そこからは目立った戦いもなく進んでいった。目立った戦いって言うのは、なんか、他と違うっていうか・・・。
「戦闘以外の面で特別なイベントのある、ってことですね。」 (ミルディン)
「ミもフタもねぇなその言い方も。」 (カノープス)
「ほっほっほ、事実は事実ですからな。」 (ウォーレン)
いや、確かにそうなんですけどね。
目立つといえば、ロデリック王。まったく、この人は何がやりたいんだろうな・・・。
「いやなに、折角編み出した必殺技なんじゃが、伝承者をのこす前にわし自身が死んでしまってなぁ。いやぁ、さ迷ったさ迷った・・・。」 (ロデリック)
「それは同情を買えるわね・・・。」 (シェリー)
「そしてわしは、魂のみの存在から幽体を得るに至ったのじゃが、この辺りなどはなかなか語り甲斐があってなぁ・・・。」 (ロデリック)
それは別の機会にしましょう。
「そうか残念じゃな。でな、ある程度自由に動けるようになったわしは、この必殺技を見所のある強者に伝授しようと決め、この死者の宮殿に潜伏し、その到来を待っておったのじゃ。」 (ロデリック)
「・・・何故、死者の宮殿に?」 (システィーナ)
「うむ、なにぶんわしはこのとおりの幽体でな、つまるところは怨霊扱いされるのじゃ。」 (ロデリック)
「当然といえば当然だな・・・。」 (ハボリム)
それで、何がいても不思議ではなさそうな死者の宮殿に潜んだんですか?
「おうそれそれ!おまけに深くまで潜ってこれる奴ほど強いという寸法じゃ。まさにわしの為にあるようなものよ。うわっはははははは!」 (ロデリック)
・・・なんか、よく聞かされてたロデリック王のイメージじゃないなぁ。本物かな、これ。
「失敬なことを考えるな、小僧。さて、残りの必殺技も続々伝授して進ぜよう。次はどーれーにーしーよーおーかーな♪」 (ロデリック)
「妙なところで童心だな。」 (バイアン)
ま、ともかくロデリック王の編み出した必殺技は確かに威力がある。けど・・・どうも使い難いよなぁ、反動もあって。
「何を甘えたことを。さて、次なるは精神力を雷撃に変化させて敵を撃つ『天聖雷妙波』じゃ。略して『天雷波』。」 (ロデリック)
「なんで略すんだ。」 (セリエ)
「細かいことを気にするな。」 (ロデリック)
「雷の力なら、私の出番ね・・・。」 (システィーナ)
「うはははは!次から次へと伝承者が決まりおる♪喜ばしい限りじゃの。これで残り必殺技は6種。」 (ロデリック)
あの〜王様?いっぺんに伝授できないんでしょうか?
「ふむ?してもよいが、その間それなりに戦力が激減するのではないか?そんな状態でこれから先に進めるとは思っておるまいが。」 (ロデリック)
いや、彼もその方が良いって思ってるみたいですし・・・。
「おう、お前一人にかかりっきりになるほど余裕があるわけじゃねぇんだ。」 (天)
「貴様か・・・。フン、元はと言えば貴様がやらかしたことではないか。何を今更・・・。」 (ロデリック)
「やかましいわ!」 (天)
「が、言うことも確かに理に適っておる。残り6種、ここで伝承者を選んで一気に連れて行こう。」 (ロデリック)
言ってみるもんだなぁ。
「では、己の腕力を気弾として敵にぶつける『怒号魔破拳』からいこう。こいつは文字通り、腕力自慢が使うほど効果が高い。」 (ロデリック)
「腕力自慢・・・。」 (カノープス)
(じっ・・・)←一人に視線を注ぐカノープス、及びその他の面々
「・・・・・・?!ちょ、ちょっと待ってよ!それって・・・私ってそうなの!?」 (アロセール)
いや・・・セリエさん、もう必殺技修得しちゃったから・・・。
「いい度胸だ。」 (セリエ)
(ごりごりごりごり)←デニムのこめかみをぐりぐりするセリエ
痛だだだだだだだだだだだだ!!!
「ほう、お前の方が適任ではあったな。まぁ、仕方がなかろう。では決定としよう。」 (ロデリック)
ううううう、ひどいやセリエ姉さん・・・。
(ざざっ)←一歩退くセリエ
「あんまり図に乗るんじゃないぞ、デニム。」 (セリエ)
・・・・・・怖いなぁ、そろそろやめとこ。
「・・・続いては、手持ちの剣の能力を最大限に活かす技『竜牙烈風剣』じゃ。剣士であることはさりながら、素晴らしい武器を使わねばさして役には立たんが・・・。」 (ロデリック)
「それは俺が受け継ごう。自慢じゃないが俺の剣は、そこらの剣とは比べ物にならない業物だ。」 (フォルカス)
「うむ。ではそちに伝授しよう。しかしこの技はな、剣が無くても、拳で技を放つことも可能じゃ。」 (ロデリック)
拳でもいいんですか?
「・・・それってひょっとして・・・。」 (カノープス)
「知っておるのか。そのとおり、『烈風拳』じゃ。」 (ロデリック)
「やっぱりな。」 (カノープス)
「お約束と言うものでしょう。」 (ミルディン)
「両手を使えば『ダブル烈風拳』となる優れもの。」 (天)
「よく知っておるではないか。さすがよの。」 (ロデリック)
「うわーっははははは!」 (天と王)
さすがにばかばかしくなってきたなぁ・・・。
「戯れじゃ、許せ。さて、次は敵を確実に石化する『月花地霊斬』。とはいえ、ボスには効かんがな。」 (ロデリック)
石化能力ですか・・・。うーん、機動力のある人が使うんならいいかもしれないけど・・・。
「機動力・・・ぴったりなのがいるではないか。」 (セリエ)
(セリエをはじめ一同、一人に視線を注ぐ)
「俺か!?俺、必殺技ってもう間に合ってるんだけどなぁ。」 (カノープス)
「心配いらん。お前の言う必殺技はお前の種族特有の能力じゃ。わしの必殺技とはまったく別物じゃ。さあ、遠慮せんと伝承者となれい!」 (ロデリック)
「脅迫みてぇなこと言ってんじゃねぇぞ王様!」 (カノープス)
えーっと・・・よろしくお願いします。
「デニムッ!てめぇは!」 (カノープス)
(しゅるしゅるっ・・・ぐるぐるぎゅーっ)←謎の縄、カノープスを縛り付ける
「捕獲完了。」 (ロデリック)
また妙な技を使うなぁこのおっさんも。
「これで残るは3種じゃな・・・。では、己の傷をそっくりそのまま敵にぶつける『双魔邪王剣』じゃ。その性質から、ある程度の打たれ強さが必要で、更に機敏であれば言うことはない。」 (ロデリック)
「ちょっと相容れない要素な気がしますけど・・・。」 (デニム)
「それなら私が今の中では一番適任ですね。」 (ミルディン)
・・・確かにそうかも。
残りの2種類は、それぞれ顔無しキャラが受け継いでいった。そんなにたくさん適任者がいるわけじゃないから、これは仕方がないよな。
「うむ、うむ!では早速にも修行に移ろう!これ、そこな翁も手伝え。」 (ロデリック)
(ぽんっ)←煙と共に現れるウォーレン
「ほっほっほ、さすがにバレておりましたか。」 (ウォーレン)
「あたぼうよ。ではいくぞい!」 (ロデリック)
「それっテレポ――――ト♪」 (王+爺)
(びよよよよん♪)←伝承者連中、瞬間移動
「ではゆるりとくつろいでおるがよい♪また会おう!フハーッハハハハハ♪」 (ロデリック)
(またも床に沈んでいく王)
ウォーレンさん・・・最近それ、多いですね。
「いやっははは。照れますな。」 (ウォーレン)
何故照れるんだろう・・・。
・・・
その後、僕達は残りの面々で更に奥まで進んでいった。出撃できる人数と実際の部隊人数は違うので、カノープスさん達がいなくてもちゃんと戦えるからね。
ロデリック王も、今回はさすがに人数が多かったからか、再び現れるのには随分時間がかかった。もうすぐ最下層に届こうという頃に、久しぶりな感じで和太鼓が鳴り響いて王がやってきた。なんで演出にこるんだろう?
・・・。
というか、誰が和太鼓鳴らしてるんだ?
「うわっははは!よしよし、これでわしが編み出した必殺技はすべてその方らに伝授したぞ。よくやった!惜しみない拍手を贈ろう!うわーっははは!」 (ロデリック)
(ぱちぱちぱちぱちぱちぱち・・・・)←殊更大きな拍手
本当に幽体なんだろうか、この人・・・。
「ともかく、これでわしも思い残すことはなくなったわけじゃ。ぼちぼち、あの世へ引きこもるとするかの。」 (ロデリック)
え?行っちゃうんですか?
「うむ。死者は本来、この世におってはならぬものじゃ。ここも居心地は良いとはいえんでな。向こうに行けばドルガルアのクソ野郎もおろうし、暫くは退屈せんですむじゃろう。 さらば、勇者達よ。あの世でお主達の大願成就を見守っておるぞ。ではまた会おう!うわーっははは!」 (ロデリック)
(ロデリック、上昇しつつその姿を消す)
また会おう、って・・・ホントに成仏するつもりがあるのか?
「さぁなぁ?ま、とにかく、この死者の宮殿もそろそろ最下層だ。ここまできたんだ、手ぶらというわけにはいかんな。」 (カノープス)
「大丈夫、ニバスは必ずそこにいます。絶対に・・・。」 (オリアス)
そう、僕達の目的はそれだったんだ。なんだかロデリック王のお陰で修行しにきたみたいになったけど・・・いよいよ、ギルダスさんの仇を討つ時だ!