出征の前に・・・


●王女奉戴●

バーニシア城に戻った僕を、既に回復していたカチュア姉さんが出迎えてくれた。

「おかえり、デニム。」 (カチュア) 

意外な反応。
オリビアやシスティーナも、特に問題はなさそうだ・・・。まずはひと安心ってところか。

・・・

姉さんは、この戦乱に終止符を打つ為に正当な王位継承者としての立場をまっとうすることを承知してくれた。こんなのも意外な展開。ごねるかな?とも思ってたからね。

「私だって自分の立場がどういうものかぐらい、理解してるつもりよ。」 (カチュア) 

なにかあったのかな?

どーゆー意味よ。」 (カチュア) 

あ、いや別に・・・。

姉さんがヴァレリアの王女っていうのも、ちょっと複雑だなぁ。フィダック城に戻ったら、略式でも戴冠してもらうことになるのか・・・。

・・・

とかいってる間にフィダック城に戻った僕達は、解放軍の総司令泣く子も黙る悪魔将軍世界征服を企む悪の秘密結社の大首領として・・・

ちょっと待ちなさいよ!最初のはともかく、あとのはなんなのよ!」 (カチュア) 

「違和感が無かったので聞き流しちまったなぁ・・・。」 (カノープス) 

「フほハハハ。全てはビッグファイアの為に。」 (天) 

「(ぱんぱん)誰か、そこの資源ゴミを始末しといで。」 (カチュア) 

「合点。」 (忍D) 

「承知之助。」 (忍A) 

(ぐるぐるぐる〜っ、ぎゅ、ぱんぱんっ)←荷造り

(くいっ、すたたたた〜っ、ぽいっ)←運搬から投擲

(ひるるるるる・・・ぼすっ)←無事着地

ヘーイ♪」 (忍A+D) 

(ぱん、ぱん)

「あ、お前等もいたのか!」 (カノープス) 

「うむ、久しぶりに充実した仕事をしているぞ。」 (影) 

(カノープスの背後にいつのまにか立ってる影)

えっ!?こいつらもカノープスさんの知り合いなの!?

「言わなかったか?」 (影) 

「駄目です。にハナ差で負けました。」 (忍A) 

「何の話だ。」 (カノープス) 

・・・・・・すっかり溶け込んでて違和感無かった。

●親子●

ともかく、これで残すはブランタの率いるバクラム軍と、ロスローリアンだけ。
・・・そういえば、セリエさん達はどうしてるんです?

「ああ、ウェアラムの町を占拠した後、元ヴァレリア解放戦線の面々を第13独立部隊と称してバクラム軍と暗黒騎士団を翻弄しまわっておるよ。」 (モルーバ) 

「あれは楽しんでおるな、戦を。」 (バイアン) 

「姉さんらしい・・・。」 (オリビア) 

そ、そうなんだ・・・。これ、放っておいたらブランタもタルタロスも倒して帰ってくるんじゃないかなぁ・・・。

「そういう他人任せはよくないわ。デニム、ケリは私達がつけなきゃいけないんじゃなくて?」 (カチュア) 

その通り。・・・へ?私達って・・・駄目だよ!姉さんはここに残ってなきゃ!

「いやよ。またおいてけぼりにするつもりなの?」 (カチュア) 

おいてけぼり、って・・・僕は戻ってくるって!姉さんにもしものことがあったらどうするんだよ!

「大丈夫よ。伊達に暗黒騎士団と行動してたわけじゃないわ。大概の魔法なら、すぐに使いこなす自信はあるわ。それに・・・いざとなったら守ってくれるんでしょ?」 (カチュア) 

うう〜・・・結局僕が守るんじゃないか・・・。

(ばたんっ)←勢いよくドアを開けて入る人影

「はっはっは。血は争えん、というところか。」 (人影) 

「・・・父さん!」 (カチュア) 

(カチュア、プランシーの元へ)

「元気そうだな、カチュア。あんまりデニムを困らせるもんじゃないぞ?」 (プランシー) 

「・・・・・。」 (カチュア) 

(プランシーに抱き着くカチュア)

「おっと。・・・おいおい、どうしたんだカチュア。」 (プランシー) 

「・・・やっぱり父さんは父さんじゃなきゃ。血は繋がってなくたって、私は父さんを父さんと呼ぶわ。いいでしょ?」 (カチュア) 

「ああ・・・勿論だとも。お前は私の大事な娘だ・・・。」 (プランシー) 

姉さん・・・。

「ん、ごほん!」 (モルーバ) 

(モルーバ、立ち上がって関心を集める)

「それはそれとして、やはり王女にはこの城に居てもらいたいものだが・・・。」 (モルーバ) 

「もう決めたことよ。王女様の命令です。王女を先陣に加えなさい。さもなきゃまたタルタロスんとこに・・・」 (カチュア) 

わーっ!わかったからそれだけはやめてよ!

「じゃ決定ね♪」 (カチュア) 

「ははははは・・・亡き王もやはり先陣を好まれた。覇王の血という奴か。」 (プランシー) 

「・・・あれは単に血の気が多かっただけの様に思うが。」 (モルーバ) 

なんだか、脅迫じみた命令だけどなぁ・・・。

●盗まれた聖剣●

後は、セリエさん達の軍に合流するんだけど・・・その前に。
ウォーレンさん?

(ぽんっ)←煙と共に登場

「呼びましたか?」 (ウォーレン) 

ウォーレンさん達がこの島にやってきた、本当の理由を教えてくれませんか?

「本当の理由?というと、私達が国を追放されたというのを信じないのですか?」 (ウォーレン) 

・・・ランスロットさんも、カノープスさんも、そしてウォーレンさんも、先のゼテギネアの争乱で活躍した人達でしょう?今の王ともその争乱で一緒に戦ってきたそうじゃないですか。・・・一緒に戦っていた仲間を、そんな簡単に追放するようなことはないと、僕は思ってます。
ウォーレンさん、本当のことを教えて下さい!

「・・・・・・はて、困りましたな。」 (ウォーレン) 

「教えてやれよ。デニムには、それを知る権利があるだろう。」 (カノープス) 

(階上に立っていたカノープス、降りてくる)

・・・やっぱり、理由があるんですね?

「・・・デニム君の言う通り、私達は本当に追放されたというわけではありません。」 (ウォーレン) 

(更に階上、ミルディンの姿が現れる)

「私達は盗まれたものを取り返す為にやってきたのです。」 (ミルディン) 

ミルディンさん・・・盗まれたもの、とは?

聖剣・ブリュンヒルド。天空の世界と地上とを結ぶ鍵となる剣。あの戦乱の後、それは王国の至宝とされ、厳重に保管されていた・・・。」 (カノープス) 

「ですが、暗黒騎士団の連中に奪われてしまったのです。」 (ミルディン) 

暗黒騎士団が?その剣には一体どんな秘密があるんです?

「・・・彼らが何故、ブリュンヒルドを奪ったのか、その理由を知るのも私達の任務なのです。」 (ウォーレン) 

「ま、大方ろくなことには使わねぇんだろうがな。」 (カノープス) 

そうでしたか・・・。話してくれてありがとうございます。
でも、そんな任務があるのに僕なんかに助勢してていいんですか?僕としては嬉しいけど・・・。

(カノープス、デニムの肩に手を置く)

「気にすんな。俺達はそうしたくてここにいるんだ。勿論任務のことは忘れてないが・・・俺の舎弟も気になるしな。」 (カノープス) 

カノープスさん・・・。

「いつから団長はあなたの舎弟なんですか?」 (ミルディン) 

「うるせぇな。昔からそういう決まりなんだよ。」 (カノープス) 


・・・

暗黒騎士団・・・連中の目的は一体、なんなんだ?

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