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(ライトスタッフ)
ボタン 映画 オリエント急行殺人事件
MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
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接触編 発動編
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愛・おぼえていますか
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THE RIGHT STUFF (ライトスタッフ)
公開時宣伝コピー/人類には“夢”。男たちには“挑戦”
スタッフ
監督・脚本 フィリップ・カウマン
原 作 トム・ウルフ
撮影監督 カレブ・デシャネル
美 術 ジェフリー・カークランド
音 楽 ビル・コンティ
特殊映像効果 ゲイリー・グティエレツ
製 作 アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
配 給 ワーナー
日本公開 1984年9月(製作年1983年)
上映時間 193分
キャスト
チャック・イエガー サム・シェパード
アラン・シェパード スコット・グレン
ジョン・グレン エド・ハリス
ゴードン・クーパー デニス・クエイド
ガス・グリソム フレッド・ウォード
スコット・カーペンター チャールズ・フランク
ウオリー・シッラ ランス・ヘンリクセン
ガス・グリソム フレッド・ウォード
グリニス・イエーガー バーバラ・ハーシー
ベティ・グリソム ベロニカ・カートライト
トゥルディ・クーパー パメラ・リード
パンチョ・バーネス キム・スタンリー
STORY
冷戦時代の1950年代後半。宇宙計画でソ連に遅れをとったアメリカは、有人宇宙飛行のマーキュリー計画を実現させるべく、急遽7人のパイロットを選出し訓練を開始した。新たなる世界へと旅立つヒーローとして選ばれた彼らの前途は約束されてはいたが、ロケットも未完成の計画は人体実験にも等しい無謀といえるものであった。その一方で、世界で初めて音速の壁を破った伝説のテスト・パイロット=チャック・イエガーは、自らの手で果てしない大空への挑戦を続けていた…。
 トップは、現在でも自分の中ではベスト1のこの映画です。1983年に公開されたこの作品は、最近の上映時間の短い物とは違い3時間以上(193分)あるので、観る時には根性据えて懸からないとないと駄目(笑)ですが、特に男性に見てもらいたいですね。
 ドキュメンタリー作品とは違うので物語上の演出はありますが、間違い無く男のロマンと冒険心を掻き立ててくれるでしょう。女から見ると何故?と思える危険な夢と理想に命を賭ける7人の気持は、男ならきっと理解できる筈です。
 偏見と言われるかも知れませんがm(__)m、この作品の真の良さと感動が理解出来るのは男性しかない!と個人的には思ってます。
 何を隠そうその昔、レーザーディスクを買おうと思ったのはこの作品の為でした。
2002.7.21 Sun 記










 
ルパン三世 カリオストロの城
公開時宣伝コピー
生きては還れぬ謎の古城でついにめぐり逢った最強の敵!
スタッフ
監 督 宮崎 駿
助監督 吉沢茂承
原 作 モンキー・パンチ
脚 本 宮崎駿/山崎晴哉
作画監督 大塚康生
撮影監督 高橋宏固
美術監督 小林七郎
音 楽 大野雄二
編 集 鶴渕允寿
プロデューサー 片山哲生
製 作 藤岡 豊
配 給 東 宝
公 開 1979年12月15日
上映時間 100分
キャスト
ルパン三世 山田康雄
次元大介 小林清志
峰不二子 増山江威子
石川五右エ門 井上真樹夫
銭形警部 納谷悟朗
クラリス 島本須美
園丁(元庭師の老人) 宮内幸平
ジョドー 永井一郎
カリオストロ伯爵 石田太郎
ウェイトレス 山岡葉子
グスタフ 常泉忠通
大司教 梓欽造
国際警察長官 平林尚三
ドイツ代表 寺島幹夫
日本代表 野島昭生
ソ連代表 鎌田順吉
イギリス代表 阪 脩
指揮官 松岡重治
STORY
カジノから現金を盗み出したルパンと次元は、それが精巧に造られた偽札だと気づく。これほどの物は、その筋では偽札界のブラックホール≠ニ呼ばれているカリオストロ公国にしか出来ない。二人はカリオストロ公国へと乗りこんだ。ところが、そこで待っていたのはある女の子(クラリス王女)とカリオストロ伯爵の持つ指輪にまつわる財宝の話。お宝と偽札の陰謀が絡んでルパンは窮地に陥る。その時ルパンが思い出したのは、クラリスにまつわる若き日の思い出だった・・・。
果たして、ルパンはクラリスを助け、伯爵を出し抜いて財宝を手にする事が出来るのか!
 言わずと知れた日本アニメの名作です。映画としても一流のエンターテイメントとして仕上がっていて、普段アニメ等を見ない人にも人気が有りますね。
 僕もかなり好きで何回も見たので、各シーンから台詞まで殆ど覚えてしまいました(笑)が、公開当時にはそれ程高い評価を得られなかったとは、今では信じられない話でしょう。受入れられなかった理由は、『これはルパンではない!』というものでした。今でこそルパンと言えばカリオストロ城ですが、初めて公開された時は『中年・ルパン』に多くのファンはかなり違和感があったようです。ですから、それまで一部のマニアの高評価は別にして、世間的評価が上がったのは公開後ずいぶん経ってからの事です。
 そして、近年になって更に評価が上がったのは、監督が『宮崎駿』だったからに他なりません。
 あの『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』の監督だから当然、良いものだという逆説的≠ネ評価がされている感じです。日本人の通弊として、世間的に巨匠≠ニ呼ばれる人の作品は内容を見る前に良いものだと思い込む様です。

 余談ですが、最近の宮崎アニメは世間の評価とは反対に、あまり面白く無いと思うんですが・・・
 今でもカリオストロの城≠謔闡O作のマモー編≠フ方がルパンらしくて好きだと言う人がいますが、僕はどちらも面白い映画だと思いますよ。
 ただ、カリオストロの城は『エンターテイメント映画』として高いレベルでまとまっている作品なので、誰にでも薦められるものです。
2002.7.21 Sun 記
関連コラム 画廊界/資料門/パンフレット館/アニメ・特撮の部屋











 
探偵物語
スタッフ
監 督 村川透/西村潔/澤田幸弘
長谷部安春/加藤彰/小澤啓一
小池要之助/飛河三義
原 案 小鷹信光
脚 本 丸山昇一/那須真知子/佐治乾
柏原寛司/中島紘一/宮田雪
白坂依志夫/和久田正明
内田栄一/井戸晶雄/桂千穂
田中陽造/大和屋竺
企 画 加藤教夫(NTV)
黒澤満(東映芸能ビデオ)
プロデューサー 山口剛(NTV)
伊藤亮爾
柴垣達郎(東映芸能ビデオ)
音楽監督 鈴木清司
音 楽 SHOGUN
制 作 東映芸能ビデオ
放 送 日本テレビ
期 間 1979年9月18日〜1980年4月1日
話 数 全27話
キャスト
工藤俊作 松田優作
服部刑事 成田三樹夫
松本刑事 山西道広
ナンシー ナンシー・チェニー
かほり 竹田かほり
相木政子 倍賞美津子
イレズミ者 野瀬哲男/前田哲郎
ダンディー 重松収
イイヅカ 清水宏
サブロー 庄司三郎
山崎 榎木兵衛
オープニングテーマ Bad City
エンディングテーマ Lonely Man
作詞
作曲
編曲
ケーシー・ランキン
ケーシー・ランキン
大谷和夫
SHOGUN
 人に「好きな俳優は?」と聞かれたら、まず松田優作を挙げるでしょう。僕の親の世代では石原裕次郎が人気がありますが、僕らの世代はなんと言っても優作がカリスマ性を持った役者でした。
 ハリウッド映画『ブラックレイン』に出演し、その凄みのある演技で世界に絶賛された松田優作が亡くなったのが1989年。その約10年前に放映された番組がこの『探偵物語』です。
 松田優作が企画段階から拘って作り上げた「工藤俊作」というキャラクター(SMAPのキムタクが真似してましたねえ)と細かな設定、個性的なゲスト(ほとんどが優作の友達、知り合いもしくは共演希望者)によって洒落た話が展開していくという、まさしく「松田優作ワールド」を作り上げていました。そして、そこが今も人気がある所以でしょう。
 現在では誰も演じる事が出来ない、松田優作という強烈な個性に支えられた番組でした。
2002.8.31 Sat 記
関連コラム 音楽界/邦楽門










 
シャーロック・ホームズの冒険
スタッフ
監 督 ポール・アネット/ジョン・ブルース
ジェレミー・ポール/アラン・グリント
デビッド・カースン/ケン・グリーブ
ハワード・ベイカー/他
原 作 サー・アーサー・コナン・ドイル
脚 色 アンソニー・スキーン
アラン・グリント/ジェレミー・ポール
ポール・フィニー/ビル・クレイグ
デレク・マーロー
リチャード・ハリス/他
プロデューサー マイケル・コックス
音 楽 パツリック・ゴワーズ
製 作 グラナダTV
放 送 NHK
期 間 1985年〜1995年(不定期)
話 数 全43話
キャスト(声の出演 )
シャーロック・ホームズ ジェレミー・ブレット
(露口茂)
(初代写真中央)
ドクター・ワトスン
(二代目写真右)
デビット・バーグ
(長門裕之)
エドワード・ハードウィック
(福田豊士)
ハドスン夫人 ロザリー・ウィリアムズ
(竹口安芸子)
マイクロフト・ホームズ チャールズ・グレイ
(松村達雄・久米明)
レストレード゙警部 コリン・ジェヴォンズ
(川辺久造)
モリアーティ教授 エリック・ポーター
(南原宏治)
 1985年4月、イギリス・グラナダTVが制作したドラマがNHKによって放送開始されました。それがこの『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズです。
 イギリスはもとより世界中のホームズファンを虜にしたこのシリーズは、原作に忠実な脚本と18世紀のイギリスを見事に映像化した事で賞賛されました。
 しかし、なんと言っても成功の最大の理由はホームズを始めとするキャストの的確さでしょう。
 特に、主演のジェレミー・ブレット(吹き替えの露口茂がシブイ!)のウィットに富んだ演技のすばらしさはその風貌(ストランド誌連載時の挿絵ソックリ!)ともあいまって、一度でもホームズを読んだことがある人なら、原作から抜け出てきたように感じるのではないでしょうか。何しろ口うるさい世界中のシャーロキアンから『今世紀最大のホームズ俳優』と呼ばれ、今後これ以上のホームズは出てこないだろう言われているのですから。
 また、協力者のワトスンはこれまでの映像作品では終始、頭の悪いコメディタッチな人間として描かれていましたが、サー・ドイルの原作ではもっと頭の良い紳士として書かれているのです。このシリーズのデビット・バーグとエドワード・ハードウィックの二人の演技によってようやく正当な姿を映像で見ることができ、ワトスンファンは溜飲を下げホームズと共に絶賛を浴びました。
 本来、原作すべてを映像化する筈でしたがシリーズ開始10年目の1995年9月12日、主演のジェレミー・ブレットが持病の心臓疾患によって急逝、ファンの望みも断たれる事となりました。享年59歳のあまりにも早過ぎる死でした。
 尚、未映像化作品は長編二編(緋色の研究・恐怖の谷)と短編十七編ですが、残った短編の中に『His Last Bow(最後の挨拶)』があると言うのも何か因縁めいたものがあります。
 とにかく、ホームズファンの僕としてはホームズの映像作品としてはこれ以上のものは無いと思ってますので、ファンの方もそうでない人も一度見る事をオススメします。
2003.1.1 Wed 記
関連コラム 書籍界/小説門
書籍界/ムック門
言霊界/台詞門/小説綱










 
メガゾーン23(ツースリー)
劇場公開時宣伝コピー
これが…私の愛し方…

無限の可能性を秘めた街、TOKYO
バイクの音と共に事件に巻き込まれた若者達がこの世のものとも思われない現実に直面する。
アニメの枠をつき破り、現代そのものを表現しかつて見る事のなかった斬新なストーリー展開で送る
超ド級アニメ、『メガゾーン23』ついに登場!
スタッフ
監 督/原 作 石黒 昇
脚 本 星山博之
演出 長谷川康夫/板野一郎
アクション監督 板野一郎
キャラクターデザイン 平野俊貴
"イヴ" デザイン 美樹本晴彦
メカスーパーバイザー 窪田正義
メカニックデザイン 柿沼秀樹/荒巻伸志
宮尾岳
美 術 中村光毅
音 楽 鷺巣詩郎
企 画 鈴木敏充
プロデューサー 三浦亨
制 作 アートランド/アートミック
小野寺脩一/須田英昭
製 作 あいどる/ビクター音楽産業
時 間 80分
発 売 1985年発売
キャスト
矢作省吾 久保田雅人
高中由唯 川村万梨阿
夢叶 舞 荘真由美
村下智美 冨永みーな
B.D 塩沢兼人
ココ 高木 均
チョンボ 鳥海勝美
モーリー 三ツ矢雄二
プロデューサー 曾我部和行
夢叶影弦 小林清志
時祭イヴ 宮里久美
主題歌 背中ごしにセンチメンタル
挿入歌 風のララバイ
作詞
作曲
編曲
三浦徳子
芹澤廣明
鷺巣詩郎
宮里久美
STORY
時代は現代。その象徴ともいうべき大都市、TOKYO。昨日という過去が無く、明日という未来が見えてこないこの街に、若者達だけの鼓動だけが聞こえていた・・・・・・。主人公、矢作省吾はいつものように仲間とストリートレーサーを気取り、立ち並ぶビルの谷間を猛スピードで走りぬける。この時、生きている真実を感じることができるのだ。だがある日の夜、省吾はもうひとつの真実を体験する事になる。その真実とは、友人によって持ち込まれた一台のバイクであった。軍事使用を目的としたその形状は、省吾の欲求に応えるかのように先鋭なボディを横たえていた。しかし、それを知った治安部隊のB.Dは最高機密の漏洩を恐れ、省吾の命をつけねらう。命の危険を感じた省吾はこのバイクの存在を広く世間に知らせようと、アイドル歌手・時祭イヴの番組に出ようとするが、B.D達の手によってもみ消されてしまう。そして彼はこのバイクを手に入れたことにより、今まで誰も知らなかった恐ろしい事実を眼の当たりにする。この東京が実は巨大なコンピューター、バハムートによって制御、支配されている虚構の都市であり、謎の意図によって、五百年もの長い間わたって宇宙船に乗っているにもかかわらず、人々は平和な都市に住んでいる幻影を見せられていたのだ。この真実を知った省吾にB.Dの魔の手が迫る。彼はバハムートを落とし、自分の意のままに世界を乗っ取ろうという野望があった。何故なら、外の世界では最終戦争を引き起こしメガゾーンと同じく宇宙に脱出した敵の宇宙船が、五百年の時を経て再び邂逅しようとしていたのだ・・・
 オリジナルビデオアニメーション(OVA)の創世記の作品。ブームを起こした『超時空要塞マクロス』の主要スタッフが創ったので発売前からかなり話題となっていたんですが、情報をあまり流さないという宣伝手段をとったため、実際に見るまではどんな作品になるか判りませんでした。
監督・原作/石黒昇、キャラクターデザイン/平野俊弘、ゲストデザイン/美樹本晴彦、アクション監督・演出/板野一郎、メカニックデザイン/柿沼秀樹 荒牧伸志、美術監督/中村光毅、脚本/星山博之と、今見れば夢のようなスタッフですねえ。
 石黒氏はマクロスのTV版・劇場版を監督(劇場版は河森正治氏との共同監督)、美樹本晴彦氏はマクロスのキャラクターデザインで一躍人気デザイナーになり(最近はもっぱらイラストや漫画を描いていますが)、平野敏弘氏はそれ以前から人気がありました。板野一郎氏は板野サーカス≠ニ言われるメカの動きから注目の的でしたし、メカニックデザインの柿沼、荒巻氏は『機甲創世記モスピーダ』のメカニックデザインが有名。美術の中村、脚本の星山両氏に至っては言わずもがなのベテランです。
 さて、物語のポイントは次ぎのようになります。
  1、宇宙船の中に街がある
  2、アイドルが出てくる
  3、音楽が重要視されている
  4、未知の敵との戦い
  5、その対極としての身近な恋愛話
 これって考えてみれば『マクロス』の設定と何も変わらないんですね。
 しかし、マクロスとは少し違う要素を入れて、別の物語として見せているんですから流石でしょう。
 その違う要素とは「バーチャルリアリティ」と「情報操作」。
 今から20年前といえばまだまだ一般ユースのコンピューターの性能は低く、人や物をコンピューターの中で創って動かすバーチャルリアリティ(その当時、こんな言葉あったかな?)も現実的なものではなく夢物語と言われていました。しかし、今やゲームや映画の世界では非現実的なものではなくなっていて(実際バーチャルアイドルも出てきていますし)、つくづく技術の進歩は凄いと実感しますねぇ。
 メディアを使っての情報操作に至っては、つい最近のイラク戦争でも如実に現れましたね。軍や政府が発表したり提供する情報の偏ってるのなんのって・・・まあ、戦争時の大本営発表なんてモノはそういうもんですけどね。

 つぎの文章は、昭和五十九年三月十八日の毎日新聞の記事である。
 ── 四十六年前の昭和十三年八月二十四日、東京・羽田空港の近くの上空で、軍人か操縦する民間航空機二機が接触して墜落、炎上し、火の海にのまれた付近住民百六十一人が死傷する大惨事が起きた。当時としては世界最大級の航空機事故だったが、準戦時体制下とあって、保障などの事故処理は早々に打ち切られ、事故そのものも語り継がれず、人々の記憶からも薄れており、当時の被害者ら十一人がこのほど、東京で顔を合わせ大森事故≠フ記事や資料の収集を始める事となった ──
 この記事に僕がショックを受けたのは、この昭和十三年八月に十四日が、僕の生まれた正に当日であることもあるが、わずか五十年足らずの過去のことなのに、こんな大事件が新聞を見るまで、ぜんぜん存在すら知らなかったことであった。羽田の比較的すぐそばに住んでいるにもかかわらず、このようなうわさは聞いたこともなかったのだ。<中略>
 五十年前の出来事でさえこの有り様なのだから、情報技術の発達した現代なら、もっと容易に操作できるはずである。権力者に都合の悪い事実をもみ消したり、あるいはでっちあげたり。
<中略>
 我々はふだん、テレビや新聞を通じて、世の中の出来事を知っているつもりになっているが、それがすべて虚像だとしたら・・・・・・。そりゃ被害妄想だよと笑われるかもしれないが、世界の歴史を見れば、もっと巧妙な形でそれが権力者によって、実際に行われている事に気づくだろう。

 ── メガゾーン23小説版あとがきより抜粋 ──

 もともとこの作品が出来たのは原作の石黒氏の上のような経緯があり、この記事から、それまで「虚像の街」や「虚像のアイドル」「可変バイクのアクション」の設定で企画していた作品にテーマと裏づけが出来たそうです。
 それにしても、その当時の状況でさえそう思えたんですから、現在のCG技術とネットの広がりを持ってすればに情報操作など更に簡単でしょうね。しかももっと巧妙に。
 この作品を見ると、際限なく情報が溢れている現在、受け取る側の取捨選択能力が益々重要になっていくと思います。かなり難しい事ですが(爆)
 天邪鬼な僕はどうしても流れてきた情報を疑って掛かってしまうんですが、それくらいの姿勢の方がいいのかもしれません。まあ、逆に知らないほうが幸せな場合があるかもしれませんけどね。

 タイトルのメガゾーン23の23≠ヘ東京23区の事。設定では1985年の東京が舞台となっています。ちなみに主人公矢作省吾が乗っていたバイクGS650G≠ヘアクション監督の板野一郎氏が当時乗っていたバイクで、そのせいか作画に気合が入ってました(笑)
 作品も人気が高く、翌86年にPartU、89年にはPartVが製作されました。

尚、メガゾーン23は1985年3月に劇場公開もされています。この時新たなシーンを追加して公開しています。このため上映時間は107分になっています。
2003.5.16 Fri 記
関連コラム 画廊界/資料門 /パンフレット館/アニメ・特撮の部屋
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オリエント急行殺人事件 MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
公開時宣伝コピー/この中に犯人がいる?
スタッフ
監 督 シドニー・ルメット
原 作 アガサ・クリスティ
脚 本 ポール・デーン
撮 影 ジェフリー・アンソワース
音 楽 リチャード・ロドニーベネット
製 作 ジョン・ブラボーン
リチャード・グッドウィン
配 給 パラマウント
日本公開 1974年5月
上映時間 128分
キャスト
エルキュール・ポアロ アルバート・フィニー
アンドレニ伯爵夫人 ジャクリーン・ビセット
ヘクター・マックイーン アンソニー・パーキンス
アンドレニ伯爵 マイケル・ヨーク
ハバード夫人 ローレン・バコール
グレタ・オールソン イングリッド・バーグマン
アーバスノット大佐 ショーン・コネリー
ヒルデガルド・シュミット レイチェル・ロバーツ
ドラゴミノフ公爵夫人 ウェンディ・ヒラー
ベドーズ ジョン・ギールグッド
ピエール・ミッシェル ジャン=ピエール・カッセル
メアリー・デベナム ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ハードマン コリン・ブレイクリー
フォスカレッリ デニス・クイリー
コンスタンチン博士 ジョージ・クールリス
ビアンキ マーティン・バルサム
ラチェット リチャード・ウィドマーク
STORY
厳冬の中部ヨーロッパを走る豪華列車オリエント急行が、ユーゴスラヴィアのヴィンコヴィッチ−ブロッド駅間で大雪のため立ち往生してしまう。そんな中、フランスのカレー行き寝台車両の個室の中で、初老のアメリカ人富豪ラチェットが全身12ヶ所を刺されて死んでいるのが発見された。窓は開け放されていたが、雪の上には犯人が外から侵入した形跡も、脱出した様子もない一種の密室状態だった。偶然この列車に乗り合わせた探偵エルキュール・ポアロは、列車会社の重役で友人のビアンキから依頼され事件を調査する事になる。旅行に不向きと思われる真冬にもかかわらず、オリエント急行の個室は全てふさがっており、しかも車両に乗り合わせた乗客は、さまざまな国籍、職業、年齢の14人。彼らにはお互いを証明し合う確固としたアリバイがあった。だが、ある事をきっかけに乗客の知られざる関係が徐々に浮かび上がってきたのだ。その時、ポアロの「灰色脳細胞」が動き出す。やがて明かされる動機と大胆なトリック、そして意外な結末とは・・・
 ミステリーの女王、アガサ・クリスティ原作の小説を映画化したこの作品は、そのオールスター・キャストで当時話題を集めました。確かに今見ても錚々たるメンバーが並んでいて、良くこれだけのメンツを集めたなあと思いますね。
 脚本はさすがに原作をそのまま映像化すると時間が幾らあっても足りませんので、ストーリーに支障が無い程度に削っていますが、それでも二時間を越える作品です。
 また、クリスティの作品は登場人物の多さ、セリフの多さが特徴ですが、さすがに映像作品ではあまり一人の人物に長々喋らす訳には行きませんから、上手くカットを割ったり、映像を挿入したりして単調にならないようにしています。
 ポアロを演じるアルバート・フィニーですが、原作ファンだったらイメージがちょっと違うと感じるでしょう。原作では卵形にはげた頭の小男ですが、映画では髪の毛は横分けで、ガッシリとした体格の太った男として登場します。これはアルバート・フィニーがイメージしたポアロを造り上げたもので、実際のフィニーは痩せているので体に詰め物、口には含み綿をして演じたそうです。
 乗客には、往年の名女優イングリッド・バーグマンやローレン・バコール、サイコで有名なアンソニー・パーキンス、007のショーン・コネリー等今も映画ファンにはお馴染みの役者が演技を競い合っています。アンドレニ伯爵夫人役のジャクリーン・ビセットが綺麗!舞台となるオリエント急行も豪華列車の雰囲気があり、セットだと興ざめる事なく見ることが出来ます。尚、登場人物は17人ですが上のキャストには7人しか記載していません。もし他の乗客に興味のある方は「その他」を押すと、残りのキャストが出てきます。
 数あるクリスティ映画の中でも、豪華さでは群を抜いている作品でしょう。それにしても、ポアロが謎解きをする最後のシーンで、乗客が一堂に会する場面はスケジュール調整が大変だったでしょうねぇ・・・
2003.7.1 Tue 記
関連コラム 書籍界/小説門
画廊界/資料門/パンフレット館/外国映画の部屋










 
13days THIRTEEN DAYS(サーティーンデイズ)
公開時宣伝コピー/キューバ危機。それはアメリカが震えた13日間
スタッフ
監 督 ロジャー・ドナルドソン
原 作 アーネスト・R・メイ
脚 本 デビッド・セルフ
撮 影 ロジャー・ディーキンス
編 集 コンラッド・バフ
製 作 ピーター・O・アーモンド
アーミアン・バーンスタイン
ケヴィン・コスナー
ケヴィン・オドネル
製作総指揮 トーマス・A・ブリス
マイケル・デ・スカ
イロナ・ハーツバーグ
配 給 ヘラルド
日本公開 2000年12月16日
上映時間 145分
キャスト
ケネス・オドネル ケヴィン・コスナー
ジョン・F・ケネディ ブルース・グリーンウッド
ロバート・F・ケネディ スティーブン・カルプ
ロバート・マクナマラ ディラン・ベーカー
アンドレイ・スチーブンソン マイケル・フェアマン
STORY
1962年10月16日。11月の中間選挙対策に追われる大統領特別補佐官ケネス・オドネル(通称ケニー)の前に、国家安全保障問題担当・特別補佐官マクジョージ・バンディが深刻な顔で現れる。二日前、偵察機がキューバ上空から撮影した写真に弾道ミサイルが確認されたのだ。大統領は直ちに閣僚を招集。マックスウェル・テイラー統合参謀本部議長、ロバート・マクナマラ国防長官らは即時、空爆を行うべきと主張。全世界が核戦争の危機にさらされた13日間がこうして始まった。大統領は第3次世界大戦に直結する空爆は避けたかった。弟の司法長官ロバート・ケネディ(ボビー)は、空爆以外の最善の手を探らせるため国家安全保障会議執行委員会、通称エクスコム(ExCOM)を設置するが、エクスコム会議で軍部はキューバ侵攻にまで意見をエスカレートさせる。翌17日、ボビーがマクナマラから海上封鎖案を引き出す。
10月18日。空爆を迫る軍部を退けた大統領は、国連総会のため訪米したソ連外相グロムイコと会談するが、ミサイルの存在を否定する主張を繰り返すのみ。一方ケニーはマスコミの追及を受け危機感を募らせるが翌19日、ボビーからエクスコムが海上封鎖で合意したと連絡が入りひとまず胸をなでおろす。
10月20日。遊説予定をキャンセルした大統領がエクスコムに出席。トルコに配備されているミサイルの撤去を取引材料にする宥和案がスチーブンソン国連大使から出されるが、大統領はこの案を見送り、空爆か封鎖かを22日夜にテレビ発表すると述べる。
10月22日。大統領は議員達が封鎖に反対している事で自信をぐらつかせていた。「国民はきっとあなたについてくる」。ケニーの一言で大統領は腹を括る。19時、大統領は海上封鎖実施を発表。
10月23日。ケニーは、軍部が進めるキューバへの低空偵察飛行実施の裏に開戦派の思惑があると看破。もし偵察機が撃墜されれば大統領は報復措置を取らざるを得ない。ケニーは偵察作戦指揮官エッカーに直に電話をかけどんな事をしても撃ち落されるなと頼む。エッカーは無事任務を完遂し、対空砲で被弾した事実も統合本部に隠し通す。大統領は海上封鎖宣言書に署名するが、封鎖が始まった時、何が起きるかは誰にもわからなかった。
10月24日。海上封鎖発動。大統領とボビーは宥和案をマスコミに流し、世論の反応を探る事にする。翌日、新聞を見て驚いたバンディがケニーのもとを訪れ、ケネディ兄弟の弱腰を批判。ケニーは彼らを弁護するが、情報漏洩が自分抜きで決められた事に内心不満を抱いていた。ケニーとボビーは国連安保理事会でのスチーブンソン続投をめぐっても対立。そのスチーブンソンはケニーの期待に応え、ミサイル存在の証拠写真を突き付けるという強い態度でソ連大使に迫り、ソ連の不当さを印象づける事に成功する。
10月26日。マクナマラと海軍が一触即発の海上封鎖に神経をすり減らしている頃、ケニーはABCの記者から、KGBのエージェントが妥協案を伝えてきたという情報を得る。米国がキューバに侵攻しない確約をすればキューバのミサイルを撤去するという内容だ。27日未明にはこの打診を裏付けるようなフルシチョフ首相の電文が届き、事態は解決に向かい始めたかに見えた。だがその後、トルコにおけるNATO軍のミサイル撤去を求める第二の電文が届き、一同は困惑する・・・。一方、最新の航空写真はキューバのミサイルが発射準備を整えつつある事を示していた。大統領は止む無く29日に空爆・侵攻を行うべく準備を進めるよう指示。だがさらに悪い知らせがもたらされる。爆撃目標の最終確認に飛び立った偵察機U2がミグ戦闘機に撃墜されたのだ。軍部は即時報復を進言し、日曜未明にもソ連のミサイル施設を爆撃すべく、大統領の指令を待つばかり。それでも大統領はトルコのミサイル撤去を切り札に最後の交渉に賭ける決意を変えなかった。駐米ソ連大使との交渉役に指名されたのはボビー。弱気を示す彼をケニーは「妻や子供たちの命を託せるのは君しかいない」と励まし、交渉現場に同行する。
 僕が生まれる少し前、今から40年前の1962年、世界を核戦争寸前にまで追いつめた「キューバ危機」を描いたこの作品は、アメリカ始まって以来最も若い閣僚(ジョン・F・ケネディ大統領45歳、弟ロバート・F・ケネディ司法長官36歳、大統領特別補佐官ケネス・オドネル38歳)の三人が直面した、少しでも判断を誤れば世界が破滅するという13日間の緊張感が伝わってきます。その当時、アメリカ・ソ連の軍事的、政治的思惑がどれ程世界を危険な状態に置いていたかが判ります。
 もともとこの手の政治劇、群像劇映画が好きでして、派手なアクションもCGも使っていませんが悪夢の13日間と言われたこの期間の人々の様々な動きが丁寧に描かれていると思います。勿論、実際に起こった事件そのままではなく、多少脚色されているのは致し方ないでしょう。
 アメリカは実際にあった事件をよく映画化しますが、結構見応えのある作品が多いと思います。但し、いかにもアメリカ(ハリウッド)らしく必ずアメリカが正しい(勝つ)というハッピーエンドで終わりますけど(笑)
 しかし、ケヴィン・コスナーは派手なアクション作品よりも、こんな風に一人の人間を等身大に演じる作品の方が良いようです(ウォーターワールドとかポストマン面白くなかったもんなあ)。
 それにしてもアメリカのやってる事って昔も今も変わらん・・・というのをこの作品を見るとつくづくと感じますねぇ。特に軍部の言ってる事って、この間のイラク攻撃の時とクリソツ!ビックリするくらい変わってないんで笑えてきます。ソ連が無くなっただけ、今の方がタチが悪いかもしれません。
 アクションが好きな人は興味が湧かないかもしれませんが、機会があれば一度見て欲しい作品です。
2003.8.3 Sun 記










 
伝説巨神イデオン 接触編(A CONTACT) 発動編(BE INVOKED)
公開時宣伝コピー/異なる文明が不幸な出会いをした。誤解が死を呼び、傷口が広がっていく・・・
スタッフ
総監督 富野喜幸
監 督 滝沢敏文
原 作 矢立 肇/富野喜幸
脚 本 山浦弘靖/富田祐弘
渡辺由自/松崎健一
キャラクターデザイン 湖川友謙
メカニカルデザイン 樋口雄一/サブマリン
アニメーション監督 湖川友謙
作画監督(接触篇) 湖川友謙/坂本三郎
谷口守泰/二宮常雄
美術監督 中村光毅(発動篇)
撮影監督 岡芹利明(発動篇)
音 楽 すぎやまこういち
プロデューサー 長谷川徹
製 作 日本サンライズ
配 給 松 竹
公 開 1982年7月10日
上映時間 接触編85分
発動編99分
接触編イメージソング セーリング・フライ
発動編イメージソング 海に陽に
作詞
作曲
編曲
井荻麟
すぎやまこういち
すぎやまこういち
水原明子
キャスト
ユウキ・コスモ 塩谷 翼
ジョーダン・ベス 田中秀幸
イムホフ・カーシャ 白石冬美
フォルモッサ・シェリル 井上 遥
アフタ・デク 松田たつや
ギャバリー・テクノ 桜本晶弘
ナブール・ハタリ 井上和彦
イラ・ジョリバ 塩沢兼人
ファトム・モエラ 佐々木秀樹
ファム・ラポー つるたきみこ
バンダ・ロッタ 山田栄子
フォルモッサ・リン 横沢啓子
カララ・アジバ 戸田恵子
ギジェ・ザラル 林 一夫
ノバク・アーシュラ 松原雅子
マラカ・ファード 高木早苗
キッチ・キッチン 鵜飼るみ子
ハルル・アジバ 麻上洋子
ダラム・ズバ 木原正二郎
ダミド・ペッチ 田中崇
ドバ・アジバ 石森達幸
ギンドロ・ジンム/ズオウ大帝 加藤精三
イデ 柴田秀勝
ナレーター 田中信夫
STORY
接触編
ロゴ・ダウ衛星軌道に無限力イデ¢{索隊のバッフ・クランを乗せた宇宙船がデス・アウトする。誰もいないと思っていた星に文明の影を発見する捜査隊。そこは近年、地球からの移民が続いている殖民星ソロ星だった。衛星軌道に乗ったグラム・ザンから、バッフ・クラン軍総司ドバ・アジバの娘カララ・アジバを乗せて無断でコポラがソロ星に降下したため、指揮官のギジェは部下達に彼女をつれ戻すように命令する。カララを探す二機のコポラだったが、恐怖から地球軍に攻撃を仕掛ける。当然、地球軍も反撃し、バッフ・クランの二機が攻撃を浴びたことにより、戦いが始まった。ソロ星の第六文明人の遺跡の調査を手伝っていたユウキ・コスモ、アフタ・デク、イムホフ・カーシャ、調査隊のフォルモッサ・シェリル、地球軍士官ジョーダン・ベスたちは遺跡にあった三台のマシーンに搭乗し何とか敵の攻撃を回避しようとするが、その時三台のマシーンが自ら変形・合体し、巨大ロボット・イデオンの姿になった。バッフ・クランたちはこの巨大な姿に無限の力 ── イデの存在を感じる。戦いはなおも激化してゆき、その戦いの中、イデのゲージの閃光と共に遺跡であったはずの宇宙船・ソロシップがイデオンを乗せて上昇。反物質エンジンが作動しデス・ドライブに突入した。自軍に帰る術を失ったカララは、民間人に紛れてソロシップに乗り込んだがやがて発覚し捕虜となる。地球人の憎しみを一身に浴びるカララ。しかしバンダ・ロッタの銃口に身を晒す姿を見、バッフ・クランに伝わるイデの伝説を知るにつれ、ソロシップのクルーたちはこの異星人を認知し、カララもまた仲間として地球人に溶け込んでいった。やがて、カララの姉ハルル・アジバやドバ軍総司の部下ダラムたちが指揮する機動軍がソロシップに迫る。そんな戦いの中、コスモは深い傷を負いまどろみの中でイデと対話したのだった。ソロシップはやがて母星である地球に逃げ帰るが、そこにはクルーに対する絶望的な「帰還を認めず」の言葉が待っていた。流星が落ちていく地球圏を離れ果てしない逃亡を続けるソロシップとクルーたち。その中に自軍に見捨てられたギジェ・ザラルの姿があった。そして、イデの力を欲し、恐れるバッフ・クランは執拗に追い続けた。

発動編
殖民星の一つアジアンで出会った少女、キッチ・キッチンに心惹かれたコスモだったが、バッフ・クランとの戦いの中でキッチンを失い、パイロットとしてイデオンに乗り込んでいたギジェもまた、その最後の瞬間にイデの発現を見ながらシェリルを残して死んでいった。宇宙の何処に逃げようと現れるバッフ・クラン軍。それはイデの導きであるかのようだった。やがてソロシップは、バッフ・クラン宇宙総軍指令ドバ・アジバが乗る旗艦『バイラル・ジン』と遭遇する。その時、イデはお腹に新しい生命を宿したカララと、消えゆくカララを助けようとしたジョリバを、バイラル・ジン艦内にテレポートさせ和平への最後のチャンスを与えようとした。だが、ドバはカララの必死の説得も聞かず、脱出を試みたカララとジョリバはイデのバリアーでかろうじて死地を逃れた。カララの妊娠を知ったクルーたちは、誰ということなくその子をメシアと呼んだ。やがて多くの流星がソロシップのいる空域から地球とバッフ・クラン、そして殖民星に打ち出され、人類は己の愚かさ、小ささを認識する間もなく滅んでいった。戦場では内部の人間を倒さなければ勝てないと悟ったハルルがソロシップに突入しメインブリッジまで侵入、そこで出会った妹カララを自らの銃弾によって倒した。もはや戦いは人の意地と憎しみだけで続いていた。しかし、カララの胎内に宿った子供はカララが死んだにも拘らず生きつづけていた。「何故、戦う!何故、殺しあう!私たちは何故生きてきたのか!」── それはコスモたち戦場にいる全ての者に対するイデの問いかけであった。だが、人としての業は何者も止める事が出来ない。巨大な最終兵器ガンドロワの前に現われたイデオンとソロシップ。ここで決着をつけようとするドバとバッフ・クラン軍。超新星を利用したビームが光の奔流となってソロシップに、イデオンに、そしてバッフ・クランの攻撃隊にぶつかった。そしてイデオンがガンドロワをイデオンソードで断ち切った瞬間、その白熱の光の中に全ての物がバラバラに分解されていった。深い闇と星の光の中に、今、新しい光が無数に生まれた。光は肉体という魂を縛る鎖を解き放ったギジェでありシェリルであり、ドバやハルルたちの形をしていた。そしてカララが生んだメシアと共に彼らは旅立とうとしていた。やがてメシアの光を先頭に幾百、幾千、幾億の星と昼と夜を飛び越え、彼ら光の群は小さな惑星に降って消えていった。
 言わずと知れた富野由悠季監督の最高傑作(とGaryouが思っている)『伝説巨神イデオン』の劇場版。全43話の予定だったTVシリーズが視聴率、関連グッズの販売が低迷した為に39話で打ちきられ、それにより最終話はかなり端折ったものになりました。ところが、アニメ誌などである程度のあらすじを知っていたコアなファンが真の結末が見たいと言い始め、、TV放映を途中から見出したファンや、まったく見ていなかったアニメファンまでが『凄い』『面白い』の声に乗せられて盛り上がったので、製作者、スポンサー側もその熱気に押されて真の結末を語るべく映画が製作されました。もっとも、最初から面白いと思ってみていたGaryouにしてみればその異様な盛り上がりは『今更・・・』って感じでしたが、それによって結末を見る事が出来たのでありがたかったです。
 構成は接触編がTV版のダイジェスト、発動編が打ち切られた真の結末というもので、TVを最初から見ていた管理人みたいなファンは結末である発動編が観られるだけで良かったんですが、映画興行としてはそうもいきませんからダイジェスト編と結末編を製作し、それを二本立てで上映するダブル・リリース≠ニいう方式で公開されました。これは前作『機動戦士ガンダム』を三部作で公開した為、特に若年層のファンに金銭的負担をかけたのではないか?という製作者側の反省からこの様な方式を採ったそうです。尤も、そのお陰で接触編はTV版の印象的なシーンや重要なシーンが削られていて、内容としては発動編への話しの筋が判る程度のモノとなってしまいました。それでも全て観ると約3時間ですから、この方式とガンダムのように別々に何作か公開するのではどちらが良いかは、当時だけではなく現在でも意見の分かれるところでしょう(2005年のZガンダムは三部作公開ですが)。一気に最初から最後まで一本の話しとして見られるという点では、ダブル・リリース方式の方が良いんですけどね。

 そして映画と同じ位、ある意味ではそれ以上に印象的だったのが、公開前に行われたキャンペーンでしょう。何しろキャンペーンにつけられたタイトルが『明るいイデオン』。
 当時はアニメファンは=(イコール)根暗(ネクラ。死語)と言われていた時代で、ましてやこの作品の内容からして暗い、重い、悲惨≠ネ訳ですから、そのままだと世間体が良くありませんわな。そこで徹底的に明るく行こうという事で、本気か冗談かわからないような企画でキャンペーンを展開。
 TVオープニング曲『復活のイデオン』に振り付けしたイデ音頭≠窿fィスコ・サウンドイデオン。コミケのメッカだった晴海での『イデオン打ち入り祭り』、原宿の歩行者天国(なつかし〜)でのイデオン族≠フ乱舞など、相当悪ノリしたものでした。
 そして極めつけはTVの特番で流されたスタッフが創ったパロディアニメ。サンライズキャラクター総出演の『イデオン狂詩曲』やウルトラマンのパロディ『イデオンマン』。中でも秀逸だったのが『アジバ3』。これはイデオンのキャラクターでダイターン3のオープニングを創ったもので、破嵐万丈をドバ・アジバが爽やかな笑顔でやっていて、特に『♪戦え〜戦え〜宇宙の果てに消えるとも〜』の部分でベスがカララを攫っていくのをドバが追いかけるシーンが最高!(これを読んで笑った人は、間違いなく管理人と同年代(^^))。何しろ当事者が創っただけに完璧な仕上がりでした。

 イデオンは後に○ヴァン○リオンと比較されましたが、絵のクオリティはともかく脚本、演出は明らかにイデオンのほうが上でしょう(ファンの贔屓目アリ)。変に聖書とかに絡めなずてテツガクしてましたしね。
 兎にも角にも、思春期の管理人に少なくない影響を与えた作品です。
2005.2.8 Tue 記
関連コラム 音楽界/動画・特撮門
書籍界/小説門
画廊界/資料門 /パンフレット館/アニメ・特撮の部屋
/チケット館/アニメ・特撮の部屋
/チラシ館/アニメ・特撮の部屋
言霊界/文書門










 
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
公開時宣伝コピー
それは目と目が会った時今、はじめてのヴァージン ショック!
つのる想いに宇宙を翔けてあなたをめがけ ラブソング
ミンメイ 最大戦速(マクロスピード)!!
スタッフ
監督・ストーリー構成 河森正治
監 督 石黒 昇
脚 本 富田祐弘
キャラクターデザイン 美樹本晴彦
メカニックデザイン 宮武一貫
音 楽 羽田健太郎
美術監督 宮前光春
撮影監督 橋本和典
音響監督 本田保則
演 出 秋山勝仁、笠原達也
プロデューサー 井上明/岩田弘/榎本恒幸
製 作 ビックウェスト/毎日放送
小学館/竜の子プロダクション
配 給 東 宝
公 開 1984年7月7日・21日
上映時間 115分
主題歌 愛・おぼえていますか
作詞
作曲
編曲
安井かずみ
加藤和彦
清水信之
飯島真理
メイン・キャスト
リン・ミンメイ 飯島真理
一条 輝 長谷有洋
早瀬未沙 土井美加
ブルーノ・J・グローバル 羽佐間道夫
クローディア・ラサール 小原乃梨子
ロイ・フォッカー 神谷 明
ゴル・ボドルザー 市川 治
ブリタイ7018 蟹江榮司
エキセドル4970 大林隆介
リン・カイフン 鈴置洋孝
柿崎速雄 鈴木勝美
マクシミリアン・ジーナス 速水 奨
キム・キャピロフ 鶴ひろみ
シャミー・ミリオム 室井深雪
ヴァネッサ・レイアート 佐々木るん
ミリア639 竹田えり
モルク・ラプラミズ 鳳 芳野
カムジン03350 目黒祐一
ワレラ25258 ジェフリー・スミス
ロリー28356 藤井つとむ
コンダ88333 ケント・ギルバート
STORY
西暦2009年。統合戦争も終わり、ようやく平和な時を取り戻した地球をゼントラーディ軍が襲う。地球軍は10年前に墜落し、その後修理・改造を施した巨大戦艦マクロスで迎え撃つ。しかしフォールド装置のトラブルを起こしたマクロスは、民間人を乗せたまま太陽系外縁に飛ばされてしまった。地球との交信が絶えたため、自力で地球への帰還の途につくマクロスの収容した避難民は五万八千人。広い艦内に彼らのための居住区や商業地区を作り、そこでは艦外の戦闘とは別の普通の$カ活が営まれていて、鑑自体が一つの宇宙都市を形成していた。そんな中、人気歌手リン・ミンメイのファーストコンサートの日、マクロスはゼントラーディ軍の攻撃を受け、混乱。若い戦闘パイロットの一条輝は偶然ミンメイを助け、二人の間に恋が芽生える。一方、ゼントラーディ軍攻撃艦隊司令ブリタイは地球人のデータを入手。戦闘の知識しかない彼らには、互いに戦うためのみに存在する筈の男女が共に暮し、理解不能な感情を湧かせる不思議な音(歌)に驚異を憶える。基幹艦隊司令ボドルザーは、地球人がプロトカルチャーと関係ありと見て、地球人捕獲作戦を命じた。ある日、輝はミンメイと練習機で、土星リングの幻想的な宇宙へ無断デート飛行。それを知ったブリッジオペレーターの早瀬未沙はマネージャーのカイフンと共に輝たちを追うが、ゼントラーディに襲われてしまう。何とか逃げ切ろうとする輝達だが、結局、助けに来たロイ・フォッカー共々ゼントラーディ軍に捕まってしまった。ゼントラーディ軍の巨人集団に驚く五人だが、データを得ようとする尋問中、求めによりミンメイとカイフンがキスをした事で巨人達は衝撃を受ける。ミンメイとカイフン、輝と未沙とフォッカーは別々に連行されるがその途中、メルトランディが攻撃してきた隙にバルキリーで脱出を図るが、その戦いの中フォッカーは帰らぬ人となる。艦外に弾き出された輝はミンメイを助けるためフォールドしようとするゼントラ−ディ艦に突入するが、フォールドの余波により別空間に飛ばされ、廃虚と化した星に不時着した。見知らぬ星をさまよううちに発見したのは、統合軍所属戦艦の姿。この廃墟の星は変り果てた地球だったのだ。二人は生きるために星の探索を開始。やがて海中にかつて沈んでいた太古の都市遺跡を発見する。そこで示される巨人達の誕生の秘密 ─── 人類誕生より遥か昔、宇宙にはプロトカルチャーという種族が高度文明の花を咲かせていた。そこではクローン技術応用で単体生殖を実現しており、結果、男と女が愛し合う必要性もなくなり、男女は独自に生活圏を有していた。だが、その事により男女のメンタリティの違いから、男=ゼントラーディ軍と女=メルトランディ軍に分れての争いが起き、戦いは戦闘用人間バイオノイドをクローン技術で生み出してからさらに激化。その戦いの中、彼らを生み出したプロトカルチャーはその戦禍に耐えられず自滅の道を進んだ。しかし両軍のバイオノイドは命令者を失っても自らの戦闘本能に従い、理由のない戦いを50万年以上も続けることになったのだ。だが、僅かに生き残ったプロとカルチャーがこの星に辿り着き、地球人類誕生の元となった。男女は争うためではなく、愛し合うために存在する、とメッセージを残して ─── 輝や未沙達人類もプロトカルチャーの末裔と知る。そして救援を待つ日々を送るうちに愛し合うようになった二人は、やがて地球に戻ってきたマクロスに帰還する。ミンメイ達との事が遥か昔の事に思える・・・と未沙に話す輝。そんな時メルトランディの攻撃が始まるが、そこにゼントラーディがミンメイの歌と共に現れ、メルトランディはその音を恐れて退却する。ゼントラーディ軍と地球軍の間に休戦協定が結ばれるが、メルトランディのラプラミズ基幹艦隊の襲来により束の間の平和な時間は破られ、地球軍を交えた三つ巴の戦闘が再開した。輝の気持ちはミンメイと未沙の間で複雑に揺れ動くが、輝は自分の心とミンメイの将来を考えて未沙を選ぶ。遺跡で発見したプレートは未沙により翻訳され、その詩は輝の手によってミンメイに渡された。様々な思いを振りきり決戦のステージに立つミンメイ。戦場に流れるミンメイの歌をバックに奮戦するマクロスにブリタイから驚くべき通信が入る。初めて文化に接したと興奮感動のバイオノイドたちのDNAが揺り動かされボドルザーに反旗を翻したのだ。ボドルザー艦に突入するマクロスと輝のVF1-Sバルキリーの砲口が火を噴き、ついにボドルザー司令を倒し永い戦いは終った。緊張から開放されるマクロスとゼントラーディ。ホッと一息つくブリッジでクローディアが未沙に問う。

「結局、何だったのかしらあの歌・・・」
「ただの流行歌よ」
「流行歌?」
「何万年も昔に、異星人たちの街で流行った・・・あたりまえの・・・ラブソング・・・」

やがて、新たな時代のリン・ミンメイのコンサートの幕が上がった・・・
 これまでの人生の中で最も多く(7回)映画館で見た映画です。当時、ズッポリとマクロスにハマってまして、関連グッズや書籍を買いまくっていて、初めて買ったセルビデオもこの作品。因みに後に出たLDも買いました(^^) さすがにDVDは買っていませんが、もし時期規格(HD-DVD、BD?)、若しくはそれより先の別規格で発売されたらまた買ってしまうかも(爆)
 内容は1982年10月〜1983年6月に全36話で放送されたTVシリーズの1〜27話までを再構成して制作されていて、そのためTV版とは若干設定が変わっていますが、それによって話は判り易くなっています。

 今から思えばこの作品は、アニメファンが製作者となって商業的に大成功した最初ではないかと思います。アニメが好きで業界に入ってきた人間が、中心的ポジションに関わるようになってきた訳です。そのため物語を構成する要素には、『SF・メカ・美少女・アイドル・歌(音楽)・ラブコメ』と、今で言う『オタク』が喜びそうなあらゆる要素がぶち込まれています。そりゃあそうですわな、その要素を持った人間の意見を反映させて作品を作るんですから。
 けれどもその『オタク』的要素が良い方に出て、エンターテイメント作品として破綻をきたしていないのは、要所にシッカリしたベテランが配置されているからでしょう。監督とストーリー構成をしている河森正治氏はこの作品が監督デビューですが、共同監督として名を連ねている石黒昇氏がシッカリと作品の舵取りをしています。どちらかと言えば監督ではなく、監修の役割ではなかったのではないでしょうか。その他、脚本、デザイン、美術にベテランを入れて手堅くまとめている印象です。

 初めて観たとき何より驚いたのが、その描き込みの凄さ!キャラにしてもメカにしても背景にしても異常≠ニも言えるほどの細かい描き込みで、あり得ないモノ≠あり得るモノ≠ノ見せるリアリティを追求しています。さらに、アニメでは不向きなキャラの表情で芝居をさせる≠ニいう、ある意味無謀な事にも挑戦。それが成功しているかどうかは観る人の判断ですが、少なくとも個人的にはある程度において成功していると思います。そんな理想をやってみようとした所に、当時若かったスタッフの勢いを見る事ができるでしょう。だからこそ、観た人間がこぞってスゴイ!≠ニ言わせるような映像ができたのでしょう。今観ても手描きで良くここまでやったものだと思います。ただ惜しむらくは、余りの作業量の多さに制作が間に合わず、結局エンディング(ミンメイのコンサートシーン)をカットして公開してしまった事。ファンの気持ちとしては公開日を遅らせてでも、完全な形で上映してもらいたかった・・・。後にそのコンサートシーンだけを映像化したものや、それを映画版にジョイントしてエンディングをつけた『完全版』がLDで発売されましたが、スタッフロールが別挿入なのと、若干絵柄が変わっていたので違和感がありましたね。出来たら公開時に観たかったと思うんですが、興行の事を考えるとそうも行きませんしねぇ・・・(>_<)

 物語的には上に書いたように良くあるシチュエーションなんですが、それを若い才能とベテランの経験を上手く融合させて、今までと違う見せ方をしたところに『超時空要塞マクロス』のヒットした要因があるのでしょう。
2006.1.17 Tue 記
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メガゾーン23 PARTU
スタッフ
監 督 板野一郎
原 作 石黒 昇/荒牧伸志
脚 本 星山博之
演出 長谷川康夫/山田勝久
総監修 石黒 昇
構 成 山田勝久
メカ作画監督 板野一郎
キャラクターデザイン
総作画監督
梅津泰臣
"イヴ" デザイン 美樹本晴彦
メカニックデザイン 荒巻伸志
美 術 新井和浩
音 楽 鷺巣詩郎
企 画 鈴木敏充
プロデューサー 三浦亨
制 作 アートランド/アートミック
小野寺脩一/須田英昭
製 作 あいどる/ビクター音楽産業
時 間 80分
発 売 1986年発売
キャスト
矢作省吾 矢尾一樹
高中由唯 川村万梨阿
ライトニング 千葉 繁
シンディ 小粥よう子
ガラム 井上和彦
レイナ 榊原良子
ラッコ 西村智博
ダンピ 坂本千夏
B.D 塩沢兼人
白鳥少尉 速水 奨
ナカオ 橋本晃一
夢叶影弦 銀河万丈
時祭イヴ 宮里久美
主題歌 秘密く・だ・さ・い
挿入歌 ロンリー・サンセット
作詞
作曲
編曲
松井五郎
鈴木キサブロー
鷺巣詩郎
宮里久美
STORY
ガーランドと出会い、時祭イヴの正体を、自分達の住む世界の真実を知り、そしてB.Dから屈辱を味わったあの日から半年。村下智美殺害容疑で警察、軍から追われていた省吾は暴走族「トラッシュ」に身を寄せていた。バハムートを手中にした軍の情報操作により世の中は戦時下とされ、その虚構の世界の外では侵略者デザルクとメガゾーンの激しい戦闘が展開されてた。しかし、全ての真実を知る省吾は、ライトニングをはじめトラッシュのメンバー達と、ゆき場の無い怒りと共に暴走行為を重ねていた。いつものようにアジトで仲間たちと過ごす省吾は、由唯と半年ぶりに再会を果たす。しかし、由唯の待つ部屋に帰ることなく姿を消した省吾は、二人の間に見えない壁が横たわっているような重い空気を感じていた。そんな時、突然ラジオから流れてきたのはイヴのSOSのメッセージ。7Gのオペレーター>氛 それは省吾の事だった。あの日のリベンジを誓う省吾は、ライトニングと共に夢叶重工から運良くガーランドを取り戻したが、それは軍が彼らの居場所を突きとめる為の罠だった。アジトの包囲が固められる中、イヴの願いにより再びメガゾーンの中心に向かった省吾とトラッシュのメンバー。仲間の犠牲で何とか軍の包囲網を突破してバハムートに辿りついた省吾は、そこでイヴからメガゾーンの本当の目的を知らされる。約五百年前、自らの手で地球を死の淵に追いやった人類は宇宙に脱出。宇宙船での長い旅は二度と争いを起こさない人間だけ選別し、地球に戻すためのものだったのだ。イヴはその間の人類の情報を月に設置された地球管理システムA・D・A・Mに人々のデータを送る役目を担っていた。やがてデザルグは消滅しメガゾーンも選別の時を迎える。イヴの歌声が響き、虚構の街が崩壊していく中、省吾と由唯の運命は?人々は地球に帰り着く事が出来るのだろうか ───
 前作の原作・監督で、今回原作・監修をやっている石黒昇氏は、もともと続編を創るつもりは無かったらしいんですが、一作目を見たファンから「物語が終わってない」「最初から続編を創るつもりだったんだろう」等とツッコまれ、その上PARTTが予想以上に人気が出た(1985年の年間ビデオ売上げ第二位。第一位はあの「WE ARE THE WORLD」)ので、ビクターが「二匹目のどぜう」を狙って創った(創らした?)のがこのPARTUです。もっとも、そんな製作者側の事情は抜きにして当時、この後はどうなったんだろうと思っていたファンにとって見れば続編が出来ると聞いて素直に嬉しかったですがね。
 物語はPARTTの半年後から始まるんですが、監督が板野一郎氏に変更されただけではなく、イヴを除くキャラクター・デザインが全て変わったのは驚きました。これは前作キャラデザインの平野敏弘氏が他の監督作品を手掛けていた為、キャラデザインだけしてもらうのは申し訳無いという事と、監督の板野氏本人のリアル嗜好もあってキャラクターを変えようとなったそうで、これにはスタッフからもかなりの賛否とスポンサーの反対があったそうです。それを押し切ってキャラ変更をした板野氏が選んだのが、当時氏がアニメーターとして好きだった梅津泰臣氏。このキャラクター変更に伴い、PARTUはメカ、キャラ共にかなりのリアル路線となって雰囲気がガラッと変わりました。僕もPARTUの方が好きですね。物語も初めに石黒氏が考えていたPARTUのアイデアがあったそうですが、監督を板野氏に引き継いだ事で違う方向へ進んでいったそうです。
 キャラがリアルですからメカの方もリアルに魅せるため描き込みがスゴイ!勿論当時はCGなんか使ってませんから全て手書きですぜ!このコダワリこそが作品の熱さ∞若さ≠感じるところでしょう。
 実際、制作中はインタビューでも言ってますが、

>作品の隅々まで板野さんのカラーで統一されてきていたわけですね。

>そう、で、どうしても制作会社と折り合いが合わなくて板野生意気だっていわれて。作品にもスポンサーにも企画や制作会社にもガンとばしながらやってたんです。


このような状況で、初めての監督作品という事もあって白髪で頭が真っ白にになったそうです。

勿論、この作品はRARTUですが、監督の板野一郎、キャラデザインの梅津泰臣、スペシャルキャラの美樹本晴彦、メカデザインの荒牧伸志各氏のレベルの高い競い合いにより、続編ではなく充分単独の作品として見る事が出来る程、高いクオリティを持っていると思います。
2003.7.1 Tue 記