更に下へ降りていく。それにしても、不気味な宮殿だ。
「こんな風に、何も居ないフロアだと、その静けさが逆に無気味だよな。」 (フォルカス)
「あら、それってひょっとして、怖いって言ってるの?」 (システィーナ)
「はっはっはまさか。冗談が過ぎるぞシスティーナ。」 (フォルカス)
「それにしても、こういう何の工夫もないフロアは始めてだな・・・。」 (カノープス)
「ん・・・?気をつけて!何かいる!」 (アロセール)
ええっ!?この見通しのいいフロアのどこに!?
(どんっ♪)
・・・わ、和太鼓?
(どどんっ♪どん、どん、どん・・・)
「み、見ろ・・・何か出てきたぞ?」 (フォルカス)
(フロア中央の床から、妙な姿の人影がすうっと昇ってくる)
(ずどどんっ♪)
「ぃよ―――――っ♪」 (合いの手)
(っだだんっ♪)←謎の人影、決めポーズ
な、なんだなんだこいつは・・・!?
(謎の人影、ポーズを解いて)
「ふー、久しぶりに人間に会ったぞ。」 (謎の人影)
「ゆ・・・幽霊・・・・・・?」 (オリアス)
「ゆ・・・まぁ、否定はせんが、こう見えてもわしはブリガンテスの王として君臨しておったロデリックぞ。」 (ロデリック)
ロデリック王!?って、統一戦争でドルガルア王にこてんぱに敗れて殺された、あの?
「失敬な覚え方をするでないぞ、小僧。」 (ロデリック)
「・・・そのロデリック王が、一体何の用でしょうか?」 (オリビア)
「何の用・・・・・・用がなければ出てきてはならんのか?」 (ロデリック)
「用もないのに出てくる奴の相手をしてる暇はないわ。」 (シェリー)
(無視して先に行こうとするシェリー)
「こらこら、まったく最近の若いもんは気が短くていかんな。」 (ロデリック)
いや、今回ばかりは正論な気がするけど・・・。
厄介な幽霊に捕まってしまったなぁしかし。これが死者の宮殿の真骨頂ってとこかな?
「違うと思うぞ。」 (カノープス)
「はっはっは。まぁわしの話を聞け。・・・みればそこそこの力を持っているようだが、どうしてどうして、この死者の宮殿では、心もとないことこの上ないの。」 (ロデリック)
「ほう・・・聞き捨てならぬなその言葉。我々の、いや、私の力ではこの先へは進めぬ、とでも言うつもりか?」 (ハボリム)
(しゃきっ)←刀を鞘走らせるハボリム
は、ハボリムさん!相手幽霊・・・
「その身で知るが良かろう!」 (ハボリム)
(ハボリム、大上段に構えた後、気合一閃振り下ろす)
(しゅうっ、どがぁんっ!)←気刃がロデリックを貫き、向かいの壁に激突
「・・・ふん、他愛もない。」 (ハボリム)
おおおっ・・・今のってもしかして・・・。
「なかなかの腕前だが・・・」 (ロデリック)
(ロデリック、ハボリムの背後に出現)
「うぬ!」 (ハボリム)
「ヌルイわ!」 (ロデリック)
(どばしゃあっ)←ハボリム、盛大に吹っ飛ぶ
「ぐはーっ!?」 (ハボリム)
は、ハボリムさんッ!?
「心配するな。手加減はしてある、死んではおるまい。 今のお前達には、強大な敵を倒す為の必殺の技が欠けておる。」 (ロデリック)
必殺の・・・技?そんな、アニメとかゲームとかじゃあるまいし・・・。
「彼奴ほどの剣豪も、我が必殺技の前には赤子よ。どうじゃ、わしのこの技、受け継ごうという猛者はおらぬか?」 (ロデリック)
・・・なんか、必殺技の押し売りみたいだ。
「滅多なことをいうでないぞ、小僧。」 (ロデリック)
「・・・・面白い、その必殺技とやら、この私が頂こうか。」 (ハボリム)
「ほう、手加減はしたが、もう喋れるとはなかなか見所がある。よかろう、お前に我が必殺技『神鳴明王剣』を授けるとしよう。」 (ロデリック)
ハボリムさん、いいんですかそんな得体の知れない技を・・・。
「フッ・・・戦士と戦士は、戦い合うことで相手の力量を知るもの。心配は無用。」 (ハボリム)
「よくぞ申した。ではこやつは修行に連れて行くぞ♪それっテレポ――――ト♪」 (ロデリック)
(びよよよよん♪)
「うわーッ!?」 (ハボリム)
ああっ、ハボリムさん!?
「フハハハハ!彼奴はきっとよりパワーアップして諸君の前に現れるであろう!そしてなんと、我が必殺技はまだ9種も残っておる!さあ、我が門弟達よ、こぞってより深きに降りるがよい。再びわしとまみえる時、新たな技を伝授しようぞ!健闘を祈る!ごーきげーんよーぃ♪」 (ロデリック)
(ロデリック、登場時とは逆に床に沈み消えて行く)
・・・・・・な、なんなんだ一体全体。
「どっちにしろ、更に下へ向かうしかないだろう。ニバスもいることだしな。」 (セリエ)
「あ、すっかり忘れてました。」 (オリアス)
「君が一番忘れちゃいけないんじゃないか。デボルドだって・・・。」 (デニム)
(がしゃこん♪)←首をかしげるデボルド
「・・・もういい、予想はしてなかったわけじゃないし。」 (デニム)
「ほらほら、そんなのは放っておいて先に行くわよ!」 (アロセール)
ま、待ってよ!
ハボリムさん・・・大丈夫かなぁホントに・・・。
その後、僕等は更に下へと降りていった。
ロデリック王が言ったほどではなかったけど、確かにこの死者の宮殿の敵は気を抜けないくらい程度には強い。でも、気をつけていれば勝てる相手だ。
それにしても・・・。
「確かに魅力的なアイテムや呪文のオンパレードって感じだな。」 (カノープス)
「いやいや、死者の宮殿に隠された財宝というのは、まだまだこんなものではないよ。」 (ラドラム)
フロア毎に、特殊なアイテムとか竜言語魔法が手に入ることがあるらしい。ラドラムさんには早速その竜言語魔法・アニヒレーションを使ってもらってるけど、確かにこれは強力だ。
他にも、武器や防具に凄いものが出てきてる。これは盗掘者でなくっても、魅力を感じるに違いない。
そうこうしている間に僕達は結構深くまで降りた。多分、20階あたりかな、と思うけど、そこの敵は強敵というどころの騒ぎではなかった。
「くそッ!この金粉ショーめ、なんでこんなに強いんだ!?」 (フォルカス)
「見た目はただのゴーレムとかドラゴンなのに・・・どうして・・・」 (システィーナ)
「・・・そうか、こいつらが死者の宮殿のガーディアンどもか!」 (ラドラム)
そう、ガーディアン達と最初の遭遇をした僕達は、その圧倒的な攻撃力に窮地に追い込まれていた。とはいえ、僕達だってただではやられていかなった。けど、相当なダメージを与えている筈なのに、連中はまだ戦う余力がある。
人数はこっちが上だけど、総合戦闘力は向こうが上なんて・・・!?
「はっはっはっは。早速出会ってしまったようだな。」 (ロデリック)
「ちょっ・・・こんな緊迫した場面で出てくるなジジイ!」 (シェリー)
「口の悪い娘だな。貰い手がなくなるぞ?」 (ロデリック)
「ほっとけ!」 (シェリー)
「・・・しかし、卒業試験には丁度良さそうだの。」 (ロデリック)
(ぱちんっ)←指パッチン
今度は何をしに来たんだこの幽霊・・・。ん?あれは・・・もしかしてハボリムさん!?
「ふん、緒戦としては不足無し。」 (ハボリム)
「ゴアァァァッ!」 (ドラゴン)
(近くにいたドラゴン型ガーディアンがハボリムを襲う)
「行くぞッ!いきなり『神鳴明王剣』!」 (ハボリム)
(どしゅあっ)←ハボリムの剣から気刃が伸び、ドラゴンを斬撃)
「ギョアアアアッ!!」 (ドラゴン)
(どどぉっ)←倒れるドラゴン型ガーディアン)
おおっ・・・凄い、あれが必殺技の力・・・。
「よしッ、この機を逃すな!続け!」 (セリエ)
・・・
僕達はそして、ガーディアン達を全滅させた。
確かに必殺技の威力は凄かった。けど、その反動も凄いという事実が発覚した。
ハボリムさんの消耗が酷い。必殺技を使った直後に襲ってくるらしい。
「これでも相当マシになった方だ。だが心配ない、経験を積んでいくことで反動を軽減することができるからな・・・。」 (ハボリム)
ホントかなぁ・・・。
「はっはっは、見事だハボリム。お前は今より、神鳴明王剣の正当な後継者だ。その努力に惜しみない拍手をやろう!」 (ロデリック)
(ぱちぱちぱちぱち・・・)←やたらとでかい音の鳴る拍手を贈るロデリック
うーん・・・諸刃の剣に近いけど、修得する意味はありそうだなぁ。
「よい心がけだ。さて、次なる技を伝授して進ぜよう。 己の精神力を炎の気刃と化して敵を屠る、『覇王獄炎波』だ。誰ぞ、我と思わん者はおらんか?」 (ロデリック)
「炎か。どうやら私の出番のようだな。」 (セリエ)
「ほう、素早い決断が心地よいぞ。ではわしの道場へ来るがよい!テレポ――――ト♪」 (ロデリック)
(びよよよよん♪)←セリエ、瞬間移動
「よし、と。・・・更なる力を求めるならば、より下の階に来るがよい!無事に到達したならば、そこで再び新たな後継者を選ぼう!残る必殺技は8種だ。ではまた会おう。フハハハハハ!」 (ロデリック)
(ロデリック、床に沈み消える)
セリエさん・・・そんな簡単に決めちゃって良いのかなぁ?
「大丈夫よ。姉さんならちょっとやそっとじゃくたばったりしないわ。むしろ、あんな必殺技を修得したらもう誰にも止めることができなくなるのが問題ね・・・。」 (シェリー)
「それはシェリー姉さんじゃないの?」 (システィーナ)
「ほー、そんな口をきけるようになったのアンタ?」 (シェリー)
もー・・・いい加減に姉妹喧嘩はやめてよぅ・・・。