マルクト広場 Marktplatz 

雑談・ひとりごとのページ

 マルクト広場というのはドイツの街の中心地にある多目的広場のことです。ある時はその名のとおり市(マーケットMarkt)がたち、あるときは大道芸人がパフォーマンスを見せる、恋人たちが待ち合わせをしたり、アイスを手にした子供が走り回ったり、街の憩いの場所的な要素も占めているのです。
 広さはその街によっても違いますが、クリスマスマルクトで有名なニュルンベルグのそれは特に圧巻です。
 市で売られているものは、これまた様々雑多なもので、食べ物、花、雑貨、装飾品、お土産など。共通して言えることは、ここにはあまり高級品はないということです。

 ということで、ここでは高尚なお話は抜きにして、日々雑多な感想やひとりごとを、思うままに綴ってみたいと思うのです。

1. バラ栽培に思うこと
 バラとお付き合いすることになったきっかけについては、ルンルンガルテンのプロフィールで述べさせていただきました。北国の地でバラを栽培していて苦労するのは、マニュアルが通用しないなあ、ということです。バラに関する手引書に書かれていることは、たいてい関東が基準です。時々つけたしで、寒冷地の場合は云々と書かれていますが・・・じゃ、それをお書きになった方が寒冷地でバラを栽培したことがあるでしょうか。
 関東だとか東北だとか、そういった気候の違いのみならず、バラは本当に十人十色。このあたりは子育てに似ていますが、一つ一つその品種に合った育て方というのがあるようです。
 よく食べる子と少食の子がいるように肥料の量だって、同じじゃないはず。よく、肥料は控えめになんて書き方を見かけますが、いつも疑問でした。「控えめってどれくらい?」
 で、結論としては、控えめの肥料が何グラムなんて答えられる園芸家がいたらお目にかかりたい、ということです。そんなこと品種によって、時期によって、日当たりによって、土壌によって、みんな違ってくるからです。そのバラが植えられている私やあなたのお庭で試行錯誤し、経験するしかないということです。
 それがわかるのに5年はかかったなあ〜

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2. カタログの写真に思うこと
 バラのカタログというのは見ていて本当に飽きませんね。欲しいな〜と思うものにしるしをつけていくと、もうきりがない。実際はその後それぞれの性質を調べたりしながら決めていくので、もちろんそのしるしは減っていくのですけど。
でも最近は、カタログに出ているバラのあの素晴らしいアップは、お見合い用の写真なのだと冷静に見るようにしています。人間のお見合い写真だって、最も美しい姿を撮るでしょう?で、その写真を見ただけでは、すっぴん顔や性格はわからない。お付き合いしてみて、「ん?ちょっと性格に難あり?」なんて思うことも。
 さて私の場合、お見合い写真で気に入ったバラがあると、まず鉢栽培というおつきあいをします。この段階は小さめの鉢です。で、性質をよく見極めます。その上で「よし!」となれば地植えしたり、もっと大きな鉢にしっかり植えつけたり、となるわけです。

3. 品種選びに思うこと
 昔は結構お見合い写真だけで「決めた!」と選んでいたこともあります。でもこの10年近くでたくさんの品種を育ててみて、バラってじっくり付き合えば付き合うほど奥が深いなあ、というのが実感です。初めはあまり好みじゃなかったものがある年突然大好きになったり。
 バラの品種は今や数万だと言われています。カタログなどで見かけるポピュラーなものだけでも数千です。その中から自分の庭に植えるものを選ぶわけですから、単に選ぶということも胸躍る作業になるわけです。
 私の場合は写真を見て「いいな」と思ったものの中から、耐病性、樹勢(樹形を含めて)、そして親しい友人の庭にない品種かということを基準に選んでいます。
 病気になりやすい品種は、それひとつだけの事ならいいのですけど、狭い庭ではすぐに周りの子達に移るのでNGなのです。また、樹勢の強すぎるもの、枝の暴れるものは手に負えなくなるのでこれもNGです。

 最後の「友人の庭にないもの」という点ですが、最近のバラブームで友人の中にもバラを育てている人がたくさんいます。そしてその友人たちとお互いの庭を行ったり来たりして観賞し合うということ、これがこの上ない楽しみなのです。自分の庭にはない品種の写真を撮るのも楽しみです。
 バラの品種は数千・数万あっても、私たちの庭に植えられるバラの数なんて本当にわずか。その限られた貴重なスペースで、出来るだけ多くの種類のバラと触れ合うためにも、なるべく同じ品種が重ならない方がいいな、と思うのです。その方が見に行く楽しみも倍増するわけです。
 自分のバラと同じものばかりだと、きっと「見に行きたい」というわくわく感がなくなっちゃうんじゃないかなあ、と。
 最近では、この街のどこにもないバラを自分なりに育ててみたい、その特別なバラの先駆者になりたいなあと思うようになってきたりもしています。オリジナリティを大切にしたいのです。
 「先駆者」といえば、家の建築のことを思い出します。
 ちょっと話が脱線しますが・・・私が家を建てるちょっと前に私の親友が、とある住宅建築会社で家を建てました。その会社はまだ出きてから年数も浅く、その会社の建てた家の行く末がどうなっているかを実際見ることも不可能だったのです。まだ株式会社にもなっていない小さな会社でした。
 でも親友は自力で徹底調査し、ここで建てても大丈夫、と判断し、そこの会社で家を建てました。私は親友からその会社を紹介してもらい、おかげで安心して建てる事が出来ました。
 その後私は何人もの人に、その会社を紹介していますが、彼女は私やその後に続く人達にとって、言わば先駆者です。彼女が十分調査してくれたからこそ、私は安心してスムーズに事を運べたのです。
 それと同じことがバラにも言えるかもしれません。初めてそのバラに手を出す人はそのバラのことがわかるまで、苦労も多いわけです。そのバラが優秀な子だとわかってからそれを育てる人は、楽に育てられるかもしれません。ただ、家は高い買い物だから失敗は絶対に避けたい。でもバラは別に優秀な子だけを手元に置く必要は無いわけです。だからこそ草分け的な品種を取り入れ、自分が先駆者になれる可能性もあると思うのです。私もあなたも、誰でも。
そして隠れた優秀な子を発見できるかもしれません。

4. 花ガラ切りの苦労
 バラが美しく咲き、満開を迎えると、次に待っているのは花ガラ切りです。品種によって花が終わるとどんどん散ってしまうもの、汚く変色しても枝にかじりついているもの、様々です。いずれも、花ガラは摘まなければ次の花が綺麗に咲きませんし、見た目も見苦しくなります。
 でもこの花ガラ切りという作業、とにかく忍耐力の要る仕事なのです。よくバラというと「病気や虫が大変でしょ?」「剪定も毎年やるんでしょ?」などというお言葉をかけて頂きますが、それより何より大変なのは(私の場合です)この一番花のあとの花ガラ切りなのです。

 花の寿命が終わった時、ひとりでに散ってしまう品種はまだ簡単です。散れば地面は汚くなりますが、散り際を見極めて切ればよいわけです。でも花が茶色っぽく変色してきてもなお散らない品種というのは逆に問題です。病気の原因にもなりますし、凋花切りというのはそのタイミングが大切で、四季咲きの場合それがあまり遅れると、次の花が遅くなるからです。
 満開のシーズンが梅雨ど真ん中の当地では、毎日空模様をうかがいながら一喜一憂です。特に満開になるとほとんどの花が房咲きになります。か細い枝はただでさえ花を支えるのに精一杯。そこに雨が降り花が水を含むと、重さで枝は垂れ下がります。不幸にして折れることも。
 また、花弁が多くて中心が見えなかったり、うつむいて咲いている品種はまだいいのですが、おしべが水に浸ると、急激に花痛みが進みます。
 散る一歩手前の花が雨の急襲に遭うと、これはもう悲惨。雨が上がった後、株の周りは落ちた花びらが泥にまみれ、目を覆いたくなります。「後片付け」のことを考えるとため息が出てしまいます。ですからバラにとって雨は迷惑者でしかないのです。(黒点病も運んできますしね)
 そんなわけで、満開を過ぎやっとのことで花が持ち堪えてる時に、天気予報で「雨!」などと聞くと、ましてや予告なしににわか雨が降り出したりしちゃうと、もうのんびりしてはいられないわけです。雨合羽をはおり、庭へ飛び出して花ガラ切りです。(洗濯物の取り込みなんてこの際どうでもいい)雨にやられる前に先に切る。それが被害を最小限に食い止める唯一の方法・・・。
そしてデリケートな鉢植えのバラは、軒下に避難させるのです。

MarktPlatz  目次

ローテンブルグ (このページです)  

ローテンブルグ (中世の町並)

ハイデルベルグ

5.バラと音楽
6.秋の花について
7.薬剤の安全性について
8.整形花の出現率について

1.バラ栽培に思うこと
2.カタログの写真に思うこと
3.品種選びに思うこと
4.花ガラ切りの苦労

ニュールンベルグ

9.花色の謎
10.ER versus フランスのバラたち

11. 「国際バラとガーデニングショウ」の誘惑
12.水やり三年・・・水やりのコツ

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