やたらと長いばっかりのこの死者の宮殿も・・・え〜っと・・・今、何階だっけ?
「地下99階だ。」 (ラドラム)
あ、ども。
そう、遂に最下層を残すだけとなった。
結局ニバスはここまで出会えず、この死者の宮殿を完全制覇するに至ったわけだけど・・・。
これでニバスがいなかったらどーしよー。
「大丈夫、心配ないわ。ニバスはここから離れていないわ。次が最下層というのなら、必ずそこにいる筈よ。」 (オリアス)
「テレポートで上の階に移動した、ということはないか?」 (フォルカス)
「それはないよ。もしそうなら、僕がわかる。」 (ラドラム)
ホントかなぁ?
「心外だな。僕の力がどの程度のものか、知らないわけじゃないだろう?」 (ラドラム)
ん〜・・・確かに力があるのは認めるけど、なーんか引っかかる物言いをするよな、この人。
ともかく、降りよう!答えはそこにあるんだから。
【最下層】
「いざその時を迎えると、感慨深いものがありますねぇ。」 (ニバス)
「然り然り。頭で分かっておっても、なかなか割り切れないものよの。」 (謎の翁)
「ほ、茶柱が・・・。」 (ニバス)
「ほう、幸先の良いことですな。」 (謎の翁)
「クックックック。」 (ニバス)
「フォッホッホッホ。」 (謎の翁)
(気配を感じる両名)
「そろそろのようじゃな・・・ではわしはそろそろ戻ろうかの。」 (謎の翁)
「次に会う日が楽しみですよ。」 (ニバス)
「まことに。ではさらば〜。」 (謎の翁)
(謎の翁の姿が幻の様に掻き消える)
「ふむ・・・いよいよ幕引きですねぇ。」 (ニバス)
最下層に到達した僕達は、そこが今までとあまりにかけはなれた景色なのに驚かされた。でも、その中に一人の魔術師の姿を認めた時、それは僕の中で激情に変わった。
「・・・・・・ニバスッ!ここが貴様の選んだ最期の場所かッ!」 (デニム)
「クックック・・・確かに、最期と呼ぶには相応しいのかも知れませンねぇ。ですが、その最期というのは、もしかして、私のことを言ってるンですか?」 (ニバス)
「あなた以外に該当者はいないわ。」 (オリアス)
「おやおや。強気ですねぇ。」 (ニバス)
「神があなたを赦すことはない。つまり、あなたはここで確実に死に、その魂は無間地獄をさ迷い、永遠に転生の日を見ることはないわ!」 (オリアス)
「・・・前に聞いた口上と違う気がしますが。」 (ニバス)
「とにかく!ニバス、あなたの身勝手もここで終わるわッ!」 (オリアス)
「クックック、ではやってみせてご覧なさい。この父に、お前の力を見せてご覧なさい!」 (ニバス)
「お前など・・・とうに父ではないッ!」 (オリアス)
オリアスも見た目とは裏腹に結構激昂するタイプの人みたいだ。まぁ、ニバスを親に持ったら誰でもそうなるのかもしれないけど。
・・・そういえば、儚く可憐な乙女ってのはどうしたんだろう?
・・・ま、いっか。
戦いはそりゃもういろいろ熾烈を極めた。
ニバスの魔力もさることながら、戦いの最中に現れた妙な奴も原因だった。
な、何かが・・・いる・・・。
「暗い・・・闇の世界から来た、という形容が相応しい、経験したことのない波動の持ち主だわ・・・。」 (シェリー)
(ニバス、その者を見やる)
「ほう・・・出てきましたか。」 (ニバス)
「・・・あれが、ブラックモアか。見るのは初めてだ・・・。」 (ラドラム)
また何か知ってんですね・・・。
ともかく、説明とかどうとか言う前に、奴そのものがどういう存在なのかを如実に語っているような気がした。
「チッチッチ・・・ヴァレリアじゃあ1番か知らねぇが、死者宮では2番だな。」 (ブラックモア)
(どげんっ)←何者かの飛び蹴りが天の声に炸裂
「ぐはーっ!?」 (天)
「貴様は今、どっちのブラックモアも貶めようとしているなッ!」 (謎)
「そそそ、そんなことはないぞ、ほら本人だってのりのりだ。ざっつましんへっど♪」 (天)
「それは貴様がそうさせておるからだーッ!」 (謎)
(どんがらがっしゃん、すってーん)←盛大に暴れているらしい
「・・・まぁ、外野は置いておくとしてだ。そう、なんだお前達は。」 (ブラックモア)
「なんだとはご挨拶な。我々はそこのニバスに用があるだけだ。お前こそなんだ。」 (セリエ)
「なんだをなんだで返すとは、お前はなんだ?」 (ブラックモア)
「この野郎・・・。」 (セリエ)
・・・なんだか妙なところで睨み合いが始まっちゃったなぁ。
「ニバスッ!今度こそ覚悟してもらうわ。」 (オリアス)
「・・・ブラックモアと睨み合いを続けるとは、大した娘ですねぇ。」 (ニバス)
「あっちはあれでどうにでもなるとして、ニバス、最期なのはやはりお前だった様だな。」 (フォルカス)
「デボルドはどこ行ってるの?」 (システィーナ)
(がしゃこん♪)←その更に背後で首をかしげるデボルド
「・・・駄目だ、暫く戻りそうにないぞこりゃ。」 (カノープス)
「それならそれで仕方がない。僕達だけでやろう!」 (デニム)
「うーん・・・一人を大勢で叩き潰すンですか?いやはや、解放軍も底が知れますねぇ。」 (ニバス)
つべこべいわんと、さっさと死んでまえッ!
「今だ、ゴニンジャーハリケーンだッ!」 (影)
「おうっ!」 (四忍者)
(ばしっ)←ラグビーボールを蹴り上げる音
邪魔しないでよッ!
(ばすばすっ)←デニムの手裏剣がラグビーボールを直撃
「ケチくさいやつだ。今にハゲるぞ?」 (影)
「何の関係があるんだ。それに、どうしてお前等がここにいるんだッ!?」 (デニム)
(間)
「はっはっはっは。」 (五忍者)
ええい、わけのわからん連中め!
「(しゅぽんっ)・・・うりゃっ!」 (デボルド)
(正気を取り戻したデボルド、ニバスに斧を振り下ろす)
「なんのっ!」 (ニバス)
(ぱしっ、さくっ)←ニバス、真剣白刃取、失敗
「成長しないな、父さん。」 (デボルド)
「一朝一夕、狙ってできるものではないンですねぇ・・・。」 (ニバス)
「はっはっはっは。」 (ニバ+デボ)
「兄さんッ!」 (オリアス)
うう、頭が痛い・・・。
「・・・・・・どうやら、これまでのようですね。では最期に一言。またお会いしましょう、また違う姿にて。クックックック・・・。」 (ニバス)
(どしゃっ)←その場に倒れるニバス
「・・・消えたり、変身したりしてないな。思わせぶりなこと言っても、これが正真正銘、最期のようだ。」 (カノープス)
・・・・・・ギルダスさん・・・。
「・・・お?奴め、終わりおったか。」 (ブラックモア)
「ふん、そんなにあんな奴が気になるのか?」 (セリエ)
「フハハハハ・・・貴様なかなか大した胆力だ。我が妻としたいものだが。」 (ブラックモア)
「何?あんたみたいなのもそういう世俗に関心があるわけ?」 (セリエ)
「フッフッフ、時と場合、相手によりけりだ。お前はなかなか面白い。この現世もまんざら捨てたものではない・・・。 ・・・目的とやらは達成したのであろう?では立ち去るが良かろう。わしも再び消えるとしよう・・・。」 (ブラックモア)
(ブラックモア、何かを取り出す)
「これを、貴様にくれてやろう。豪華景品が貰えるぞ。」 (ブラックモア)
「いつの話だよそれ。」 (ラドラム)
「ち、余計な知識のある奴め・・・。だが、その美しさは貴様に相応しかろう。」 (ブラックモア)
「お前の美的感覚はどうかしてるぞ。」 (セリエ)
「フハハハ!また会おう。」 (ブラックモア)
(幻の様に消えるブラックモア)
・・・・・・き、消えた・・・?なんだったんだ一体全体。
それとともに、僕達は闇に包まれた。ブラックモアがいたところから一瞬の内に広がった闇は、ブラックモアと同じように徐々に薄らいでいった。
気が付くとそこは、死者の宮殿の入り口、地上だった・・・。
「・・・・・・なんだ?どうなってるんだ一体?」 (カノープス)
「我々を丸ごと、地上に瞬間移動させたんだ・・・。大した能力だ、さすがというべきだな。」 (ラドラム)
「まぁ、あそこから地上まで戻るっていうのもいい加減うんざりする話だし、好都合だったんじゃない?」 (シェリー)
確かにね・・・。考えてみればあの深淵から地上までの道程、しかも昇り一辺倒、気がおかしくなる。
「・・・・・・父さん・・・。」 (オリアス)
(デボルド、オリアスの肩に手を置く)
「気に病むなオリアス。」 (デボルド)
「兄さん・・・。」 (オリアス)
「フッ・・・それが望まれた死であるとは、まさか思うまい・・・か。」 (ラドラム)
・・・何か言いました?
「いや、別に?」 (ラドラム)
・・・
オリアス、デボルドは、これからも戦乱がひと段落するまで僕達と一緒に戦ってくれると言ってくれた。ニバスを倒した今、彼女たちを繋ぎ止めておくものはないと思ってたけど、そう言ってくれるのはとてもありがたい。
・・・それにしても、デボルドは顔色以外は健康そのものにしか見えないね。最近はよく普通の状態に戻るみたいだし。
「ひょっとしたら、って思う時があるの。父さんが兄さんにかけた術は、徐々に効果が現れるんじゃないかって。そうだったら、どんなに嬉しいか・・・。」 (オリアス)
「今でもあんまり普通と変わらない気もするが。」 (デボルド)
「まーね。」 (オリアス)
・・・不思議な状態だよなぁ、デボルドって。ラドラムさん、何かわからないの?
「おいおい、僕だって何でも知ってるわけじゃないんだ。ニバスが独自に研究していた魔法についてなら、ニバス本人が一番詳しいんじゃないか?」 (ラドラム)
なんだ、肝心な時には役に立たないんだ・・・。
「何か言ったか。」 (ラドラム)
ううん、別に♪
さ、フィダック城に戻ろう。驚いたことにこの長い死者の宮殿の踏破も、たった一日しかかかってないっていうから不思議だよね。そうなんでしょ、ウォーレンさん。
「その通り。星の運行から、僅か一日しか経過してないことは明白です。」 (ウォーレン)
「星の運行とは、占星術師っぽいですね。」 (ミルディン)
「ほっほっほ。たまには本職の技術も役に立ちますな。」 (ウォーレン)
普通、本職の技術が普段役に立たなきゃいけないんじゃないかなぁ・・・。