ニュールンベルグ (クリスマスマルクトの街)

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9.花色の謎
 交配を繰り返して生み出された現代バラには、すごく毒々しい色もあります。いかにも「人間が作り出した」というような。
 一方、オールドローズが持つ花色は、時には摩訶不思議にさえ感じることがあります。
 うちにあるバラの中で、咲き初めから散るまでの間に、または季節によって、マジックのように色を変えていくものがあります。それはムタビリス、マダムピエールオジェ、デプレアフルールジョーヌというようなオールドローズたち。

 ムタビリスの七変化のような咲き方には本当に驚かされますが(ムタビリスのページをご覧下さいませ)、オジェは光が射すとどんどんピンク色が濃くなり、言葉では表せないような微妙な色合いになります。またデプレもしかりです。デプレは季節によっても全く花色が異なり、そのどれもが魅力的です。
 一方現代バラのイングリッシュローズも花色は咲き進むにつれて変化します。でもそれはひたすら退色していくだけ。だから濃くなることはありません。そんな花色の変化を見ていると、つくづく自然の持つ神秘には人間の力は及ばないのだなあと思います。近年ブルーのバラや今までに無い色のバラを生み出そうと躍起になっている人間たち。でも人間のつけた色というのは最終的には褪せていくものなのではないでしょうか。それは花に限りません。今、自然界に存在しているもので元々の色が付いているもの、例えば土だったり、石ころだったり、鳥だったり、水辺の生き物だったり・・・それらの持つ色というものは褪せたりはしません。でも人間が後から色を付けたものはたいてい年月とともに色褪せるような気がします。家の屋根、舗装道路、車のボディ・・・
 そんなことを思うと、なおさらオールドローズの花色が美しく見えてくるのです。

10. ER versus フランスのバラたち
 ER(イングリッシュローズ)もかつてはイギリスのバラ全般を指すものかと間違われたりしたものですが、さすがに最近ではポピュラーになり、ディビッド・オースチン作出バラのことだということが広く認知されてきました。その品種も毎年増え続け、今では数百に及ぶと言われています。ERの特徴はなんと言ってもオールドローズと現代バラの融合。つまり現代バラの四季咲き性や華やかさを取り入れながら、しかもオールドローズのたおやかさや優しげな風情をも兼ね備え、おまけに耐病性も向上させたという、私達素人にとっては至れり尽くせりのバラなわけです。
 ところが最近ではフランスの各社がこぞって「オールドローズの風情を持った現代バラ」の作出に力を入れ始め、家の庭で細々とバラを育てる私達の心を誘惑しているのです。ギヨー、デルバール、メイアン、これらのフランス各社がその代表です。(中にはドイツのタンタウなんていうのもありますがここではフランスのバラにのみ触れます。)
 ピエールドロンサールに代表されるメイアンのバラは以前から有名でしたが、ここへ来てギヨー、デルバールのものも輸入されるようになって来ました。目の前に突き出されたらERと間違ってしまうようなその姿。
 

 ERでさえも品種が多く、あれもこれも庭に植えてみたいという誘惑に駆られるのに、これからどんどん増え続けるであろうフランスものも、なんて言ったら「もう植える場所がなーい!肥料や薬代がもたない!」と悲鳴をあげるしかないのです。
 いち早くこれらのフランスものを取り入れているバラの専門家の方々の感想は、と言いますと、どちらもオールドローズと現代バラを融合させたようなものには違いないのですが、ひと言で言ってERはオールドローズ寄り、そしてフランスものは現代バラ寄り、だそうです。確かに(私は写真でしか見たことがありませんが)その色合い、株立ちなどもそう言えるようです。フランスものは咲き進むと剣弁咲きになりやすく、花弁はやや固そう。(もちろん全てに言える事ではありません。)耐寒性ということになるとどうなのでしょう。もちろん冬越しなどには問題ないでしょうが、要は多少の低温などものともせずに咲き進むかということです。何しろこの土地は春も秋も低温気味なので。四季咲き性良しと言われている品種でも、花弁の固いものは開花に時間がかかり、秋の花が十分楽しめない可能性もあります。フランスの気候とイギリスの気候とでは、当地の気候は明らかにイギリスの方に近いですし。ですからここでまた、暖地での栽培成績はここでは当てにならないという問題が浮上するわけです。
 まあでも・・・植える場所もないので、手を出さなくてちょうど良いかもしれません。あまり現代バラ寄りのものを入れてしまうと、オールドローズたちが圧倒されて可愛そうな気もしますし・・・。

11. 「国際バラとガーデニングショウ」の誘惑
 今年も西武ドーム(グッドウィルドーム)で第9回国際バラとガーデニングショウが行われました。
 去年は胸躍らせ出かけていったのですが、正直今年はどうしようかなあ〜としばらく迷っていました。
あのイベントは私にとって「目の毒」だからです。
 ガーデニングへの思い入れとアイデアを駆使した展示物、日頃からバラの本やテレビなどでおなじみの人気育種科の方々、この祭典でしか目にすることの出来ない魅力が詰まっていることも楽しみなのですが、私を誘惑するのはすでに花を咲かせたたくさんの苗なのです。
 この時期、寒冷地にあるルンルンガルテンではまだバラの開花を見ることは出来ません。
ルンルンガルテンでは関東よりほぼ一ヶ月、バラカレンダーが遅れているからです。
 そんな折にすでにつぼみをたわわに付け、花さえ咲かせている苗を見ることは抑えがたい誘惑に駆られるのです。お持ち帰りすればまだ寂しい庭に十分な存在感を持って彩りを与えてくれるから。
それにまださほど気温が高くならないルンルンガルテンに持って行くと、それらの花はとても花持ちよく咲き続けてくれるのです。
 これ以上増やすと管理が大変なのはわかっているのですが・・・。
 迷いながらもフランスもののバラ見たさに(一度この目で確かめたかったので)結局は出かけて行くことになりました。
で、やはり誘惑に負け開花株をお持ち帰りしてしまうわけです。トホホ

 

12.水やり三年・・・水やりのコツ 
 昔から水やり三年とはよく言ったもので、私にとっても長年、バラ栽培でもっとも難しいことが水やりでした。ここ数年、経験が増えたことでようやくそのコツのようなものがわかってきたような気がします。
 鉢栽培ではよく、「表面の土が乾いたらたっぷり」と言いますが、かつてはなかなか表面の土が乾かなかったりすると迷いに迷ったりすることもしばしばだったのです。そのうちに土が乾かないときは土質に問題があるか、植物自体の吸い上げる力に問題があるかなのだと考えるようになりました。

 空気をたくさん含んだ土に植え、葉の量を見極めながら水をやる、それが私なりの方法です。(これが正しいやり方というのではありません!私の経験談にすぎません。)
 葉が多いとそれだけ蒸散作用が活発になりますから確かに吸い上げが良くなって土は乾きやすくなります。もちろん夏場のように自然に水が蒸発する量が多い時期はそれも大きな要因です。葉がたくさん生い茂っているものほど水をたくさん必要としているわけです。
 葉が少なくて蒸散が活発でないときに水をやりすぎると、鉢の中は古い水が停滞していることになります。そんな時やり過ぎは禁物。土の表面の乾き具合がイマイチわからないときは鉢を持ってみます。ずっしり重ければ水分が十分だということになります。
 一番困るのは天気がよいにもかかわらず土が乾かないとき。そんな時は土そのものに問題があるかもしれません。土の表面が十分乾いたとき、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水をやる、それは鉢の中に停滞している水分つまり空気を追い出して新しい空気を送り込む意味もあります。乾かない状態が続くと中の空気も古いものになってしまいます。
 一般に株の大きさに比べて小さめの鉢の方が管理はしやすいと思います。かなり小さめの鉢でもバラは元気に育ちます。でも、夏場のことを考えますとそれも大変なのです。小さい鉢はそれだけまめに水やりをしなければなりません。一度完全な水切れを起こしてしまうと、そのあと慌てて水をやったとしても、約二週間後にはほとんどの葉を落としてしまうからです。それくらい水は「命の水」。
 ちなみに私の場合、地植えのバラ(根付いているもの)には一切水やりはしません。よほど干ばつが続かない限り。
 さて、水の話をしてきましたが、さらに肥料のこととなると、もうこんなところには書ききれません。品種によって、というより個々の花によって量、時期など千差万別。人間だって10人いたら、食べ物にはそれぞれの好き嫌いがありますものね。