人間でないのはわかるけど・・・。
「貴様にはこれだッ!」 (騎士)
(ちゃきっ、ずだんっ)←懐から銃を取り出すとあらぬ方向に発砲する騎士
「ぐはっ!?」 (不幸なバケツD)
(どてっ)←バケツD、当たり所が悪く死亡
「・・・ちっ、こんなもんは駄目だ!おい貴様!」 (騎士)
「へへへ、へいッ!」 (バケツC)
「今回のことは水に流してやる。お前が持ってろ。」 (騎士)
「へへへ、へへぇ〜っ!」 (バケツC)
「さて・・・長らく待たせたな、デニム!」 (騎士)
あんた誰?
「今から名乗るんだ!」 (騎士)
「いや、名乗る必要はねぇな。お前、確かライムを襲った時の指揮官だろう?何といったかな・・・?」 (カノープス)
「バル・バス・バウだったと思いますが。」 (ミルディン)
「おお!そんな感じだ!」 (カノープス)
「ざけんなッ!俺の名はバルバス・ダド・グースだ!・・・ライムでさんざんっぱら俺の部隊を蹴散らしてった流れ者ってなぁ、貴様らか!?丁度良い、俺の顔に泥を塗った貴様らには恨みもあったんでな!ぶっ殺してくれるぞ、トリ野郎!」 (バルバス)
「と・・・なんだこら筋肉バカ。」 (カノープス)
「誰が筋肉バカだコラァッ!」 (バルバス)
「隊長、落ち着いて下さい。」 (バケツE)
「俺をバカ呼ばわりしたこと含めてまとめて後悔させてやるぞ、行くぞ!」 (バルバス)
・・・・・・あ、もうよろしいんですか?
・・・
でもね、ウィングリングやワープリングを装備した僕等を相手にするには、あんたは猪突猛進しすぎるよ。よくあれで軍を率いさせてもらってるよ。ロスローリアンも、人材不足って事かな?
「く・・・くそぅ、ちょこまかちょこまかちまちまちまちま消えやがってぇッ!騎士は騎士らしく堂々と勝負しろテメェ!」 (バルバス)
「ライムを襲った指揮官が、騎士らしく戦うことを許されるとでも思ってんのか、よッ!」 (カノープス)
(びしゅんっ!・・・どすっ)←カノープスの矢がバルバスの右太股を射抜く
「ぐうっ・・・!この俺が・・・くそっ、次に遭った時、必ず焼き鳥にして食わずに捨ててやるから覚悟しやがれッ!」 (バルバス)
(バルバス、転移石で瞬間移動)
「ふん、口だけは達者だな。」 (カノープス)
ご苦労様です、カノープスさん。
さて、城門は突破したぞ!後は、姉さんを探し出すんだ!